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泳げない、おれ | 500文字のエッセイ

そういえばこの前、久しぶりにプールで泳ぐことがあった。プールを習っていたのは小学4、5年生のころまで。あとは中学の授業で泳いでいたぶりになるだろうか。

だから感覚だけはその当時のままで、平泳ぎもクロールもバタフライも難なくこなし、水中でのクイックターンだってわけないだろうと思っていた。

ところが、いざ水の中に入ると泳ぎだすことは愚か、水に顔をつけておくことにすら恐怖心を抱くほどだった。泳ぎはじめてみるもみるみるうちに苦しくなって、5メートルともちやしない。

嫌味ではないが、大抵のスポーツはそれなりの運動神経をもってほどほどにこなせてきた自覚がある。だから余計に、泳げないという現実は僕にとってショッキングだった。

気がつけば感覚と体の実感とか近づいていくまで、必死になって泳ぎ続けてしまっていた。普段の生活では到底動くことのない可動域で、半分溺れながら感覚と実感との距離を縮めてゆく。

次第に水と身体との親和性は高まっていって、ひとまずそれなりのところまで体の動かし方を思い出していった。

体のなまりや何よりも、厄介なのは恐怖心だ。身を委ねることを恐れていると、思いもよらないものに拒絶されてしまうのだから。

今日の文字数:501文字

#日記 #連載 #プール #水泳 #恐怖心 #成長

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