見出し画像

【アメリカのお酒メモ②】カリフォルニアのワイナリー訪問記録(2022年12月)

カリフォルニアのワイナリーを巡る旅に行ったので、内容をまとめてみた。知識的な部分は以下にまとめているので、今回は旅程策定の参考になればと具体的なプランや値段を細かく記載した。

1日目①~Santa Maria Valley~

Santa Barbara CountyはLAからも近いので、二度ワイナリー訪問したものの、Santa Maria Valleyは北にあってちょっと遠い(LAから車で3時間程度)ので、これが初訪問。Santa Maria Valleyの中からワイン評論家のRobert Parker氏に高く評価されたことなどで有名なPaul Latoをチョイスした。

Paul Lato

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2021 “Le Jardin Secret”, Sauvignon Blanc, Grimm’s Bluff Vinyard ($60)

  2. 2020 “Le Souvenir”, Chardonnay, Sierra Madre Vinyard ($80)

  3. 2020 “Goldberg Variations No.3”, Chardonnay, Hyde Vineyard ($85)

  4. 2019 “East of Eden”, Chardonnay, Pisoni Vineyard ($90)

  5. 2020 “Suerte”, Pinot Noir, Solomon Hills Vineyard ($85)

  6. 2020 “Stand by Me”, Pinot Noir, Drum Canyon Vinyard ($85)

  7. 2019 “Lancelot”, Pinot Noir, Pisoni Vineyard ($95)

  8. 2019 “Ora et Labora”, Grenache, Bien Nacido Vineyard ($75)

  9. 2015 “Ora et Labora”, Grenache, Bien Nacido Vineyard ($75)

  10. 2019 “Cinematique”, Syrah, Larner Vineyard ($95)

  11. 2019 “Festina Lente”, Cabernet Sauvignon Howell Mountain ($150)

ChardonnayとPinot Noir中心であるが、それ以外の品種も幅広く、グルナッシュのオールドビンテージも含めて11種類を試飲できた。

なお、上記4.及び7.にあるPisoniとは、上記に引用した記事で触れたとおり、Santa Lucia Highlandsに位置する有名な畑で、La Tacheの枝木を移したとの伝説がある。(Pisoniの畑からブドウを提供されるワイナリーの数は非常に限られているので、その意味でもPaul Latoは貴重な造り手といえる。)2020年は山火事の煙の影響で、作れなかったとのことで、テイスティングで出されたのは2019年であった。

発酵、樽、除梗(destem)等々の基礎的な話をわかりやすく、かつ、丁寧に語ってくれたのは、このワイナリーが一番だったように思う。まだワインに詳しくないという人は、このワイナリーに行って色々話を聞いてみるのはいい機会になるだろう。私以外の旅の参加者からも、おいしさに加えて、説明の丁寧さからも高い評価を得ていた。

土壌の説明も丁寧で、上記5.のSolomon Hillsと上記6.のDrum Canyonの土壌がどのように異なるかも以下の瓶を見せてくれるなど、わかりやすかった。

話を伺っていて面白かったのは、最後のセレクションの過程で、よくできた樽をセレクションして、それを混ぜたものをいくつか作り、ブラインドで発売する組み合わせを決めるとのことであった。残ったワインは、Napaにある某有名レストランに売ったりして処分するとのことであった。

新樽の比率は低くはなさそうではあるが、かなりバランスがよく、どギツイ印象はない。上品さとカリフォルニアのスタイルを両立させたワイン、というのが全体を通した印象である。

テイスティングフィーは70ドル(+税)で、ワインを買うこと等による割引は特になかったが、上記のとおり非常に満足な内容で70ドルというのはかなり良心的な値段と感じた。ワインもおいしかったので、上記1.及び7.のワインを購入させていただいた。

1日目②~Paso Robles~

Santa Mariaから北上してPaso Roblesへ。

Clos Solene Winery

前にMontereryのワインバーでワインを試飲していたときに、「フランスのワイン好きならぜひここのワイナリーに行くべきである」と店主の方がおすすめしてくれたのがこちらだったので訪問。

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2020 Cuvee Juliette, Pinot Noir 80%, Chardonnay 20% ($130)

  2. 2021 Hommage Blanc, Roussanne 80%, Viognier 16%, Grenache Blanc 4% ($68)

  3. 2020 Fleur de Solene, Syrah 52%, Grenache 25%, Cabernet Sauvignon 23% ($78)

  4. 2020 Harmonie, Grenache 72%, Syrah 14%, Mourvedre 14% ($88)

  5. 2020 Hommage a nos Pairs Reserve, Syrah 96%, Viognier 2%, Grenache 2% ($108)

南仏出身のフランス人夫婦が、カリフォルニアに移り住んで2007年に始めたワイナリーとのこと。ワイナリーの名前のSoleneは奥さんの名前のようである。ワインの説明をしてくださった女性もボルドー出身の方で、(フランス訛りがきつくて私の英語力では理解にやや難儀したものの)フランスとの対比等の話もできたので、彼女から話を聞くことができてよかった。

3.にあるように、南仏品種にカベルネ・ソーヴィニョンを加えるなど、フランスでは許されないようなブレンドを行うこともカリフォルニアに移り住んだ理由の一つ、ということであった。

ブルゴーニュでいう「ネゴシアン」(農家から仕入れたブドウを用いて醸造を行うワイナリー)スタイルだったPaul Latoに対して、こちらはテイスティングを自社畑の目の前で行ってくれて、「このブドウはあそこの畑で栽培された」という説明が入るので、臨場感という意味で楽しめる試飲であった。

細かい醸造方法等は以下に情報がまとめられているので、ご興味のある方は参照されたい。日本でもいくつかは手に入るようではある。

テイスティングフィーは一人当たり45ドル(+税)。3人でテイスティングを行い、ワインを購入すると、1人分のテイスティングフィーが無料になるということであった。(なぜ、1人分なのかはよく説明が理解できなかった。。笑)

個人的な感想をいえば、非常にエレガントで抑制的なワインという全体的な印象であった。ワイン単体として飲むには、やや楽しさが欠けるような印象を持ったが、ワインの雑誌からは高い点数を得ているようでもあり、完全に私の印象なので、ぜひお試しいただければ。

2日目~サンフランシスコ~

二日目はワイナリーへは行かず、サンフランシスコ観光にあてた。
ワインとは全く関係ないが、SFのMoMAは、2階にある無料で入れるゾーンに有名画家の作品が集まっているので、25ドルの入場料をケチりたければ、2階の無料ゾーンだけを回ることでも十分楽しめる。

サンフランシスコにもテイスティングできる場所は散見された。たとえば、以下のWinery Collectiveは、Fisherman’s wharfにも近く、複数のワイナリーのワインを楽しめるようである。(私は中華が食べたかったので、チャイナタウンで夜を過ごしたのので、行けてはいないが。)

3日目~Napa Valley①~

Calistogaを二つのワイナリーを回った後にOakvilleの二つのワイナリーを回るのが1日目のプラン。

Chateau Montelena

朝イチの9:30~のテイスティングに参加。

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2021 Sauvignon Blanc, Napa Valley ($45)

  2. 2020 Chardonnay, Napa Valley ($70)

  3. 2019 Zinfandel, Montelena Estate ($45)

  4. 2019 Cabernet Sauvignon, Napa Valley ($85)

  5. 2018 Cabernet Sauvignon, Montelena Estate ($200)

  6. 2014 Cabernet Sauvignon, Montelena Estate ($250)

1976年のパリの審判で1973のシャルドネがフランスワインに勝利したことで有名なワイナリー。

ちょっとブレているが、以下がその勝利したワイン。

風の噂で少し旧世界寄りの作り方をイメージしていたが、シャルドネは思っていたより王道ナパのイメージに近かった。(これは果実味と酸の感じ方の問題であって、新樽の比率は抑え目なのかもしれない。)
パリの審判で有名なシャルドネに比べて、6.のMontelena EstateのCSが大当たりだった。通常のコースだと、1.~5.だけだったが、特別にということで出していただいた。(ワイナリー見学で、「特別に」ということで追加でもらえることはよくある。サービスの一環と思ってよいだろう。笑)

6.のワインを購入しようか迷った。まだNapa最初のワイナリーということもあり購入を見送ったものの、今思えば買っておけばよかった。。CSではこの旅のベストといってよいと思う。なお、ワイナリー設立何周年記念ということで、特別にLibrary Winesが放出されているようなので、来年行ってこうしたワインが出てくる、ということは期待しない方がよいかもしれない。

テイスティングは一人当たり59.3ドル(税込み)。一定額のワインを購入するとテイスティングフィーが無料になるという仕組みだったと記憶しているが、ここではワインを購入していないので、具体的な額を覚えていない。。(150ドルとかそのあたりだったような。。。)

Schrumsberg

あまり赤ばかりだとしんどいので、カリフォルニアのスパークリングメーカーとしてはかなり有名なこちらへ。

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2019 Schramsberg, Blanc de Blancs ($42)

  2. 2019 Schramsberg, Brut Rose ($47)

  3. 2019 Schramsberg, Blanc de Noir ($44)

  4. 2013 J. Schrams, Blancs ($130)

  5. 2019 J. Davies, Cabernet Sauvignon, Diamond Mountain District, Napa Valley ($135)

4つのスパークリングワインと関連ブランドのCSを一つ、という組み合わせ。Schrumsbergのラインナップは、ノンヴィンのMirabell、ミレジメ付きのBlanc de Blancs、Blanc de Noirs、Brut Rose、上級キュヴェにReserve、J. Schram等がある、というもので、上級のものを除けば、普通にLAのスーパーで手に入るので、1.~3.はそこまでありがたい感じのものでもないが、上級は基本的にメーリングリストのメンバーに配るのが中心ということだったので、4.をいただけるのはありがたい機会といえる。(ただ、普通にネットで買おうと思えば買えるし、日本でもヴァンヴァンで扱っていたように思う。)

日本でJ. Schramを飲んだ時は、非常においしくて感動した記憶だったが、今回はそこまで感動しなかった。(期待を高くしすぎたのかもしれない。。)いずれのワインも単体で飲んだときに特段秀でた印象は持たなかったが、苦力たちが人力で掘ったCaveのツアーも兼ねていて、スパークリングの作り方の説明も丁寧なので、Napaのワイン旅に入れ込むのにおすすめである。

テイスティングフィーは一人当たり約70ドル(税込み)であった。なお、テイスティングした人は、30%オフでワインを購入できるという特典付きだった。

Opus One

スノッブな印象は否定しがたいが、Napa来たからにはということでこちら。前回の投稿でも記載したが、Opus Oneは、Robert MondaviとPhilippe de Rothschild(シャートー・ムートンを保有するパリ・ロチルド(ロスチャイルド)家のロンドンの分家の家系)のコラボレーションによって生まれたワイナリーで、ラベルのシルエットは二人の横顔である(右がロチルド)。Robert Mondaviの買収とともにConstellation Brandsにその持ち分が移行している。

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2019 Opus One ($390)

  2. 2017 Opus One ($395)

  3. Overture ($150)

超巨大な施設で、樽の貯蔵場所もすごいおしゃれで、観光地としてはもってこいの場所といえる。
ただ、個人的にいえば、このワインがここまで高く評価され、ここまで高値で売られている理由は、マーケティングの要因が強いのではないかと思わざるを得なかった。もちろんおいしいし、バランスが非常に取れているワインだと思うが。。

テイスティングフィーは、一人当たり約108ドル(税込み)。ナパのワインといえばOpus Oneというほど有名でもあるし、観光地に行く気持ちで払えば、そこまで高いとは思わないが、3種のワインでこの値付けはさすがである。

Robert Mondavi

3日目の締めは、Robert Mondavi。ワイナリー見学は終わるのが早いので、詰め込めても4つといった感じ。今回は冬なので混雑もなかったが、夏には渋滞もあるようなので、それも見越しつつ、ワイナリー見学を組む必要がある。

  1. 2018 Pinot Noir, PNX, Carneros District

  2. 2021 Sauvignon Blanc, Stags Leap District

  3. 2014 Momentum, Red Blend, Napa Valley

  4. 2019 Cabernet Sauvignon, Oakville District

4番目のワインは、今年のWine Spectator誌のTop100ワインで、6位に挙げられたワインである(スコア自体は94)。小売り価格85ドルでこのおいしさ、というのはさすがというほかない。

テイスティングフィーは、一人当たり約77ドル(税込み)。提供される本数と価格帯を考えると、やや割高な印象は否めない。

4日目~Napa Valley②~

Hyde de Villaine

自分は旧世界ワイン好きなので、そちらの方向性を持っていると聞くHdVを予約。こちらはメールや電話で問い合わせる必要があり、かつ、体制的にたくさんの人は受け入れないということなので、かなり前もって連絡しておくことをおすすめする。

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2020 Le Debut Chardonnay ($55)

  2. 2019 HDV Chardonnay ($78)

  3. 2020 Ygnacia Pinot Noir ($120)

  4. 2018 Californio Syrah ($85)

  5. 2018 Carrillo Cabernet Sauvignon ($150)

Chardonnayでいえば、この旅ベストが2.であった。旧世界ワイン好きでNapaをエンジョイしたい人はかならず寄ってほしい場所と思う。私としては感動ものであった。ちなみに、2.のワインは、今年のWine Spectator誌のTop100ワインの3位に挙げられている(スコア自体は96)。このことを話すと、ワイナリーの方は、最近はアメリカの批評誌も、HdVのような抑制的なワインを評価する方向が強まってきている、とおっしゃっていた。

テイスティングフィーは、一人当たり75ドル(税別)であったと記憶している。(4本も同時に買ってしまったので、値段が定かでない。。)

Caymus

テイスティングできたワインは以下のとおり。

  1. Mer Soleil: 2021 Chardonnay Reserve, Santa Lucia Highlands

  2. Sea Sun: 2020 Pinot Noir, California

  3. Caymus-Suisun: 2021 The Walking Fool, Red Blend, Suisun Valley

  4. Caymus: 2020 Cabernet Sauvignon, Napa Valley

  5. Caymus: 2017 Special Selection Cabernet Sauvignon, Napa Valley

この旅で回ったワイナリーの中で一番陽気で新世界らしいワイン、といった感じ。
外でのテイスティングなので、冬は女性には寒いかもしれないが、暖房もあり、ブランケットも貸してもらえるので、私自身は問題なかった。

テイスティングフィーは、一人当たり50ドル(税抜き)であった。これにリーデルのワイングラスがもらえるという特典付き。また、50ドル分ワインを買うと、テイスティングフィーが無料になるという特典まで付いている。ここがNapaで一番太っ腹なワイナリーと感じた。3人で行ってぴったり150ドル分のワインを買うというセコさを見せつけてしまった。笑

Joseph Phelps

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2019 Chardonnay, Pastorale Vineyard, Sonoma Coast

  2. 2019 Pinot Noir, Freestone Vineyards, Sonoma Coast

  3. 2019 Cabernet Sauvignon, Napa Valley

  4. 2018 Insignia, Napa Valley

  5. 2019 Insignia, Napa Valley

  6. 2019 Delice, St. Helena, Napa Valley

ここは、立派なワイナリーを構えていて、いい雰囲気を味わえる。

各種ワインの中には、複数種類のワインの中にデザート・ワインも含まれているし、最上級ブランドのInsigniaの年違いを比較できるなど、テイスティングの楽しさがふんだんに詰め込まれている。

Insigniaは18と19でブレンドを大きく変えたこともあり、18は旧世界的なテイスト、19はより華やかでアメリカらしいワインになっているとのことであった。どちらもおいしく、楽しい比較であった。

デザート・ワインのDeliceは、早摘みして、酸味を強く残しているということで、甘ったるく感じない素敵なデザート・ワインであった。

テイスティングフィーは、一人当たり約97ドル(税込み)であった。やや高いが、テイスティングの内容を踏まえると大満足といった感じである。

5日目~Sonoma~

Littorai

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2020 Chardonnay, Sonoma Coast ($65)

  2. 2020 B.A. Thieriot Vineyard, Chardonnay, Sonoma Coast ($95)

  3. 2021 Pinot Noir, Sonoma Coast ($65)

  4. 2020 Roman Vineyard, Pinot Noir, Anderson Valley ($95)

  5. 2020 Wendling Vineyard Block E, Pinot Noir, Anderson Valley ($90)

  6. 2014 Roman Vineyard, Pinot Noir, Anderson Valley ($185)

旧世界に近いような作り方を採用しているようで、非常にストイックな印象。個人的には好みだったが、人は選ぶかもしれない。

テイスティングフィーは、一人当たり約71ドル(税込み)であった

Freeman

テイスティングできたワインは以下のとおり。括弧はボトルでの販売価格。

  1. 2021 Hawk Hill, Chardonnay ($52)

  2. 2018 Ryo-fu, Chardonnay ($45)

  3. 2019 KR Ranch, Pinot Noir ($62)

  4. 2019 Gloria Estate 輝, Pinot Noir ($68)

  5. 2019 Yu-ki Estate, Pinot Noir ($68)

  6. 2019 Akiko's Cuvee, Pinot Noir ($78)

  7. 2014 Russian River Valley, Pinot Noir ($45?)

非常によくできたワインで、Littoraiに比べれば、アメリカ的な陽気さが乗っかっているが、バランスが取れている。

一人当たり約45ドル(税込み)のテイスティングフィーも飲ませていただいたワインの数に比してだいぶお手頃でよい。

Flanagan

テイスティングできたワインは以下のとおり。

  1. 2021 Viognier, Bennett Valley

  2. 2020 Chardonnay, Sonoma Coast

  3. 2021 Pinot Noir, Sonoma Coast

  4. 2018 Cabernet Sauvignon, Sonoma Coast

  5. 2018 Syrah, Bennett Valley

日本で2.を飲んでおいしいと思って伺ったワイナリー。こちらもよいワイナリーと感じた。

一人当たり約65ドル(税込み)のテイスティングフィー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?