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ヒトラーの顔

 ヒトラーを扱った文章は、世の中に沢山あります。私は、その内のごく一部しか読んでいないわけですが、ヒトラーないし悪について考える上で重要と思われるものを今回は二点、ご紹介させていただきます。
 まずは、マックス・ピカートの「ヒトラーの顔」(『われわれ自身のなかのヒトラー』みすず書房、所収)。ヒトラーの顔を「空無」として捉え、考察しています。ナチ台頭という現象の奇妙さを追体験できる評論です。
 そして二点目は、エルンスト・ゴンブリッチ『若い読者のための世界史』(中公文庫)の「あとがき」です。端的に名文だと思います。ユダヤ系である著者のヒトラー観が分かるとともに、自身もまた時代の空気に取り込まれていたのだという悔恨が綴られています。
 どちらも短くてすぐ読めるのですが、彼らの内省的で真摯な姿勢から学ぶことは多いでしょう。

写真は、ダリの「ヒトラーの謎」

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