何者でもない俺達だろうと。
夜の街からヒーローが消えた。
街を悪意が支配した。
至るところで、悪い奴が暴れ回る。
それが、この街の日常になっていた。
でも、不思議なもので、
いくら路地裏で、女が笑い狂いながらハンマーを振るおうと、縞馬のマスクを被った男が誰かを殺していようと、俺達はこの街で暮らし続けている。
俺は、ヒーローでも、ヴィランでもない。
この街に住む、ただの一般人だ。
これからマスクを買って、何かになろうとも思わない。
ただ、そんな俺でも、壊されたくないものはある。失いたくないものはある。
「アイス食べたい」
隣で君が微笑んだ。
「いいね」
何者でもない俺達だろうと、深夜のコンビニを目指せば、イカれた夜の街なんて怖くない。
夜の街へ、作品のネタを集めに行く為の費用に出来ればと思います。