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31/* ああ、世界はひろいな、おい。

三日坊主の僕なのですが、昨日でnote更新をはじめて1ヶ月をむかえ、今日は振り返りでもしようかな〜と思っていたのですが、やめました。特に理由はありませんけど、普通に日記書きたかったので。

ということで、今日もやってくぞー。

ああ、世界はひろいな、おい。

大学生の頃、クロスバイクに乗っていろんなところを走っていた。荷物は、1人用のテントに、寝袋と、調理用のちっさなガスバーナー、あと少し着替え、ぐらいだったと思う。
お金もなかったし、寝泊りは基本的にテント。1人用のとなるとそれはまた小さくて、台風がくると僕ごと飛ばされるんじゃないかと言うくらいのものだ。

基本的には、東屋とか道の駅を拠点にしていたんだけど、時たま調子に乗った代償で、人も通らない山の中で寝泊りすることもあった。そういう時に限って、人間の五感は極限まで研ぎ澄まされる。家でも時々あるとおもう。今日は寝付けないな、と思っている時に限って、時計の秒針音が気になる、とか。

四国でお遍路をしているとき、しかたなく山道でテントを張った時のこと。
外も真っ暗でやるとこもないから、早々に電気を消して目を瞑った。あたりは静かだし、これはよく寝れるぞ、と思っていたんだが、どうも寝付けない。すると遠くの方で、聞いたこともない動物の鳴き声のようなものが聴こえる。甲高く、どこまでも響きそうな声。危ない動物ではなさそうだな、と寝ようとするんだけど、気になってしまってどんどん眠気が遠ざかっていく。

するとまた同じ鳴き声が聴こえる。今度は少し近づいたような気がしてくる。するとさらに気になってしまう。頭の中で、色んなことを想像する。ドキドキはしているんだけど不思議と心は静かで、そのうち耳に入ってくる音が少しずつ増えていく。

木々の葉が擦れる音。どこか遠くの方で流れる川の音。シーーン、、という音の中で、遠慮がちに色んな音が聴こえてくる。すると、この小さなテントの中で小さくなっている自分が、とんでもなく自分という存在が小さくなった気がして、心の奥の方、底に近いところで虚しさが込み上がる。

虚しさは少しずつ肥大していき、僕をどんどんと小さな存在にしていく。もう、これ以上は縮みようがない、というところまで来た瞬間、僕は居てもたってもいられなくなって、小さなテントの入り口を開けて外に飛び出した。

何もしていないのに、鼓動がすごい速さで脈打っている。少し乱れた息を落ち着けようと空を見上げると、幾年も見ていなかった星空が、僕の届かない遠い遠いところまで広がっていた。



「ああ、世界はひろいな、おい。」


思わず漏れた。

井の中の蛙、ならぬ、テントの中の僕。世界はひろいなと思った途端、さっきまで小さくなって強張っていた体が、途端に自由になった気がしてきた。世界は広い。とてつもなく広いし、深い。それは悲観すべきことではない。社会の中にいると、いつも忘れてしまいかけるけど、ふと思い出した。

(なんかバガボンドみたい。)

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