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あなたを苦しめる思考を生み出す脳のルール「悪法」

人の思考や感情はあるルールを元に作られます。

例えば、仕事で上司に叱られた場合、悲しいと感じる人もいれば、怒りを感じる人もいて、人それぞれルールが違うため生み出される思考や感情は異なります。

しかし、その際ルールによって勝手に思考や感情が生み出されるので、意図的に嬉しいという感情を作り出すことはできません。


そのルールは人生のあらゆる出来事を元に作られます。

両親や友人との関係性、学校や会社での失敗体験、他人からの何気ない言葉など、すべての体験は脳にデータとして記憶され、思考や感情を生むメカニズムとして働きます。

そして、自分に対してネガティブな思考や感情を生み出しているルールを、悪い法体系という意味で「悪法」といいます。

コロンビア大学の心理学者ジェフリー・ヤング氏が考えたパターン分類により、悪法のパターンは18種類に分類されました。

あなたが日々悩まされているネガティブ思考は、いったいどんな悪法が当てはまるのか見てみてください。


①放棄

幼少期に親から十分な世話をされなかったり、入院などの理由で長期にわたって養育者と離れた人に多い悪法です。

親しい相手との関係にしがみつく。他人をコントロールしようとする。他者が離れていくのが不安で、自分の欲求を隠す。見捨てられるのを恐れて、他の人といっさい関わらない。

このような行動が目立つ場合は、「放棄」の悪法を持っている可能性があります。


②不信

他者への不信を常に抱き続ける悪法です。

他人を避けて個人的なことを話そうとしない。いつも他人の心理を気にしている。常に他人の行動を警戒する。人の言葉を信じることができない。他人は自分を理解してくれないと感じる。こちらの情報を提供すると、他人に利用されると感じる。

このような心理と行動に心当たりがある場合は、「不信」の悪法を持っている可能性があります。


③剥奪

子ども時代に養育者から満足なケアを与えられなかった人に多く見られる悪法です。

自分の感情やニーズがよくわからない。家族や友人に過剰な愛情を向ける、逆に親密な人間関係をあきらめてしまう。自分の気持ちを他の人と共有しない。誰かにとって自分が特別な存在だと感じたことがない。人生で支えになってくれた人はほとんどいない。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「剥奪」の悪法を持っている可能性があります。


④欠陥

幼少期の虐待・放置・拒絶が原因で生まれる傾向があり、養育者から十分なケアを受けずに育った人に多い悪法です。

批判や拒絶に過敏に反応する。いつも批判的なパートナーを選んでしまう。ストレス解消のために食べ物やアルコールなどに逃げ込む。人に評価されそうな状況を避ける。自分のミスを知っている人との付き合いを避ける。物事を完璧にこなそうとする。親密なつながりを避けようとする。

こういった行動が多い人は、「欠陥」の悪法を持っている可能性があります。


⑤孤立
幼少期に引っ越しが多かったり、外見や障害のせいでいじめられたり、経済状態や宗教などの理由で周囲の家庭と明らかに異なったりなど、幼い頃の疎外体験が原因で見られる悪法です。

他人を完全に避ける。自分からは人に話しかけない。集団の中でリラックスするためにアルコールや薬物を使う。閉じたコミュニティの中でだけ威勢がいい。他人の世話をし過ぎて疎まれる。

こういった行動が多い人は、「孤立」の悪法を持っている可能性があります。


⑥無能
幼少期に自分の意思で物事を決められなかった人に多い悪法です。

私には常識がないと感じる。問題の発生を過剰に心配する。人に助けやアドバイスを求めてばかりいる。重要な仕事を先延ばしにする。トラブルが起きたときにどうすれば良いかわからない。自分の人生をコントロールできていないように感じる。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「無能」の悪法を持っている可能性があります。


⑦脆弱

心配性または過保護な両親のもとで育った場合に生じやすく、不安障害やうつ病の原因になる悪法です。

世界は危険な場所だと感じる。思考がハイスピードで駆け巡っているように感じる。世の中で起きた悪いことが気になる。全財産を失う心配が強い。思考をコントロールできないストレスで眠れない。健康に不安があるとインターネットで症状を調べ続けてしまう。安心するために、何度も他人に意見を求めてしまう。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「脆弱」の悪法を持っている可能性があります。


⑧未分

ナルシストな両親のもとで育った人に多い悪法です。

ひとりで過ごすのが苦手。両親やパートナーが不幸だと自分も不幸になる。空虚さを紛らわすために酒や刺激物を大量に摂取する。急に両親や親友に激怒することがある。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「未分」の悪法を持っている可能性があります。


⑨失敗

子どもの頃に親や周囲から努力を嘲笑された人や、何らかのチャレンジを批判された人に多い悪法です。

何かに挑戦することを避ける。仕事を先延ばしにする。自分を追い込んでワーカホリックになる。いまの人生が恥ずかしいと思う。周りの人が自分より能力があるように感じる。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「失敗」の悪法を持っている可能性があります。


⑩尊大

子ども時代に過剰に甘やかされた人に多い悪法です。

他人からの否定や拒絶を受け入れられない。社会のルールや制度に従うべきではないと思う。自分の間違いを認められない。いつも自分のことを第一に考える。何をすべきか指示されるのが我慢できない。他人から支配欲が強いと言われたことがある。

このような条件に当てはまる人は、「尊大」の悪法を持っている可能性があります。


⑪放縦

脳の前頭前野の働きが弱いせいで自制心がうまく発揮できないのが大きな原因で、子どもの頃に忍耐を教えられなかったケースや、生後の数年で両親から育児放棄を受けたケース、幼少から青年期にかけて長期にわたってストレスを体験したケースの人に多い悪法です。

飲酒・喫煙・過食などの自滅的な行動がやめられない。不快な感情を耐えるのが苦手。エネルギーがありすぎて生産的なことに使うのが難しいと感じる。後で後悔するような決断をすぐにしてしまう。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「放縦」の悪法を持っている可能性があります。


⑫服従

ストレスが多い家庭で成長した人が抱きがちな悪法で、幼少期に「何も発言しない方が安全だ」といった刷り込みを受けた可能性があります。

メンタルが傷ついても他人には言わない。争いや拒絶を避けるために他の人を喜ばせることが多い。相手の電話に出ない。他人を無視する。頼まれた仕事を中途半端に終わらせるなど、受動的な方法で他者を攻撃する。

このような行動が目立つ人は、「服従」の悪法を持っている可能性があります。


⑬犠牲

情緒不安や依存症などを抱えた両親に育てられたり、子ども時代に兄弟や親の面倒をみなければならなかったりした人に多い悪法です。

他人に助けやアドバイスを求められることが多い。親しい人に頼まれたら断れない。他人に与えるものが見返りよりも多い。人が苦労するよりも自分がやった方が楽だ。人助けのせいで疲れや消耗を感じる。自分のことは誰も助けてくれず、そのせいで過小評価されていると感じる。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「犠牲」の悪法を持っている可能性があります。


⑭承認

子どもの頃に人生の進路を親に左右されていた。親を喜ばせたときにだけ愛情や関心を得ることができた。世間体や他人の視線を重視する家庭で育った。そんな人に多い悪法です。

人にどう思われているかが気になる。一緒にいる相手によって行動や話し方を変える。地位、外見、金銭、業績へのこだわりが強い。誰かを怒らせたのではないかと心配になる。自分の身体や髪型、服装、持ち物への執着が強い。他の人と一緒にいるときにリラックスできない。意見が違う人に感情的になりやすい。

このような条件に当てはまる人は、「承認」の悪法を持っている可能性があります。


⑮悲観

人生の否定的な側面にばかり目を向け、ポジティブな側面を無視する悪法です。
脳が常にストレス反応を発し、体調を崩す人も少なくありません。

友人から悲観的だとよく言われる。人生の暗黒面についてよく考える。間違った選択をすると大惨事になりかねないので意思決定がとても難しい。人生の悲劇を避けるために、事前の計画を徹底する。がっかりしたくないので、いつも最悪の事態を想定する。

このような行動が目立つ人は、「悲観」の悪法を持っている可能性があります。


⑯抑制

幼少期に周囲から怒りや悲しみを笑われたり、両親から淡々とふるまうように育てられた人に多い悪法です。

他人から堅苦しいと思われている。他人の感情を知るのが苦手。弱みを表現できない。ポジティブな感情も抑えてしまう。合理性を過度に重視する。人前で自由に感情を表現できる人を見ると不快になる。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「抑制」の悪法を持っている可能性があります。


⑰完璧

批判的な家庭で育った人に多い悪法で、常にプレッシャーを感じ、心が休まる時間がほとんどないため、絶え間ないストレスのせいで心臓系に負担がかかり、心疾患や免疫疾患に悩む人も見られます。

社会的には成功したのに満足感が得られない。いつも時間が足りないと感じる。気分転換が苦手で、酒やタバコの力を借りる。常に何かしなければならないと感じる。望んだ基準を達成できないと恥を感じる。

このような行動と感覚に心当たりがあれば、「完璧」の悪法を持っている可能性があります。


⑱懲罰

「過ちを犯した人は厳しく罰せられるべきだ」という信念を生み出す悪法です。

間違いを犯した人は責任を負って罰を受けるべきだ。悪いことをしたのに許された人を見ると腹が立つ。自分と他人を許すことができず、いつまでも恨みを持つ。他人が犯した間違いをつい考えてしまう。仕事がうまくいかないなら苦しみを感じるべきだと思う。他人からは批判的で判断力があると言われる。

このような行動や感覚にとらわれがちな人は、「懲罰」の悪法を持っている可能性があります。


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