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「また、読み返したい。」note保存記事

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2022年11月の記事一覧

『すずめの戸締まり』と「震災」の問題

「国民的作家」であることの自覚? 新海誠の新作『すずめの戸締まり』を、最速上映で見てきた。この作品については11月16日配信の番組でしっかりと議論する予定なのだが、その準備も兼ねて、ここでは現時点での考えをまとめておこうと思う。ちなみに、何段落か後からネタバレ全開で書いていくので、それが嫌な人は実際に映画館に足を運んでから読むようにして欲しい。 結論から述べると、この作品で新海誠は明らかに宮崎駿や、村上春樹が背負ってきた(そして村上は良くも悪くもそこから逃げ出してしまった

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【ネタバレ】すずめの戸締まり 物語と小ネタ・感想・考察

期待していた新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」 公開初日に鑑賞してきたので綴ります。 公式パンフレットと鑑賞特典「新海誠本」に記載の情報を 一部引用しつつ紹介。 ※以降、冒頭からネタバレ全開の内容 鑑賞済みの方はストーリー等読み飛ばしていただければ。 閉じ師 草太の詠唱冒頭12分公開からずっと気になっていた草太のまじない詠唱、パンフレットにしっかり記載。ありがとうございます。 「ヒミズ」はモグラのことで、 ミミズの天敵なわけだが、それも掛けた祝詞なのかなと推察。

私たちは、光の中で生きていく。映画『すずめの戸締まり』が示した絶対的肯定について。

【『すずめの戸締まり』/新海誠監督】 この世界を生きていく上で、時に私たちは、理由もなく降りかかる悲しみと対峙しなければならない。例えば災害は、意志も目的もなく、ただただ不条理に私たちの日常を奪い去っていってしまう。 「あの日」の朝、「いってきます」と言って家を出た人たちが言えなかった「ただいま」の言葉。「いってらっしゃい」と言って送り出した人たちにかけることができなかった「おかえり」の言葉。当たり前のように続いていくように思えた日常は、たった一瞬で、無慈悲に断絶され得る