アーティストとして認められるための1つ目の条件とは?

今日は、アーティストについてお話ししたいと思います。

近現代の資本主義社会において、

アーティストとして認められるには3つの自立に関する条件があります。

1.作品の表現つまり画題と画法を自身で決められる「自立」
2.生活のための収入が自足していて制作を続けられる「自立」
3.以上の2つの条件を可能にする社会環境がある「自立」

三大巨匠であるダビンチ、レンブラント、北斎は、近代以前にこれらの条件をなんとかクリアしていました。

三大巨匠の一人である北斎は作品の表現を自身で決めていました。これは先ほどの1番目の条件です。北斎がそれを達成できたのは、貸本屋の丁稚になり、たくさんの絵草紙を目にしたからだと考えています。
作ることよりも「見ること」を優先する。しかし、他の職人は仲間の仕事を見るが、他のジャンルに関心を払うことなく作ることに専念していました。このことが北斎と他の職人たちの差を決めたのでしょう。


北斎は木版彫刻師の徒弟から浮世絵師勝川春章の門下にとどまらず、当時のメインカルチャーであった狩野派や海外の唐絵や西洋画など様々な画を見てそれらの技法を学びました。

画号(サイン)を30回も改えたのも、それだけ北斎の表現が多岐に亘っているからだと思います。晩年には1人で完成する一点物「肉筆画」に傾倒していったのです。つまり自立した表現ができるのは目が利く人で、そのことは偉大なアーティストに共通しています。当然目利きは他のジャンルにも目配りできるのです。

次の回では、2番目の条件を見ていくことにしましょう。

先日、「しられざる北斎」(幻冬舎文庫)を8月に発刊した神山典士氏と
トークイベントをさせていただきました。
誰でも知っている北斎を語ることによって、アーティストが残したアートをいかに
資産としたかを語りました。


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