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2024年3月

「個」が社会に存在を認められる世界を目指したい。日本だけでも一億人以上の人がいて、それぞれの個人が個性を持ち、それを大切にする権利がある。近年「多様性社会」が強く求められているが、2024年3月時点の「多様性」は見せかけであったり、「個」を守るために別の「個」を排除したり苦しめたりするものになっている。この歪んでしまった「多様性」に対して、私はジャーナリストとして疑問を呈していきたい。

 例えばハラスメントの問題では、パワハラもセクハラも問題ではあるものの、社会が過剰に反応するようになって、上司が部下を怒れなかったり、男性が女性との関わりを恐れてしまったりする場合がある。労働問題であれば、長く働きたい人もいる中、残業を規制してしまったことで困っている人も出ている。人種差別をなくそうとしているが、ハリウッドの世界では世間体を良くするために「アジア人らしい」アジア人を起用するという話も聞く。実写版アリエルのアリエル役が黒人であったことも議論を生んだ。

 何かを守ろうとして何かが犠牲になっているこの現状は、社会全体を同質のものと捉えたり、マジョリティを社会の「基本」としマイノリティを「擁護」しようとしたりすることで生まれているのではないか。世間で「弱者」と扱われる分類に所属する人々を守ることが、「強い立場にある者」の自己満足になっていたり、言い訳やその人たちの評価に利用されたりしているのではないだろうか。個々が互いに認め合い、共存しているはずの「多様性」が、現在の状態では歪んでいるのではないかという疑問を投げ、議論を起こしたい。

 私はAromantic/Asexual、もしくはQuestionで、所謂LGBTQ当事者であり世間的には「マイノリティ」と呼ばれる。だが正直、その分類は必要ないと思っている。「anone,」というセクシャリティ診断サイトがあるが、そこで診断を受けると2000もの組み合わせ結果が出る。その数字の大きさからも分かる通り、性的自認や性的嗜好は数多あり、男性が好きな女性でも、男性らしい男性が好きな女性もいれば女性らしい男性が好きな女性もいる。LGBTQのテーマカラーであるレインボーのように、グラデーションの中にみんなが立っていて、同じ座標の上に立つ人はほぼいないと言っていいはずだ。これはセクシャリティに限らず、人種、宗教、趣味、ルックス、性格、全てにおいて一人一人が違うのに、同じコミュニティに共存している。全員で同じようにしようとするのではなく、異なる「個」を「ちゃんと」見て各自が選択できる環境が、本当の「多様性」ではないだろうか。

 「個」には元受刑者のような、社会に受け入れられづらい人々も含まれると考えている。私はまず、彼ら彼女らと向き合い、社会にどのように拒絶されてしまうのかを知り発信したい。同時に、ウガンダ北部にあると言われる「赦しの文化」についても深堀したい。言い換えれば「受容の文化」と言え、調査することで元受刑者や、更には上述したような周りにいる異なる「個」を受け入れるには何が必要かを見つけ、発信の際に活用していきたい。

 理解できないのは違うのだから当たり前だ。社会から押し付けられる「当たり前」に苦しむ人々がいるという問題提起によって、その状況を社会全体が知り、十人十色の個が同一色にならなくても済む社会になる。最終的には、「異なるのだから互いが足りていないところはサポートし合うのが当たり前」だとみんなが思い、問題があっても早く解決する社会になると考えている。

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