【モンスター】怪物の書 リベル・モンストロム
こんにちはマスター、蓬莱です。
マスターは歌声で船を難破させる女性の魔物「セイレーン」という名前を聞いたことはありませんか?彼女は今は下半身が魚のヒレを持った美しい魔物として描かれていますが、元々の下半身は鳥の形になっていたそうです。
紀元前330年のセイレーン像がアテネの考古学博物館に保存されていますが、今とは全然違うデザインに驚かれるのではないでしょうか。
昔のセイレーンの頭部は髪の長い美しい女性ですが、両腕はなく、体つきはずんぐりむっくりで2つの翼を持ち、下半身は鳥そのもので尾羽根もあります。胸から下は日本の妖怪「アマビエ」にも凄く似ています。
実は、この大きなデザインの変更は7世紀末から8世紀初頭にヨーロッパで書かれた怪物の画集「怪物の書 リベル・モンストロム」から起こっていると言われています。
その「怪物の書 リベル・モンストロム」は作者がわかりません。
ですが、描かれている魔物や怪物の姿は魅力的であり、今のファンタジーの文化にも影響を与えています。たとえば、ゲーム「ぷよぷよ」に出てくる笛をもった妖怪「パノッティ」は、怪物の書では耳があまりにも大きく、その耳たぶで胴体を包んでいますし、一本足の巨人「スキアポデス」も掲載されています。
他にも、ケンタウロスや、サイクロプスが描かれており、西暦23年から79年に生きて様々な記録を残した古代ローマの博物学者プリニウスの百科全書「博物誌」からの影響を強く受けており、それに記された怪物や魔物を視覚化しています。ギリシャ神話からの魔物も多く描かれているようですね。
紀元前5世紀に書かれた古代ギリシャのヘロドトスの「歴史」の記述に見られる、首がなくて胴体に顔がある巨人「ブレムミュアエ」の絵もインパクトが強いです。
その後、中世ヨーロッパでは、こういったモンスターが流行って視覚化が進み、ユニコーンやバジリスク、マーメイド、グリフィン、バジリスクなどの怪物もどんどん絵にされていきました。これは東洋との交易が盛んになって、様々な国の伝承も入り込んできた為に起こったと思われ、異国の怪物のちょっとしたブームが起こっていたと考えられています。
実は今はファンタジーゲームやTRPGゲームのブームにより、中世よりももっと大きなモンスターのデザインの変化が起こっています。
ハーピーは魅力的な翼を持つモンスターとして描かれていますが、元々は老婆の顔の魔物なのだそうですよ。そして、ドラゴンが美少女になったり、メデューサが可愛くなったりと、精密で魅力的なデザインの変更は今後も留まること無く進みそうです。
ところで、日本にも多くの百鬼夜行絵巻から始まって、妖怪や魔物や幽霊の絵画はかなり描かれて、江戸時代には「今昔百鬼拾遺」という三部作にも渡って描かれた怪物の画集もあったりします。人間というのは未知の恐ろしい存在がとても好きなのですね。
今回はカラパイアの記事「ゆるかわ?ゆるこわ?中世で流行っていたモンスターの姿」、ウィキペディアの「怪物の書」「セイレーン」「博物誌」などの項目からお話しました。
蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。
それではまた、らいら〜い🖐
蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
https://www.youtube.com/horaiken
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?