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「人間」(又吉直樹著)の読書感想(評価:★★☆)

●きっかけ

「人間」という物凄く強烈で抽象的な文字が目に留まった。

何を考えているのかわからない30代男性のイラストに興味をそそられた。

●感想

「自分ひとりだけではなく、皆それぞれの想いや悩みを抱えながら、生きている」が伝わる小説だった。

ビジネス書ではない本を久しぶりに読んでわかったことが、小説は「まるで登場人物になったような感覚」を味わうことができる。

登場人物の言動によって起こる心の様子や葛藤、その時に見えた何気ない日常のシーンがとても細かく描写されていた。

本書では、約20ページにおよぶ影島道生とナカノタイチのやりとりがとても印象に残った。途中、どれだけ続くんだろうと思わせるほどの執念深さに恐さを感じる部分がある。

また、時折みせる永山の霊感のようなシーンには、「人とのつながり」を感じさせる。

●最後に

全366ページの長編小説なので、正直読めるのか不安であったが、読み進めるうちに永山がどんな成長を遂げるのか、どんな結末を迎えるのか楽しみになり後半は2日間で読むことができた。

難しい言い回しや表現に、小説に慣れていない方は、1度読んだだけでは著者の伝えたいところまで辿り着けない。何度も読むことで各シーンの謎を解き明かしていき「そういうことだったのか!」と新たな発見を得られる小説である。




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