【詩】015

粘ついた熱気と湿気に満たされた空間には
呼応する響きが断続的

あの工場に建っている煙突が
黒く、
一定のリズムをかき消すように踊っては
吸い込まれていく青空

僕の瞳はその瞬間を捉えきれず、
しつこく訴えかける
この鼓動は痙攣し、
ひきつった微笑を沼地へと投げ入れる
それはデジャブのように、

淀みない感情の奔流は
現実的な規範を逸脱し、
15年前の夏に僕を連れ戻す

記憶は陰り
現在は枝垂れながら
その頭をもたげている

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