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勝つことだけが生きる術ではない【サバイブ】

【概要】

動物の生存戦略から、生き方の多様性を学べる本。
以前紹介した「LIFE」に比べると、やや自己啓発少なめ豆知識多めになっている。

【感想】
豆知識が主であることと、マイナーな動物が多いことでストーリー性は乏しくなっている。そのせいでやや読みにくさを感じる。
ただ、密度は高くなっており、メモをとるとかなりの量になった。

個人的に好きな章は、「争わない」「求めない」である。
「争わない」では、チンパンジーに似た生物のボノボと、けもフレで話題になったサーバルが紹介されている。


ボノボはコミュニケーションによって争いを避ける。とにかくイチャイチャすることによって物事を解決する。これはメスにも偽の発情期があることが原因である。
一方サーバルは圧倒的な狩猟成功率によって争いを避ける。(トラの成功率10%に対してサーバルは50%)

ボノボはコミュニケーション力によって、サーバルは圧倒的な能力によって同種の平和を手に入れた。
ただ争わないという結果を求めても、手段は多様であり、社会的な対立を解決する手法も一つだけではないと感じされられる。
ただ、どちらも心に余裕が必要であり、現代のヒトにおいてはこれが少し足りないのかもしれない。

「求めない」章ではハキリアリ、カンガルーネズミが紹介されている。

ハキリアリは社会的な虫であり、仕事を約30種類に分担する。
その中には道の整備などもあり、分担が上手くなされている。
さらに巣に葉を持ち帰りキノコの栽培をしたり、アブラムシを育てて分泌液を回収したりと他者との共存も行う。
一方カンガルーネズミは一生に一度も水を飲まなくていい。
これは砂漠に適応して生きるためである。
エサをカビさせることで水分を摂取したり、エサの水素と空気中の酸素を体内で反応させて水を生成する。

ハキリアリは自分で餌を生産することで生存し、カンガルーネズミは水を生成できる身体を手に入れた。
これらの動物から学べることは、コントロールできない環境に依存するのではなく、自分でその環境をつくる方法もあるということだ。
ヒトが狩猟民族から農耕民族に変わったように、生き方が変わっていくのは自然なことである。
エネルギー問題や環境問題に直面している今、変化の流れに任せて生きるのが生物としてあるべき姿なのであろう。

【評価】
★★☆☆☆
情報量は多いが、ストーリー性が薄いのでやや読みづらい。
知名度の低い動物が多く出てくるので、実感が薄く、トリビアを紹介されている印象。豆知識が好きなら合うかもしれない。
ノートなどにまとめると頭の中でまとまるので、オススメ

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