日本人が守るのはルールではなく共同体の空気と秩序

神戸大学の某サークルがやらかし(というか器物破損という犯罪)がありましたけれど、日本人なのに、とか**人みたいなことをするなという意見もチラホラ見かけます。

私自身はそれほど日本人の倫理や正義を信じていませんが、日本人はキチンと法と規律を守る倫理的な国民しかいないはずと信じ切っている人も世の中にはいるようです。

だったら、太平洋戦争やそれ以前の日中戦争などなど、当時の国際法を臆面もなく踏みにじったのはなんだったのかと言いたくなりますし、日本においては毎日誰かが犯罪被害に遭っている現状を無視しているのはなんなのか。

そもそも日本人が大切にしていること、守ることは、ルースベネディクトのいう「恥」であり、山本七平のいう「空気」です。決して法律を厳守する民族ではありません。それは毎月のように露わになる大企業の不祥事によっても、政治家の不正によっても明らかです。

また、日本人は上から言われたことを唯々諾々とやるだけで自分の意見が無いともよく言われますが、これもまた実際には違っていて、トップダウンで強要や指導されたことを無視したり骨抜きにしたりするのが得意です。もし本当にトップダウンでなんでもかんでも進むのであれば、エスカレーターで片側によって乗り、もう片側で駆け上がる人たちなんて存在しないはずです。

結局のところ、日本人の大半は法やルール、あるいは上からの命令を厳守するのではなくて、自分が所属している共同体・組織・団体の「内部にある」空気と秩序を守るのです。

だからこそ、某サークルが旅館で暴れる行為は、その「サークル内」で当然の行為であり、反対したらその内部で「空気の読めない奴」扱いされるのです。法律違反や旅館への迷惑などは二の次な「空気」だからこそ、代々継がれてきたのです。日大のアレも似たようなものでしょう。

戦争時の国際法違反についても、その時点では日本軍の内部ではそのような行為が当然であったからこそ、破ることが求められて、それに反対すれば軍の「秩序」を乱す者として処罰されました。

では、そういう負の連鎖・伝統をどうすれば改善出来るか。

ぶっちゃけて言うと、その共同体を一旦解体・解散するしかありません。反省します、改善しますとその時点での関係者が言ったとしても、過去からの伝統にこだわる「過去の人たち」、いわゆるOB・OGが現役に関与する習慣がある以上は、過去から続く組織はその影響から逃れられません。その呪縛から解き放つには、OB・OGが関わる組織自体を一度消滅させることです。

旧日本軍と現在の自衛隊には共通点があるとは言え、組織としては一度断絶しています。今の自衛隊にも性加害やイジメなど様々な悪習があるとは言え、臆面も無く国際法を踏みにじる組織ではないでしょう。

日大のアレにしろ、神戸大のアレにしろ、一旦廃部・解散して、過去の人間が関われないような状態に持っていってしばらくしてから、復活の議論をすべきでしょうね。復活するに値する組織かどうかは知りませんが。

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