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高くて家が買えないなら、安い家を探そう

前回「300万で家を買う豊かさ」の続き。今回は、お金をかけずに家を買う方法、いわゆる「How to」のお話。

田舎には300万以下の物件がたくさんあるんだけど、僕がそういう家にどうやって出会ったか。どうして購入を決めたのか。その理由を以下、書いていきます。

一つ目の落とし穴

家が欲しいとなると、大抵の人はまず不動産サイト(=SUUMOやアットホーム等)を当たると思う。

ここが一つ目の落とし穴だけど、戸建ての格安物件は「家」として売られていない。「土地」として売られているのだ。いわゆる「古家付き土地」という物件。

これはつまり「古い家が建ってますが、家には価値がありませんよ」という意味。新築で家を建てたい人にとっては、古い家を壊して更地にする費用がかかるので、古家付き土地は敬遠される。しかし、それを逆手にとって、家をただ当然で買ってしまおうではないか。これが空き家大国・日本に住む僕には一番しっくりくる選択でした。

良い物件は直感で分かる

そして次の難所は、物件ページを見ても家の中の様子は載ってない、という問題。そう、家には価値がないから、わざわざ紹介なんてしないのだ。

じゃあどうするか、というと次の3つの選択肢がある。

1)不動産屋に電話して内覧する
2)Googleのストリートビューで見る
3)実際に現地に行ってみる

無理なく買える家、と言うのは人それぞれ金額が違うと思うけど、僕の場合300万以下という条件で、まずふるいにかけた。その上で、物件にアプローチしたのだが、

まず1)のパターン。
「土地じゃなくて建物を見たいんですけど...」と伝えると、先方の不動産屋が露骨に嫌な対応を取ってきます。ボロボロの家を仲介するのはトラブルの元だから、というのでまあ理解はできるけど。。これを続けてると心が折れてくる。

ということで、2)のストリートビューでおおまかに場所の検討を付けて、3)の現地突撃パターンで自ら下見。その中から良さそうな物件だけ(を10軒くらい)内覧した。

中には、天井も床も崩壊した物件もあったから、(良いか悪いかは別として、)多少の古さや汚さには驚かなくなった。この家探しは足かけ3年続いたので、良い物件をその場で決める即決力が付いた気がする。

田舎で家を買う前に確認すべきことはたくさんあって、基礎や屋根の状態、立地や隣近所のこと、土地や建物の所有権のこと、移住者コミュニティの有無などポイントは山ほどあるが、最後は直感で決めた

条件が良さそうな物件でも「なんとなく嫌だなあ」と感じる物件はやめた方がいい。第六感なんていうと嘘くさいが、危険に対する本能的な察知力(嗅覚)はおろそかにしない方がいいと思う。

格安物件が出回らない理由

そんなこんなで自分の場合は、理想的な物件に出会えたのだが、その購入に至るまで、つまり「住みたい」かつ「買える」格安物件を見つけるのに、ものすごく苦労した。

というのも不動産サイトには、安い物件がほとんど掲載されてないからだ。

なぜ格安物件が流通していないのか。
答えは簡単。
安い物件の仲介は不動産屋にメリットがないから。

例として、200万円の物件と1,000万円の物件を比較すると仲介手数料は以下の通り。

1)200万物件...仲介料は約11万円
2)1,000万物件...仲介料は約39万円

計算式はネット上にたくさん転がってるので割愛するが、1件あたりこんなに差が出てくる。

物件価格が高くても低くても、不動産屋がすべき事は同じなので、同じ労力なら見返りが大きい高値の物件を扱うのがビジネスとしては正しい。

すると、どうなるかと言うと...

家を売りたいひと(売り主)が不動産屋に相談する

古い家だと値段が安く、不動産屋の旨みが少ない

高く売れるように、リノベーションして売り出しましょう、と不動産屋が提案する

売り主はお金をかけたくないので、安モノばかり使ったリフォームが行われる

結果、売り値は上がるが相場に合った値段だから、買い主にとっては魅力がない

売れずにずっと放置される

という結果を招く。

特に戸建ての場合、更地にすると固定資産税が上がるため、放置されたあげく倒壊するケースも。

こうした負のループは、仲介手数料の制度設計が招くもので、当然行政も分かってるはず。。。妥当な金額についてはプロに任せるとして、たとえば

・手数料は売買価格の4%とする
ただし、
・下限20万円
・上限40万円以内に収めること

みたいなルールにすれば、少額物件でも流通しやすくなるのではないか。

日本の住環境を左右する空き家

つい先日も「全国の空き家件数が過去最高を更新」というニュースを見た。こうして負の側面ばかりが強調される空き家問題だが、見方を変えれば利活用されてないインフラが大量にあるということ。

新築を優遇する風潮から離れ、空き家がもっと流通する流れに変えていけないものか。たとえば、空き家を売買するときに限り、所有権移転の登記費用を減額する制度をつくるとか。そうすれば、金銭的な問題で家が買えないひとにもチャンスが巡ってくると思うのだが。

▼つづきは下記リンクから


住まいの選択肢を広げるべく、理想の家を探す旅をしています。