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【詩】干からびた風景


( 空 白 )
詩を書こうとして取り掛かってはいま書いていない

日中時間が少しずつ狭くなってきた
まだ夏の匂いがする時折
気にしていなかった記憶が湧出しはじめる
                   。。

きもちがいい
黒歴史はやがて砂糖になり腐らなくなった
秋が少しずつ金木犀の香りを引っ張ってくる
充満する部屋の匂いに耐え切れなくなった僕は兎に角狭い場所を好む
暗くても明るいのは嫌だ
暗くても明るいのならば気が狂っちゃいそうだ

空気に浸透している水分量は私の脳内を侵入し思考をいじる
8月の雨
まだ黒くて黒くて少しも純化しない
『厭な小説』だ
泣いている爺さんは背中を曲げる振りをして歩く
星の輝きは死者の呪いなのね
気をつけなければこの闇夜の中で路頭に迷ってしまう
水が弾かれる音
僕は。 孤独だ
共同体に嫌われた常識を抱き枕にして今夜も眠る
この部屋は狭くて暗い
誰も来ないで僕のまま
死が生への希望を飲み込むまでは
「まだ1秒」
継ぎ接ぎされた文化が僕の統一性を混沌へと還元する

知らない空気に触れた
朝だ。
眠れないからおかしくなってくる
ぼくはまだ生きてる
ぼくはまだ生きてる
鶏の鳴き声が命を産む
池は海よりも広く見えるが死んだ魚の墓地だ
緑色の藻は漂っているように見せかけて風を吹き込む
この砂漠化した干ばつ地帯で一筋の水流が滑っていくのを
眠れない目でそっと見守っている

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