嶋浩一郎さんが、嬉しそうだった。
一昨日、参加した下北沢の本屋B&B 10周年オールナイトパーティーに関するnoteを書いた。
せっかくだからと買った武田砂鉄さんの新著『べつに怒ってない』を読みながら、たったいま、ふと頭に浮かんだことをテキストにしてみる。
武田さんと対談した、本屋B&Bの共同経営者・嶋浩一郎さんが嬉しそうな表情をしたことについて。
だいたい嶋さんは嬉しそうな顔で、うんうんと話を聴いているのだけど。対談の最後に「10年後も残したい本は?」と武田さんに尋ねたときのことだった。武田さんは表情を変えず、しかし、にべもなく返答したのだった。「無人島に持っていく一冊とか、そういう類の質問は好きじゃないんです」と。
武田さんらしい返答というか。終始楽しげな対談だったので、武田さんの返答に会場からも笑いが起こった。
そして、嶋浩一郎さんは笑っていた。「あちゃー」というような顔をして。
この質問は、イベントに登壇するゲスト全員に尋ねるつもりだという。先頭バッターである武田さんから、いきなり企画を潰されるような返答だ。僕だったらちょっと真っ青になってしまっていたかもしれない。
でも、嶋浩一郎さんは笑っていた。予定不調和を楽しむかのように。
たぶん、ほとんど打ち合わせもされていないんじゃないか。ジャズの即興演奏のように、その場その場で頭に浮かんだ話が次々と展開されていく。
博識な嶋さんは、武田さんがさりげなく口にする固有名詞も「さも当たり前」かのように打ち返していける。良い流れだ。でも、それは予定調和ではない。予め作為されたものはなく、いわば風のような自然な流れだった。
心地良いなあ、と思った。
今度はビールを飲みながら、まったりとセッションに浸ろう。
記事をお読みいただき、ありがとうございます。 サポートいただくのも嬉しいですが、noteを感想付きでシェアいただけるのも感激してしまいます。