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星座の研究

 夏休みの宿題で最後のデカイやつ、というと読書感想文と自由研究が2トップではないでしょうか。まあまあ、読書感想文はさておき、わたしにとって自由研究は多忙な父と少しでも一緒に過ごすための大切なイベントであった。

 父は小学校の先生で、いろんなことに対して興味と探究心があり、自分の好奇心に子供を巻き込んで行くことがとても上手だった。

 小学1年から6年まで、それはそれはいろんな研究をした。裏山を歩き回って草木花や落ちてる動物の糞や骨を観察したり、セミの幼虫やトンボのヤゴを捕まえて一晩中羽化の様子を記録したり、今でも鮮明に覚えていることばかり。

 そして、記念すべき第一回(小学1年の)自由研究は星座の研究だった。夏休みに入る少し前に天文学に詳しい先生の話を伺ったとかで星座に興味のあった父から「自由研究は星座の研究をしよう」と言われ、わたしは「わかった」と答えただけだった。

 夜、お風呂上がりに庭に出て空を眺めて、父の解説を受け、その日知った星座を図鑑で調べて、スケッチブックに形を描いていく。なんせ田舎なもんで、家や街頭の明かりもほとんどなく、手持ちの懐中電灯で夜空を指せばポインターとなった。夏休みなので夏の星座しか見られないが、夏の大三角と天の川、蠍座と射手座、北極星と北斗七星、カシオペア座、おおいぬ座とこいぬ座、くらいは今でも解説できると思う。

 ちなみに、夏の大三角はこと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブをつないで三角形になるのだが、この3つの星の名前は「アルタイル、屁が(ベガ)出ね、ブ(デネブ)」と覚えた。ちなみに、冬の大三角、プロキオン、シリウス、ベテルギウスは「風呂(プロキオン)で尻(シリウス)から屁出るギウス(ベテルギウス)」。さすが、小学校。おしりたんていやうんこドリルが大ヒットする理由がそこにある。

 夜になると、近所の家の明かりと、坂の下の街灯がぼんやり見えるだけで、ほぼほぼ暗闇、玄関に懐中電灯は必須だった。そんな、何もない、家の周りで、空を見上げるだけで綺麗な星空に出会えること、それをじっくり観察することを教わった。何もないのではなく、気がついていないだけだった。
 都会は人口の光が眩しすぎて星なんて見えないが、それでも鮮明に夜空を描けるのは、父と過ごした時間の賜物だな。

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夏の思い出

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