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【詩】02.

記憶の中に詰め込まれた物語たち
それは断片的でもあり、あるいは連続的でもある
過去という途方もない時間軸の中で
呻き声をあげる屍
それらは優しくて脆いために硬質化し、
いまにも崩れそうな予感がするのかもしれない
大衆化したノイズは最も言語的である
私はそれを理解できないだろう
それらは此岸の営みなのであれば、
私は彼岸から望郷している黒い塊
追憶という長旅に倦んでしまった猫
なにかの死骸を啄むことしかしなくなった海鳥
音が断続的に響く波間
視界を遮る蜃気楼は狼煙的であり、
それは亡霊に寄り添う友であるのか
いま聞こえた何かの音は、
過去の記憶へと流れ込んでいく
この声も、思考も、運動も、
何かを叫ぶようにして残像の中に霧消していく
その張り詰めた空気を切り裂くように、
固唾を飲む私の喉が鳴った

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