「自分の傷、悲しみから目を背けた結果、加害中毒に陥る人」の話
最近「GADHA(ガドハ)」という団体を知った。
「GADHA」は、ハラスメント当事者が自己変容するための団体。
加害者が自らの加害性に気づき内省し、変容していくためのプログラムが用意されている。
加害者側を変容させるアプローチが、画期的だ。
パワーハラスメント、モラルハラスメントの大半は、加害者側に加害しているという自覚がない。
主宰のえいなか氏ご自身も、ハラスメント加害者だった経験を持つ。
彼は過去に悪気なく妻や部下を精神的に追い詰めてしまい、妻からは「話が通じない人」と思われ、会社の部下からは「もうあなたとは働けません」というメッセージを送られた。
その後、懊悩しながらも自分が加害者であったことを受容し、やがて団体を主宰するにいたる。
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僕が書いた2冊のkindle書籍は、加害者、ハラスメントについてかなりの分量を割いているが、
この2冊を書いた動機が、自分を傷つけた人間への怒り、そして傷つけられたことへの悲しみだったのは間違いない。
書いて書いて書き続けることで、少しだけ傷が癒え冷静に過去を見つめられるようになった。
「GADHA」の記事で、新たな視点を得られた。
加害者は自身の傷つきや悲しみを受容できず、それゆえ誰かを攻撃する。
「GADHA」のサイトから、抜粋して引用させていただこう。
もう今では縁遠くなったが、僕の知人でミスターモラハラと呼んでも差し支えない人物が2名いた。
彼らは年齢こそ違えど、驚くほどよく似ていた。
彼らの共通点は以下の通り。
・頭がよい
・仕事ができる
・口が達者
・人を蹴落としてのし上がるのが好き
・男尊女卑
こうして特徴を挙げていくと、有能で自信満々の人物に映るものの、実は傷つきやすく自己肯定感が低かったようだ。
彼らはふたりとも、差別的な言葉が大好き。
人にやったことが少しでもブーメランのように返ってくると、烈火のごとく怒るアンフェアな人間だった。
このふたりは、クラッシャー上司と重なる部分も多い。
ミスターモラハラのうちの1名が通ったあとは、死屍累々。彼は今でも相当数の人間から恨まれ続けているが、それほどえげつない加害行為に手を染めた。
因果を生み出しているのは彼なので、被害者からずっと恨まれるのは当然だろう。
当時の僕は「心ある人間相手に、どうしてここまでひどいことができるんだ?」と、彼を化け物のように認識していた。
しかし加害行為について調べているうちに、「彼は自身の悲しみを認めず受容せず、怒りとして表現していたのではないか?」と認識を改めるようになった。
ミスターモラハラのうちの1名と、徹底的にやりやったことがあるが、
その直後に、彼から長文の謝罪メールが送られてきた。
絶対に人へ頭を下げない、彼からの初めての謝罪。
そこには普段の彼が口にしない「弱さの開示」があった。
彼がメールで記していたのは、悲しみ、傷に関してだった。
自分の悲しみや傷に触れた後、
・弱さを認め、自己を改善するか?
・誰かを攻撃して「自分は絶対、悪くない」という他責の姿勢で生きていくか?
の分岐がある。
きっと多くの人は後者の選択をする。
自身のダメなところと向き合うのは、本当にしんどい。向き合いすぎて、心を病むことだってある。
謝罪メールを送ってきたミスターモラハラの彼とは、その後、一切会っていない。今どうしているか知らないが、行動変容できたのだろうか? 「ストレス発散目的での加害行為」から卒業できただろうか。
恐ろしいことだが、加害行為には依存性がある。
特に嗜虐性や攻撃性の高い人間ほど、誰か攻撃している最中に、ドーパミンなどの快楽物質がドバドバ出るのだ。
理不尽な攻撃を受けた人の心の傷は深く、それゆえに「加害者=モンスター」という図式になりやすい。
深くえぐられた痛みは、長期間被害者を悶え苦しませる。
そもそも、モンスターになる発端とは何だろうか?
やはり、その多くが傷つき、悲しみであり、感情や弱さを見つめず蓋をし続けた結果、加害モンスターのようになることが多いように感じる。
そして僕も含めた多くの人間が、そういったモンスターになる種を持っている。
種の部分に目を向けて、モンスター化にならないよう意識するか、それとも「俺は悪くない。変わるのは周りの奴らだ」と目を背けるかで、人生や人間関係は大きく変わるはずだ。
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