3月31日公開のnoteテキストについて

 3月31日(日)にHUB-IBARAKIのnoteページに公開しました「作品《シンドローム》について」のテキストにつきまして、翌日4月1日(月)より公開を一時取りやめておりました。その件について、2日(火)から数日間にわたり、運営側と行政側の担当者と本テキストを執筆した冬木遼太郎さんで直接話し合いを持ちました。今年のHUB-IBARAKIでは、会期中の多数のプログラムと関連する取り組みの実施レポートの公開と、アーカイブとしての情報集約を目的に、Web内での情報発信ツール「note」の活用を始めています。

 今回の経緯は、作品《シンドローム》の公開後に、山中チーフディレクターがnoteへのテキストの執筆を冬木さんに依頼したことから始まります。3月31日(日)に冬木さんが仕上げたテキストを、チーフディレクターと山本ディレクターが内容を確認した後、noteにテキストを公開しました。その翌日4月1日(月)に茨木市側から内容についての指摘と、それに伴う懸念が伝えられ、チーフディレクターの判断により一旦テキストを非公開としておりました。

 チーフディレクターとディレクターも交えた話し合いの冒頭で、冬木さんから、このテキストは《シンドローム》の制作経緯をありのままに客観的に述べたものであるとの説明を、一方で茨木市側から、発表作品の変更の経緯の部分で、作家がやむを得ず現在の作品を発表したと読み取られ、行政やプロジェクトへの批判の声が内外で生じる恐れがあるとの回答を、それぞれに直接伝えました。その後、SNSやHPから発信するテキストの校正・チェック体制、リスク想定の範囲と基準、読者の立場・環境による印象の差、現場に関わる人間の組織・個人の違いなど、それぞれに意見交換をおこないました。

 また、テキストの今後の取り扱いとnoteの運用についても検討をおこないました。この経緯説明のテキストをnoteに公開し、現在公開を一時取りやめているテキストはHUB-IBARAKIと関係のない別サイトにて掲載すると共に、その掲載先のリンクを本文に添付するという方針としました。作家の主張と行政側の懸念が同時に反映できる折衷案として、また今回の一連の経緯とそれぞれのプロジェクト内での立場が出来る限り誤解なく伝わることを考慮した公開方法としています。
 今後のnoteの運用については、プログラムの実施レポートやその周辺のプロセスを開示したテキストを掲載する方針に変わりはありませんが、執筆はプロジェクトの運営側のみが担当し、プロジェクトの現場からの視点で発信していくこととしました。

 今回の一連の経緯は、このnote活用の明確な基準作りはもちろんのこと、作家と行政側それぞれの性質をお互いが深く共有できる環境作りに、チーフディレクターとディレクターの配慮が行き届いていなかったことが大きな原因です。また、現場での立場が異なる人間が執筆することによって、それぞれの立場が背負うリスクについても想定が不足していました。例年以上に数多くの多角的なプログラムを実施する、今年のプロジェクトの規模と質に応じたコミュニケーション構築への配慮不足が招いたアクシデントとして、両者の仲介役と的確なリスク管理を担う立場として深く反省しております。

 このたびは関係各位に心よりお詫びすると共に、この経緯の反省を踏まえ、今後もnoteの発信の継続を通じて、アートプロジェクト内で起きる様々な状況を実直に拾い上げて、充実したレポート・アーカイブとなるように努めていきます。

文責:チーフディレクター 山中 俊広
 

「作品《シンドローム》について」 

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