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仙人のような私の彼

最近付き合い始めた私たち。
出会いは学校。
何度かデートを重ね
4度目のデートの帰り道
二人でなんとなく話している間、
付き合うという流れになり。
2週間が経った。

共通点が多いわけではないが
話していて楽しいし
お互いのことを知るのが
私たちの幸せの時間。

ここまでは
いわゆる大学生の恋愛に思えるが
きっと少し違うのだろう。

私の彼は、日本人ではなく
海外の人。

人生初めての外国人の彼氏は、
たくさん初めてのことに出会う。

っというより彼が特殊なだけかもしれない。

初めて彼のお家にお邪魔した時、
私たちは海外に住んでいるから
もちろん彼は日本に訪れたことがない、
にも関わらず、
彼のお家の壁紙には『進歩』と
漢字で習字の文字が描かれていた。

なぜ持っているのかと聞くと、
どこからか手に入れて気に入っているらしい。

お家を見渡すと、
所々に彼が陶芸で作ったポットや石鹸おき、
オブジェなどが置かれており
なんとも面白いおうちだと思った。

サーフボードが二つ。
そして、ベットのそばには
彼が生まれた時に両親にプレゼントしてもらった
ウサギのぬいぐるみが一つ置かれていた。

お家に入るなり、お香に火をつけた彼。
とても落ち着く匂いで心が満たされた。

別の日、
彼のお家に上がると
彼の体がとても冷たかったことに気がついた。
シャワーに浴びたからだと言った。

なぜシャワー後なのに冷たいの?
私が問いかけると

彼はこう答えた。
健康のためにシャワーでお湯は使わず
水で体を清めてる。

もしかして、あなたのお家にお湯は出ないの?

私が聞くと、
彼は笑いながら、そこまで貧乏ではないよと
答えてくれた。

21歳が毎日健康のために
冷たいシャワーを浴びている。

どれだけ体に良いことを理解していたとしても、
彼以外私の周りでやっている人はいないだろう。笑

別の日、彼と同じクラスの陶芸で
たまたま一緒になったので話をした。

授業終わり私が帰ろうとすると、
彼はまだ作業に取り組みたいから
居残りをするといった。

結局、学校には夜中の3時までいたらしい。
バスはそんな時間ないので、
そこで仮眠をとり、
始発のバスでおうちに帰ったんだって。

いくら陶芸に集中しているとはいえ、
アーティストすぎる彼の行動は私には理解できなかった。笑

またある日。
クラスに来たと思ったら、
先生に内緒で早く帰ってしまった。
私がせっかくいるのに。と心の中で思いながら
彼にどこに行くのか問いかけると
波が良いのでサーフィンに行くらしい。

彼の自由すぎる行動と
自分の気持ちに沿って生きる姿は
一周回って尊敬でしかなかった。笑


また別の日。
彼と一緒に夜ご飯を作ることになった。
彼はベジタリアンなので一緒に食べられるパスタを。
料理が趣味ということもあり、彼の包丁捌きはとっても上手だった。
また、パスタマシーンが彼のお家にあったので
生地から作った。2時間半ほど麺から作るパスタ。
味に期待していたものの、手作り感が凄すぎて、
思っていた味とは少し違った。
バジルのソースが濃すぎて、私の好みではなかったが
彼の一言目の言葉は美味しい!だったので
私も仕方なく彼に合わせた。笑

また、彼がドレッシングなしでもサラダを
食べるというのでベジタリアンだからなのか、
それとも文化の違いだからか。
驚きが隠せなかった。

そして、彼と2回目のパスタ作り。
その日は市販のパスタを買い、
トマトソースは自分たちで作った。
その日は大成功で私の大好きな味に仕上がった。

私がこの前のパスタより美味しいねと
話すと、彼はこう言い始めた。
この間のソースは全然美味しくなかったよね。
むしろ不味かった。

2週間後にして、初めて知る事実。
彼はベジタリアンだからと言って、
私の舌とかけ離れているわけではない。
カップルとして、食の好みは大切と考える私にとって、
言いたいことが言えることがこんなにも素晴らしいことかと
感銘を受けた。というより、私自身ありのままの
自分を曝け出すのが怖かったのかもしれない。


また、私たちは付き合って約3週間が経つが
その間に2度別れ話をふっかけられた。

一度目は、私の気持ちが彼よりも
高いことを気にして、私のことを傷つけたくないけれど、
まだ真剣に思えていないという悩みだった。
その時はまだ付き合って3日目。
どんなに深いところまで考えているのだろうと
正直驚いた。若い恋愛はただただ感情に流されながらも
好きという気持ちでお互いのことを知っていくのかと
思っていた私にとっては衝撃的な展開だった。

それでも私は、まだ相手のことが知りたかったから
自分の気持ちを話すと彼は納得してくれた。

2度目の別れ話は、私たちがうまく行っているのにも関わらず、
自分の価値観とか、フィルターで、物事がうまく行っていないように
感じると言われた。彼の中でのスローは私にとってのスーパースローだから
お互いの進み具合が違うのではないかと疑問に思うと言われた。

私自身、恋愛は突っ走っていくタイプなので、
彼の言いたいことはなんとなくわかったが、
ここでも曲げずに素直な気持ちを伝えた。

私は彼に何かを求めていたり、何かが欲しいから一緒にいるわけではない。
好きという素直な気持ちに正直になりたかったし、
何より彼といると学びの連続で一緒にいて
楽しかったからだ。
だから、彼のそばにまだいたいと思った。
そして、これは依存ではないことも知っていた。
なぜなら、彼のことをまだほんの少ししか知らないからだ。

彼は私にこう言った。
君は本当に心が綺麗だと思う。
だからそんな君を傷つけたくない。
でも、もしお互い歩み寄れて、自分自身のことをもっと
愛することができたら、お互いの愛を共有できると思う。

この時私はハッと気付かされた。
彼は、私に自分のことをもっと愛することが大切と気付かせてくれた。
この瞬間、涙が止まらなくて、
彼の前で初めて泣いた。
赤ちゃんのように大きな声で、
泣きまくる時、ようやく彼は私にハグをして
安心させてくれた。

ずっと欲しかった安心感は
私が追いかけて手に入るものではないと思った。
自分自身の中にすでにある愛と心静かな穏やかな心が
私の欲しかった真実の愛を与えてくれるのだと思った。
だからこそ、自分自身もっと成長したいと思った。

人とは違う彼の魅力をもっと見つけたいと思ったし、
同時に自分の魅力は何かをもっともっと追求したいと思った。

今までに出会ったことのない彼、
今日もまたメッセージが来た。
携帯を一日30分ほどしか使わない彼。
SNSも全てやめて、自分の生活に集中しているらしい。
そんな20代はなかなかいないのだろう。

他の島に遊びに行った彼からの写真は、
ジャングルと川の前で撮った自然溢れる姿。
というより、まるでターザンのような仙人。

彼は私のことを変わってる魅力的な子と呼んでくれるように
私自身、今まで全く味わったことのない彼の感覚を
もう少し味わってみたい。

仙人のような私の彼
そばにいてくれる。そんな日々。



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