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ドラマ「VIVANT」、主人公が一番のミステリー

今クールは、堺雅人さん主演のテレビドラマ「VIVANT」を観ている。

制作発表がかなり早く、その時点で、堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さんの出演が発表されていた。「主役級」という言葉はあまり使いたくないけれど、誰が主役を張ってもおかしくないキャスティングに、天邪鬼な性格の僕でさえ期待値は高まっていた。(第1話のラストに、更にサプライズなキャストが登場。たまげました)

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物語は、堺雅人さん演じる乃木憂助の「チョンボ疑惑」から始まる。商社に勤めている乃木が1億ドル(約130億円)の誤送金事件に巻き込まれてしまう。誤って振り込んだ金を取り戻すべく、中央アジアのバルカ共和国に入るのだが、ひょんなことから、テロリストや地元警察にそれぞれ追われる身となる──という筋書きだ。

このドラマの肝は、ズバリ乃木のキャラクター設定である。

乃木は二重人格を有している。同期で最も出世争いに遅れているダメなサラリーマンとしての乃木、そして半沢直樹よろしくタフで優秀そうな男としての乃木。この「ふたり」が突如会話を始めるなどするわけだが、関係性が今のところ全くの不明である。

例えば村上春樹さんの小説では、凡庸な主人公が、想像だにしない世界へと巻き込まれていく姿が描かれることが多い。わざわざ村上作品を引用しなくとも、ほとんどのミステリー小説は、凡庸な主人公か、天才キャラの主人公かどちらであるかが多い。いずれにせよ、ミステリーなのは「世界」の側だ。

一方で「VIVANT」。確かに描かれている「世界」もミステリーだ。そもそもVIVANTヴィヴァンとは何か?事件の黒幕は誰か?なぜ乃木は事件に巻き込まれなくてはならないのか等々。しかし、乃木本人も不明な点が多い。明らかに間抜けな乃木のような人間に、なぜアメリカのCIAの親友がいるのか。そして彼がわざわざ乃木に機密情報をリークする理由も分からない。ドラマのキャッチコピーには、「敵か味方か、味方か敵か―冒険が始まる。」という言葉が添えられている。日本人の登場人物は味方っぽいけれど、もしかしたら裏切りがどこかで発生するのかもしれない。というか、誰が裏切るのだろうか。乃木の周りか、それとも乃木自身が周囲を欺き続けていくのだろうか。

130億円の誤送金にも謎が多い。

誰が乃木を嵌めたのか。他ならぬ乃木本人ではないか。(一応、それは「時計」が証拠として物語っている)

演出は、TBSドラマの重鎮である福澤克雄さん。脚本はベテラン、若手が入り混じって4名も名前を連ねている。(八津弘幸さん、李正美さん、宮本勇人さん、山本奈奈さん)

おそらく4名の脚本家が参加しているのは、1話ごとに一球入魂の「濃さ」を注入したいという福澤さんの意図があるのだろう。

つまりこれは、1話ごとに「展開」があるということ。見逃すのは致命的だ。なかなかタイトで隙がない。どうなるか予想もつかない、それもまた楽しみを煽るのである。

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