見出し画像

ホスピタリティーのポイント(前編) 対談者:リゾートレストランCasita オーナー 高橋 滋 様

皆さまこんにちは!ヒューマングループnote編集担当 朝永です(^-^)

今回のヒューマントークは、質の高いホスピタリティーで話題となった、リゾートレストランCasitaのオーナー 高橋滋様との対談をお送りいたします!

まずは弊社社長 内海のCasita、そして高橋社長との出会いからご覧ください。

Casita 高橋社長

高橋社長は徹底したホスピタリティを目指し六本木にレストランを開業!

知人の紹介で六本木のレストラン”カシータ”を訪問、スタッフの皆さんの対応、会話、そして料理・・・素晴らしい!

同じサービス業として学ぶ場であることに気づき、機会をみつけて友人と訪問、そのたびに新しいサービスでの接客に頭が下がりました。

真髄を高橋社長にお聞きしました。

※対談の本文は、2009年12月にヒューマンニュースレターに掲載したトークを当時の文章で掲載いたします。

ホスピタリティーのポイント(前編)

note ノート 記事見出し画像 アイキャッチ (12)

<ヒューマンニュースレターVOL.36(2009年12月発行)より転載>

リゾートレストランCasita オーナー 高橋 滋 様
ヒューマングループ 代表取締役 内海 和憲

内海カ:私がカシータと出会ったのが2003年、友人よりいい店があるから一緒に行こうと誘われ、初めて店に行きました。まず雰囲気が良かったということと、スタッフの山田さんと名刺交換させていただいて、最後帰る時にはきちんと私の名前を「内海様ご利用ありがとうございます。またお待ちしています」というメッセージをいただいたときは嬉しかったですね。そのときに、このレストランは他とは何か違うな…と感じました。それから実は色んな友人を誘っては食事にきまして、行くたびにスタッフの皆さんのホスピタリティーがすごく心に熱く感じたものですから、それ以降何度もお店にお邪魔させてもらってます。高橋オーナーがカシータをつくられたときの思いを聞かせていただけますか?

高橋:僕は、幸か不幸かレストランという仕事の経験がなかったのがまず良かったんでしょうね。レストランといえばシェフとかソムリエがスタートするのですが、シェフやソムリエは、自分の仕事、手元を重視するんです。僕がもしシェフだったら、お客様がどう感じるかではなく、自分が今まで勉強してきた料理の集大成の店を作ったと思うんです。ところが僕は全然レストランで働いたことがなかったので、世界中を旅行していたとき、飛行機に乗ったとき、ホテルやレストランで客になったときに、どういうところが、感じが良くて、どういうところが感じが悪いかを十分わかっていましたので、そんな客目線でレストランを作ったらおもしろいものがつくれるだろうし、絶対にお客様は来てくださると思ってましたね。

内海カ:2001年に六本木に創業され、スタートされてどのくらいの期間で軌道にのられたのですか?

高橋:半年で手ごたえを感じて、1年目でほぼ満席に近かったですね。

内海ホスピタリティーのあるサービスができるレストランを作るにはどのようにスタッフの方々に教育をされたのですか?

高橋:僕は日本一自分の店に出入りするオーナーだと思っていますけれども、最初は、もっとスタッフ寄りに立って毎日お店にいました。飲食店の経験が長いスタッフばかりですから、やはり飲食店の枠でしかものが見れないんです。料理人であったら皿の上しか見ないし、マネージャーだったらテーブルしか見ない、店長だったら店の中しか見ないわけです。そういう中で、僕は仕事に線を引かずに、たとえばお客様をホテルまで送ってっちゃおうよ、今日は迎えに行っちゃおうよ、ホテルの部屋まで届けちゃおうよというふうに、率先してそういうのをしていきました。

昔、僕がニューヨークで取引先の方と一緒に食事をよくしていたのですが、食事が終わったあと、一人ホテルの真っ暗な部屋に帰ると、とても淋しいんですね。その寂しさを僕はよく知っているので、東京にお見えになった地方のお客様がホテルに戻られたときに、カシータからメッセージが届いていたらどれだけ嬉しいか・・・。そういう発想です。そんな発想は、シェフやソムリエでもでてこないですね。とにかく自分の現体験が生きるわけです。

内海私どももFAXをいただいたことがあります。丁寧に手書きで書いてあって、とても嬉しかったですね。高橋オーナーの本に、アマンリゾーツというホテルがよくでてくるのですが、そのホテルは何がどのように違うのでしょうか?

高橋:僕の分類では、アマンリゾーツとリッツカールトンは同じです。アマンリゾーツ・リッツカールトンの上顧客と、他の一流ホテルの上顧客の話では、どちらもホスピタリティーは互角なようです。ところが何が違うか。アマンとかリッツカールトンは確かに高いハードルを設けています。世界一の高級シティホテル、世界一のリゾートホテルですから価格もそれなりに高い。でもそのハードルを越えてくると誰が言ってもわがままを聞いてくれる。例えばうちのスタッフが生まれて初めてガタガタ足を震わせながらリッツカールトンにチェックインして、その夜、ルームサービスのメニューにないカツ丼を作ってくださいと言うと、笑顔で作ってくれるのが、アマンリゾーツでありリッツカールトンです。

高橋:私たち日本人がいいと信じている一流ホテルというのは、リピータ顧客に関しては、究極のサービスをするんですが、ところが、うちのスタッフが今日いきなりチェックインして、夜、カツ丼を作ってくれと言っても作ってはもらえないんです。この差なんです。もちろん、リッツでもアマンでも究極的には、通って愛した人が一番愛されるんですけど、とにかく誰に対しても努力するんですね。リッツカールトンに、ややみすぼらしい格好をした人が来たら断ると思いますか?望む客ではないかもしれないけれども、リッツカールトンは、お客様であるのでなにごともなかったように部屋を提供して案内すると思うんですね。こういう精神がすごく大事だと思います。

内海最初六本木からスタートされて、青山、麻布、赤坂と、そして12月中旬に池袋にもう1店舗オープンされ、カシータという一つのブランドを展開されているわけなんですけれども、人の育てかたというのはどういうふうにされているのでしょうか?だんだん目が慣れていくと思うんですけれども。

高橋:うちも悩んでいることなのですが、たとえばエアラインだったら会社に力がありますから、キャビンアテンダントを育てるのに半年研修させてから、半年後に現場におくるということができます。でも私たちにそれだけの体力はないし、研修センターがあるわけではないですから、すごくそういう意味ではハンディは大きいんですよね。今の飲食業界は、非常にターニングポイントにきています。以前同じような状態だったのが、パチンコ業界です。あるパチンコ業界の社長さんが、「人間を替えなくっちゃならない、新卒の社員を採用して、人材を替えよう」と言われてました。そしてそれからパチンコ業界はみごとに再生をされたんです。

僕はまさしく今それに取り組んでいるところです。飲食業界は即戦力がほしいですから、よその有名なウェイターとかソムリエを引き抜いちゃうんですよね。ですから辞めることによってキャリアアップとかになって、これがだんだん顕著になっていって、すぐに辞めていっちゃったりと、非常に離職率の高い現場の一つになっているんですね。ですからこれを直すには、そういう体質を変えなくっちゃいけないだろうということで、私たちも新卒の若者を採用してカシータで教育していこうとしています。そういう意味では根本的なところから見直しているところです。
最近、東京のタクシーの運転手さんがすごくマナーが良くなっていると思いませんか?一番大きな理由は、最近の不景気で、百貨店の外商をしていた人とか、いろんな人がタクシーのドライバーをされているんですね。だからきちんとした物腰で話す人が多いですよね。

内海多いですね。身だしなみも違いますよね。

高橋:その業界の人を根本的に変えるというのは大事かもしれないですね。

内海リ:2010年から新卒を採用して、一からヒューマングループで育てていこうという取り組みを始めたばかりなのですが、一番大事な入口の人の見極め方という部分でなにかポイントにされているところはあるのでしょうか?

高橋:私どもで言う優秀な人間というのは、笑顔で、人の目を見て、キチンと挨拶できる若者なのですが、そういう若者だけを拾っていたら当然足らない訳ですよ。なかには、入れてみると意外といい場合もありますからね。たとえば事務職を探すのであれば、履歴書で読めるわけですね。事務能力が高い人というのはすごく立派な履歴書をつくってきますよね。そういう人を入れるとまず間違いないですね。ところが対人間の仕事は、写真も貼っていない、動機もいい加減書いてきているそんな人が多いですよね。でも以外とそういう人がいい動きをすることもあるんですね(笑)。書類よりも面接なのですが、面接は非常に難しいですね。でもリッツカールトンは会社の歴史が長いので、その辺いいシステムをもってますよね。人を見極める方法があるんですね。私どもは経験者、できあがっている人を採用していたので、真っ白な若者の才能を見抜くいうのはこれからノウハウをためなくっちゃいけないですね。今勉強中です。

内海カ:ホスピタリティーのある自動車学校をつくろう、それをさらにもっと充実させよう、徹底してやっていこうとしているのですが、ホスピタリティーのマインドに火をつけさせる、そのへんで何かポイントはありますか?

高橋:今、年間に50回から70回セミナーをやっているので、各セミナー会場でいろんなセミナーの先生といわれる人たちにお会いする機会が多いんですけれども、これがまさしく先生なんですよ。僕は全国どこいっても僕を紹介してもらうときに講師の先生の高橋さんって絶対言わせないですね。なぜなら、先生と呼ばれるようになった時点でみんな大きく勘違いしちゃうんですね。

ある有名なホスピタリティーのセミナーの先生はステージの上で声高らかにホスピタリティーをとくわけです。ところが公演が終わって控え室に戻ると堂々と主催者の方から飲み食いをただでごちそうになって、当たり前のように主催者にお金を払わせて、あたりまえのように車を用意させて、肩たたいて「頑張るんですよ」と言って帰っていくわけですね。自分がサービス業であり、お客様に頭を下げる気持ちを忘れちゃっているんですよ。ある方々は「高橋さんのところはレストランだから、サービス業だから、でも私は教育業だから、ときに叱らないといけないし、導いたりもしなきゃならないから、それはあんたとは違うよ」とおっしゃるんです。でも僕は全然違わないと思います。もちろん僕も、ものすごく厳しく熱い講演もします。でも始まる前に頭を下げるし、終わって、皆さんのところに行って、100名のパーティーだったら、100名全員に30分かけて乾杯をしてご挨拶します。それは僕の精神ですね。僕にとってレストランをやることもセミナーをやることも同じなんです。お金をいただいていることなんです。

自動車学校の生徒さんもやっぱりお客様ですよね。教育業であろうと、最終的にお金をいただいているんであれば。多くの方が最後で大きな勘違いをしちゃいます。実は先日もセミナーがありましてね、僕が2時間くらい具体的な例までだしてガンガンガンと話をさせていただいて、とても盛りあがったんですけれども、ところがセミナーを聞かれた方から最後懇親会のときに、「いやぁいい話だったけれどもぐさぐさにやられちゃったね、でもね、高橋さんの言ったことをわれわれの業界に落とし込むにはどうしたらいいのかな?」と質問をされたんですね。もうその言葉を聞いた時点でたぶんその会社は何も変わらないと思いました。僕が年間講演会をする中で、9割以上は何も変わらないんですね。みんな涙流して聴いてくれるけれども、絶対に落とし込もうとしないですね。僕のセミナーは、すごく簡単で、お客様をお出迎えすればいいんですよ。お見送りすればいいんですよと、それだけの話をしているのに、それをどう落とし込もうかなんてことを言うこと自体が…そこまで教えているのに、それをやるかやらないかだけなんですけどね。

僕がカシータでやっていることっていうのは、僕が旅をして僕が受けたサービスでいいなと思ったことを、そのままやっているだけなんですね。内海さんが、ホテルに帰ったらカシータのメッセージが届いていて喜ばれたって言われていましたが、それは、僕がアメリカのホテルにリピートして泊まっているときに、印刷だけれどもホテルからのメッセージが部屋に置いてあって、嬉しかったから、それをカシータで落とし込んで同じことをやっているだけなんですね。

内海カ:逆に言えばサービスのヒントがたくさん目の前にあるってことですね。

(後編に続く)


高橋 滋氏 プロフィール
1952年愛知県生まれ。オートバイ輸入販売会社を設立後、究極のリゾートと賞賛するアマンリゾーツに出会い、質の高いサービスとホスピタリティーに感銘を受け、2001年、東京六本木にリゾートレストランCasita(カシータ)を開業。
客としての豊富な体験をベースにした独自の経営手法により話題のレストランと注目を浴びる。
著書「I am a man.」
  「サービスの合言葉 お客様に真剣ですか?」

▼Casita Restaurants HP


朝永のつぶやき

最後まで読んでいただきありがとうございます!ここからは編集担当が今回のトークを読んだ感想をまとめたプチコーナーです(^o^)/

今回は、リゾートレストランオーナーCasitaのオーナー 高橋様をゲストにお迎えしCasitaで取り組まれているホスピタリティやスタッフへの教育についてお話を伺いました!

私はあまりお客様と直接的に接する機会はありませんが ”どんなお客様、誰に対しても努力する”という言葉はとても響きました。

そしてカシータで取り組まれている様々なホスピタリティーなサービスはすべて高橋様の経験が生かされているという部分を読んで、私も自分がされて嬉しいと感じたサービスや言葉を心に留めてお客様や周囲の人々に共有していきたい!と思いました(*^-^*)

それでは今回はこの辺で!また次回お会いしましょう♪

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?