えびにもハサミがあるということ|「ちい」さな「かわ」をみつめて
子供から教わることがあるとよく言うが、その通りだと思う。
回転寿司屋で、エビにもハサミがあるのだと息子が言った。
「ハサミがあるのはカニだよ、エビは背中を反ってるやつ。手は小さいんだ」
そう私が言うと、そうだけどエビにもハサミがあるのだと言って息子は聞いてくれない。私はそれ以上否定せず「そうかねぇ」と生返事返して、穴子などを頬張った。
家に帰ってくると、すぐさま息子が図鑑を持ってきた。私の母、息子のおばあちゃんが買ってくれた生き物図鑑だ。これこれと息子が指差す先をみると拡大印刷されたエビが載っている。よく見ると、あの小さい手の先にハサミが確かに2つある。
「ほらね、エビにもはさみがあるんだよ」
そうかそうかと感心してしまう。よく息子は見ているのだと思う。
娘にも教わることがある。今日保育園へ送っていく道すがら娘が
大阪にはうまいもんがいっぱいあるんやでぇ〜♪という歌を歌い始めた。
初めて聞いた歌だった。私が小さい頃にもあったのだろうか。何度か娘が歌ってくれたので、途中から私も覚えて、一緒に歌った。忘れてしまっただけなのだろうか。
毎日息子の宿題をみている。今日は漢字ドリルをやっていた。読み仮名を振る問題で「小さな川」というのがあった。息子は真剣になって、なるべく丁寧に文字を書く。息子は書き終わるとマジマジと自分の字を点検する。すると「あっ!」と大きな声を出した。
「どうしたの?」と私が訊くと、こう応えた。
「あのさ、これ【ちいさなかわ】でしょ?ってことは【小川】は【おがわ】ってよむけど【ちいかわ】とも読めるよね?!」
確かにそうだ!と私も叫ぶ。いやはや子供に教わることは多い。
知識も歌も発見も。子供はいつも清らかだ。そして心地がいい。
いずれ大海へと注ぐ小さな川が、イメージされる。
目の前でささやかに流れている。
私はそれを見つめつつ、
(川幅よひろがれ)
とひそかに願い、静かに微笑む。
もしサポートいただけたら、こどものおむつ代にさせていただきます。はやくトイレトレーニングもさせなきゃなのですが...