【短編】システムは愛を同期するか(前編)
あなたは大切な人を守れますか?
五分程度で読める短編です。
以下本文です。
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ムーンサルトで明日の朝ごはん用にバゲットを買って帰ると、廊下に毛玉が転がっていた。
「預かってって言われちゃったの、三日間だけ」
綾子はそう僕に言いながら困ったように眉を下げているが、口元には嬉しさが滲んでいる。以前に動物を飼ったことがないと言っていたから、きっとはじめてのことで嬉しいんだろう。
僕らが話している間も、毛玉はコロコロと床を滑りなが