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74/* その芽を、とりこぼすな。

インスピレーションやヒラメキと言われるものは、なんの前触れもなく湧いてくる。例えば就寝前の布団の中とか、シャワーを浴びている最中とか、止めようのない瞬間に湧いてくることが多かったりする。この前、しゃべくりセブンを見ていたら、佐藤二朗がこんなようなことを言っていた。

シャワーを浴びるという動作は、習慣化されていて考える必要がないから、その隙間で余計な思考や感情が渦巻いてしまう、と。確かに、寝るとかお風呂とか、頭がリラックスしていて、かつ思考の隙間ができるような瞬間に、どどどっと色んな心象風景が繋がって、意図せずヒラメキが湧いてくるのかもしれない。

僕が「湧いてくる」という表現を使うのは、アイデアが降ってくる、というような表現をあまり好まないからだ。アイデアは降ってはこないし、他力本願で獲得できるようなものではない。知識や思考や風景を醸成して培った、自分という土壌の中から芽を出すように湧いてくるものだ、とイメージしている。

さて、ところで僕は、これから寝ようとしている時やシャワーを浴びている瞬間などに、ヒラメキが湧いてくると非常に困ってしまう。僕なんかが抱くヒラメキは、アイデアからは程遠いとりとめのないものだ。なんの文脈も面白みも見出せないことだってある。でも、ぼくはそれを取り逃がしてしまうのがいやで、なんとかして形に残そうとする。

メモでも、イラストでも、ボイスメモでも、なんでもいい。とにかくそれが消えてしまわないうちに断片をのこしておきたいのだ。ただ、ふっとヒラメキが湧いてくる瞬間に御誂え向きなメモ帳とペンを持っていないことだってある。とくに布団の中やシャワーの中だったりするとなおさら。だから困ってしまうのだ。

色んなヒラメキをなんらかの形にしておくと、それが記録としてストックされていく。一度書いたものは案外忘れないもので、記憶の片隅にもストックされていく。そうやってヒラメキをストックして、ストックして、ストックしまくって、もうこれ以上は入らないよ、というくらいに密度を高めた時に、ようやくそれらが繋がってアイデアへと昇華されていくんだろうな、と僕は思っている。

だから、アイデアの芽を取りこぼすな、と僕は常に自分に言い聞かせている。一つ一つがくだらないものだって、それが100個集まれば壮大な風景になることだってあるんだから。

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