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【妖怪】妖怪博士・井上円了

こんにちはマスター、蓬莱です。

日本で妖怪の第一人者と言えば、漫画家の水木しげるさんが上がると思いますが、今から凡そ、百年前の明治時代にも「妖怪博士」として名前が知れ渡った、妖怪の研究家が居まして、その「妖怪博士」は現在の東洋大学の創始者であり、妖怪と哲学を結びつけて全国を講演してまわり、更には怪現象の真相を次々と見極めて、偽物を暴く「怪奇バスター」でもありました。

その人の名を井上円了と言います。

今回は明治時代に大活躍した寺生まれの怪奇バスター・井上円了氏についてお話しますね。

井上円了は1858年、つまり、江戸時代末期の安政5年に越後長岡藩の三島郡浦村、今の新潟県長岡市浦にあるお寺、慈光寺に生まれました。明治が始まる10年ほど前のことでした。

16歳のときに長岡洋学校に入学し、西洋の学問「洋学」を学び、1877年に東本願寺の教師学校に入学、1878年に東本願寺の国内留学生に選ばれ上京、東京大学予備門に入学し、そこから東京大学に入り、哲学を学び首席で卒業、その後は著述活動を通じて、迷信打破の運動を始め、また、哲学普及を目指して、29歳で哲学館を設立します。この哲学館が現在の東洋大学の始まりとなったのです。

長岡洋学校時代の井上円了

明治時代の哲学の第一人者であった井上円了は、実は、子供の頃から大の妖怪好き、幽霊好きでもありました。そして、三度、世界を旅行して見聞を深め、そこで、日本の文化に深く根ざしていた迷信や妖怪に焦点をあて、知識を用いた問いかけによって、これらの迷信がら、人々が自ら考え、判断し、決断し、行動するようにしたいと考えるようになりました。

知識を用いて「これは何か?」を問いかける手法を、彼は哲学的な手法と考えていたのです。

そこで彼は、妖怪を研究し始め、全国の妖怪を調査しながら、「妖怪学」を初め、「妖怪学講座」を開きました。この妖怪学講座は非常に好評で、しかも、当時の一般的な現象の捉え方、見方、考え方を一変させるものでしたので、明治天皇も彼の講義を好んだそうです。

彼はその妖怪学で、怪異を完全否定はしておらず、数多ある妖怪を先ずは2つに分けました。

ひとつは、実際に存在すると思われる妖怪。これを「実怪」と名付けました。それを更に真の妖怪「真怪」と呼び、そういったものがあると位置づけました。また、それとは別に、人魂など自然現象によって発生し得るあり、空気中の放電現象など、自然現象が妖怪と見做されたモノを仮の怪、「仮怪」と名付けました。

もうひとつは、現実には存在しない妖怪。これを虚像の妖怪、つまり「虚怪」とし、そこから、人の見間違いや恐怖心が増幅されて、想像から生まれてしまう妖怪を誤認識の怪「誤怪」、また、人が脅かしてやろうと嘘や仕掛けなどを用いて作る妖怪を偽物の妖怪「偽怪」としたのです。

彼は怪現象を分析と知識を用いて次々と解き明かして行きましたが、その中でも有名なのがこっくりさんの解明と、妖狐解明事件でしょう。

こっくりさんの現象を井上円了が解明したお話は、以前の記事「こっくりさん」でも扱いましたが、彼は綿密に調査し、当時、大流行していたこっくりさんが伊豆半島に漂着した外国の船員によって伝わり、名前の起源を突き止め、こっくりさんの現場に立ち合い、当事者が分からない質問を次々と行って現象を分析、それが人間の潜在的な意識と、身体の仕組みから来ており、妖怪のたぐいでは無いと断定しました。

また、妖狐、つまり、お狐様が現れた事件は、とある商家に狐が現れると聞きつけ、彼が調査している時に障子の向こうにお狐さんが現れ、声がしたので、「あなたが狐ならばどうか私に憑いてください」と要求し、そこで、お狐さんは返答がつまり、また、憑依現象も起こらず、あとあと、あれは使用人のイタズラだった事が判明しました。

このような事も評判になり、また、妖怪の話は非常に人気があったので、井上円了の講座はいつも人でいっぱいだったそうです。

そして、彼は求められれば何処にでも赴いて妖怪学と哲学の話を好んで行い、1918年に遊説先の満州・大連において、脳溢血で亡くなりました。61歳でした。

彼の著書は単行本だけで、160冊にも及び、東洋大学に保管されていますが、「妖怪学」や「妖怪学講座」など、ネットの青空文庫で17篇ほど、無料で読めるようです。

今回は東洋大学の公式サイトより「創設者・井上円了、その人となり」のページとウィキペディアの「井上円了」などの項目からお話しました。

蓬莱軒では、知的好奇心を刺激する話題を毎週動画でお届けしていますので、YouTubeチャンネルにもよかったら遊びに来てくださいねマスター。

それではまた、らいら〜い🖐

蓬莱軒【水曜20時 不思議・科学・都市伝説】
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