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菅義偉首相とマクロン大統領

菅総理がこのご時世に7人で会食して批判を浴びました。

そういう会食を自粛しては権力を維持できない、総理の椅子に付いたのは選挙によるものではないからだという批判的なnoteでも書こうと思っていたら、フランスのマクロン大統領が十数人で会食して翌日にコロナ陽性になっていました。さすがフランス、さすが民主主義、さすが直接選挙で大統領を選ぶ国です。日本とはレベルが違う。

そんな冗談はさておき、マクロン大統領は大統領としての法的な権力はあっても、長年にわたり与党で実績を積んで人脈や経歴を抱えているわけではなく、権力を行使するための基盤がありません。だからこそ、コロナ禍の中でもわざわざ与党内の実力者との会食を欠かすわけにはいかなかったのでしょう。

これで米英仏の三大国のトップが揃って新型コロナウイルスに感染したことになりました。このコロナウイルスを過小に見ていたジョンソン首相・トランプ大統領が感染したのは無理からぬことですが、国での被害も多く対策を気にかけていたフランスの国家元首が感染したのは意外でした。もちろん、どんなに対策を立てていても感染するときは感染するようなウイルスです。ましてや休みやテレワークで済ませるわけにはいかない立場ですから、しようがないといえばそうなのですが、国民には事実上抑制させていた多人数での会食後に感染したのはあまりに決まりが悪い失態です。

そもそも、マクロン大統領は国民戦線のマリーヌ・ルペンを大統領にしないために担ぎ上げられた候補でした。本人がどう思っているか知りませんが、彼に投票した人の何割かはルペンにしないためだけに投票したはずです。そう考えると、マクロン大統領は就任した時点で半分レームダックになっているようなものです。そんな状況を打破して権力行使をスムーズにさせるための会食だったかも知れません。

一方の菅総理は、7年半以上続いた安倍内閣の路線を一応は継続させるための内閣です。少なくとも来年夏に実施される予定の東京オリンピックが終了するまでは、内閣は存続するはずです。その後の9月に行われる予定の自民党総裁選挙でどうなるかは知りませんが。選挙管理内閣ならぬ、五輪管理内閣みたいなものです。

そう考えると、GoToキャンペーンを簡単に諦めなかったのも分かります。延長線上には五輪の通常に近い形での開催があったのでしょうし、安倍内閣の一つの柱でもありました。一番大切なのは五輪管理内閣ではなくコロナ管理内閣でしょうけれど、コロナ管理が出来なければ五輪管理も出来ないはずなのですけれど。

菅総理・マクロン大統領についての批判としてはいくらでも思いつくでしょうけれど、見方を変えて会食の出席者について考えてみるとどうでしょうか?

そういった会食をしないと、総理や大統領に対して協力出来ないのでしょうか?

出席者に対してもそういう批判がなされるようになると、会食自体も減るでしょう。会食したらトップの評判だけではなく、出席する自分たちも批判を浴びるのであればたまったものではありませんし。

多人数での会食を批判するに当たって、会食しない方が得をする、会食したら損だ、という状況を作り出せば無くなるはずです。不祥事を起こした民間マスメディアに対する、スポンサー・広告主企業への不買運動が近いかも知れません。

将を射んと欲すればまず馬を射よ、といったところでしょうか。

つまりは政権を批判する人にしろサポートする人にしろ、中枢よりもその周辺を攻撃・守備した方が効果はあるんじゃないでしょうか。

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