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現実逃避のうた

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2019年7月の記事一覧

シンジの現実逃避

人生相談するあいつは
「わたし 自信がないんです」っていう。
でもぼくには「自信がない」ってはっきり言えるあいつがうらやましい

なあ「自信」ってなんだい?
シンジにはわからない

おしえてよ
もうひとりのわたしよ

ハナシハハヤイの現実逃避

「課長、このデータ先にもっていきましょう か?」
「ああ、そのほうがハナシハハヤイね。」

「あーた、このゴルフセットの中身開いて
見ましょうか?」
「ああ、そうだね。ハナシハハヤイネ。」

「とめ君、君のデスク、とりあえず移動しておくよ?」
「そうですね。そのほうがハナシハハヤイですね。」

「おやじ~テレビ見ないならリモコン俺のところにくれよ。」
 「ああそうだな。そのほうがハナシハハヤ

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オイボレの現実逃避

ああまた今日がすぎた。
何も大したことできなかったよ。
新しい料理を作ろうとおもって、
必死でテレビのクッキング番組をみながら
メモをしたけど、
肝心な材料を書き取るのを忘れたし、
なにより作り方をさっぱり理解できなかった。
そうして絶望感と無力感にひたっているうちに夜がきて、お腹はすいたけど作れないから、
仕方なくいつも家にある海苔ちゃづけのもとをご飯に、うめぼしのせて・・・
(上から熱湯を注い

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モノローグの現実逃避

人の心の中を勝手に覗くのは犯罪か?

ぼくはいつだって自分の役割を果たしている。
たとえば誰かが誰かに、意地悪なことを言ってしまいそうなときに、
僕はそいつの言葉を僕のモノローグの範囲内におさめる。無理やりね。
そうすればたとえそいつが言ったことでも、
全部そいつの心の中におさまっているんだ。
僕はそんなサービスを常日頃行っているんだ。

だけど・・・ぼくの役割は人を傷つけてしまうことになる、って

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カフェインの現実逃避

ぼくちん、ノンカフェインのようになりたいよ。
ノンカフェインコーヒーはね、えらいんだ。
コーヒー屋さんで、いつでも自分を売り込もうとお客を呼び込みしているんだ。

店主はだから、ノンカフェインコーヒーさんを
たくさん店に並べる。
そうすると、もう店主が呼び込みなんかしなくても、売れる、売れる!

カフェインの僕は、そんなノンカフェインさんに毎日エールを送るよ!
がんばって!
いっしょうけんめい、自

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ボーイッシュの現実逃避

時雨の日、わたしを助けてくれた人は誰なの?

あの日私は無意識のうちに家を飛び出して、
どこだかわからない川辺を歩いたわ。
わたし、いつでも泳ぎたい人だったから、
服のまま飛び込んだ。
そしたらすぐに急流のところに来てしまって・・・川が私をとりまくじゃない。
私は泳ぎが得意だったはずなのに、
このときばかりはお手上げ。
でも死ぬわけにいかないから必死で
「マントラ」唱えた。

そしたらね、ちょうど

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ハナシハソレカラダの現実逃避

このさっき近所の人から頂いた煎茶を
いれてから考えるよ。

ひなどりに餌と水をやって、
せんたくものを干し終えてから話し合おう。

なあ、新しく出来たデパートの1階のアイスクリーム、あれ食べてから考えるよ。

焚き火をして芋をやいて一服してから
その話し、聞かせてもらうよ。

ひややっことビールを用意して、
それからコンビニで花火を買って夏の気分を
味わったら、考えるよ。

とりあえず風呂にはいっ

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幸太郎の現実逃避

最近自分が傲慢になりすぎたように感じる。
おれってばよ、むかしっから気が弱くて
お人よしだったから、
「すこしは強くならなきゃ」って
思ってたんだ。
でも今は常に人に傲慢に接している気がして
なんだかそれが自分で気になってしまうんだ。

このあいだ高校の友達と喫茶店に行ったとき
ウエイターが友達の服にジュースをこぼしたんだ。それもぶどうジュース。
ぼくはそれをみて「気をつけてくれたまえ!」って、で

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ホメゴロシイの現実逃避

今日も人をほめておこられた。
よほど鼻が高いのがコンプレックス
だったのだろう。
ぼくは鼻が低いから 
さらりと褒めただけなのに。

ぼくはあしたも人を褒めるだろう。
仕方がない。性なんだ。
思ったことをいってしまおう
こわいものなんか、ないんだから。

トメロの現実逃避

ピアノをひこう。鍵盤がなくたって、
黒鍵の部分をひくふりしよう。

おどりだす。心がふわりと風にのり、
からだはぷかぷか海をただよう。
安心しよう。いつだって、空気はあるさ。
土はあるさ。水はあるさ。
あらゆる万物はみな、ぼくの味方さ!

そうしてできたメロディは、僕の海に
こぼれおち、一粒のこらずしずんでいく。
これからだってそうさ。
ぼくの心に穏やかな海があるかぎり。

ホコロビの現実逃避

ぼくがわらうとみんながわらう。
ぼくは最初それをみて喜んでいた。
だが時が経つにつれて何かがおかしいことに
気づきはじめた。
そしてこの前、ショッピングセンターの
ショーウィンドーに映る自分の顔に
はっとした。
笑うぼくの間抜けな顔に。

僕の心にほころびができると途端に僕の顔は
おかしくなっていたんだ。
ぼくは決めた。たとえどんなことがあっても、笑ったりなんかしまいと。

イワズモガナの現実逃避

舞台に立っていると、なにかふと思い起こす
ことがある。
何者かに脅されている自分がいることを。
それは決して大きな恐怖を与えるものでは
なかった。
ただなにか決定的なことを警告されているような、そんな感覚だった。
いわずもがな、その正体は、もう一人の「自分」だったのである。

現実逃避のうた(ごくぶんの現実逃避)

時計を見るときおもうんだ、
僕はたとえば針が10をさしたとき、
はやく寝ないといけないと思う。

10という数字はぼくの心と身体のまぶたを
くっつけようとする。
10という数字が・・・ぼくを苦しめるんだ。
うようよした数字が、
冷静に存在する確かなものがぼくの生活を
支配してやまない。
ならばぼくが支配することはできるだろうか?

時計の電池をとってしまえばできる。
後ろにくっついているねじをくる

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紫の上の現実逃避

あたらしい簾を買って欲しいの。おねがいよ、

もっと大きな簾がいい。

これじゃああってもなくても変わらない。

私は好きな人には、自分の存在を極力

かくしていたいの。そうしてやがてその人は、

わたしの魅力に気づき始めるの。。。