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【短編小説】フェイク、スライド、フェイク


 透明な包み紙が幾重にも重なり、やがてわたしになってゆく。
 この皮膚の下を流れるのは甘ったるいチョコレート菓子だろうか、それとも誰かの祈りだろうか。


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 客間の灯りが消えた。

 窓を閉め、頭からシーツを被ると聞こえ始める。一段、また一段。階段を上がる足音はふらついて不規則だが、着実に近づいてくる。わたしは固く目をつむる。

 かっ、かっ、かっ。
 扉を金属で引っ掻くような音と共に、薄暗い部屋に光が差した。

「まりあ」

 ベッドが右に沈む。母が腰掛けている。
 我慢できずにシーツから頭を出した。

「あなたも私に似て夜更しねぇ。きっと悪い子になるわ」
「この間のテスト、また一番だったよ」
「母さんだって小さい頃はそうだったわよ」

 ワイングラスがひび割れそうな笑い声。彼女は酒が入ると見知らぬ若い女のように振る舞った。

「お客様は?」
「お帰りになったわ」

 昼間よりもいくらかざらついた声は上機嫌だった。廊下から漏れる灯りが母の赤らんだ輪郭を浮かび上がらせる。体の曲線に沿ったサテンのドレスが煌びやかで美しい。

「そろそろ寝なさい。明日も学校でしょう」
「まだ眠くないもの」
「こんなに穏やかな夜に眠くないなんて贅沢ね。お化けが出るわよ」

 こーんなお化けがね、と母はわざと振り乱した髪をアコーディオンのように広げて見せた。緩やかにウェーブのかかった赤毛の間から、三日月型の目がのぞく。わたしははしゃいで足を跳ねさせた。

「怖がってくれなくちゃダメじゃない」
「もうそんなに子供じゃないわ」
「やっぱり、まりあは悪い子ね」

 すぅ、と耳が震えた。
 母がわたしの頬にそっと手を添える。
 夜が、忽然と深い森の色に描き変わる。

 上目遣いで目を見開くと、瞼の縁がぴんと張り詰めた。動くなと命じられたわけではない。しかしわたしはじっと身を固くする。

 母は乱れた髪をうしろに撫で付け、正面から視線を合わせた。眼差しは揺れもせず、暗闇の中を真っ直ぐに這う。
 瞳の奥には光が。

 それは遠く、遠く深い森の底でシリウスを見るような。

「まりあの目は綺麗ね。黒目が大きくて、濃い緑色が混ざったような色をしてる」

 母が微笑む。
 わたしは目を強く瞬かせていた。

 顔に添えられていた手が柔らかく頬をつまむ。反対側も同じようになめらかで冷たい指先が触れた。おかーひゃん、いひゃいよ。

 伸びた皮膚をさするわたしを笑いながら、母は枕に顔をうずめた。こんなところで寝たらダメだよ、と言う間もなく寝息が聞こえ始める。諦めてシーツの端を母の肩口まで引っ張ると、手元を赤がちらついた。枕カバーにべっとりとついた口紅の跡。

 それはぶどう酒の匂いがして、目を閉じるとわたしを優しくくるむ。
 潰れてひしゃげた果実の香り。

 キスマークの汚さないように枕の端に寝転び、真っ直ぐ天井を見上げる。はめ殺しの天窓に月明かりが透け、無欲なシーツを照らしていた。


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 あれはわたしが小学校へ上がってまもなくの、まだ母の生まれ故郷で暮らしていた頃のことだ。
 どこまでも続くぶどう畑と、シチリアの青い風。
 洗い立ての空以外、他には何もなかった。


 お客様がいらっしゃるのよ、と弾んだ声を朝食のシリアルと一緒に飲み下した。穀物をぺしゃんこにしただけの妙な味のシリアルも、牛乳と砂糖をまぶせばいくらか美味しかった。

 母は鉄のフライパンを小刻みに揺らし、中身を縦に横にとかき混ぜる。今夜振る舞う料理の仕込みはわたしが学校から戻るまで続いた。そして日暮れ頃にシャワーを浴び、瞼に耳、髪に足先と丁寧に色をつける。
 闇の中でもかき消えない、私を見ろと胸ぐらを掴むような色を。

 そういう母は他人のように生々しく美しかったし、おそらく男にとっても高い価値があった。

 しかし女は永遠じゃない。暗い部屋に充ちた泥濘に纏ったものが溶かされるように、目の下に現れる一本の深い彫り。笑うたび、話すたびそれは影を伴って蠢き、渇いた皮膚を食い荒らす。

 母はもう「母」であることを隠しきれなくなっていて、わたしはそれが嬉しかった。母が母でしかなくなればずっと一緒にいられると、幼心は信じていた。

 あれ以来お客様が尋ねてくる夜は季節を追うごとに減り、母は化粧をやめた。その直後にわたしは死んだ父の親戚がいる日本へ送られ、一度も会ったことのない家庭へ転がり込んだ。

 子供が知っていい部分は限られていたし、血の繋がりのおかげでそれなりに気遣われもした。しかしわたしを見るその眼差しにはいつも身に覚えのない汚れを責め立てる気配があった。

 18になると、大学には行かずにひとりで暮らし始めた。


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 ウォーターサーバーの蛇口をひねると、糸のように細い水が紙コップの底を濡らしただけで事切れた。軽く舌打ちしてあたりを探すが、替えのボトルは見当たらない。ため息が漏れる。

「まりあちゃん、これ。まだ封開けてないから」
「いいんですか、八重さん」
「あたしもう帰るだけだから。あげる」

 低く放られたペットボトルを受け取り、キャップを開けて飲み干す。あとで支配人に水がないと言っておかないと。そう考えながら八重さんの隣に腰を下ろした。

「八重さん、早上がりでしたっけ?」
「違うんだけどねぇ。明日は本職の方が朝早いし、今日はもう十分稼いだしね。後半はバックレる」

 つけまつげを取りながら八重さんが言った。他の娘が聞いたら靴の爪先に画鋲を入れそうなことを、彼女はいつも当然のように口にする。

 女が複数集まれば姦しく、狭い部屋に押し込まれればその姦しさにはいくつかの派閥ができる。まるでピラミッドのように折り重なった女達から一歩抜け出していたのが、八重さんだった。

 のらりくらりと掴みどころがないのに男女問わずひとのあしらいがうまく、他人の悪口も八重さんが言えば愛嬌になる。本人は小遣い稼ぎだと言うが、店のトップを譲ったことはなかった。

「まりあちゃんはサボり?」
「ちゃんと申請済みの早上がりです」
「なーんだ、やっとあたしの模倣犯が出てきたと思ったのに」

 あたしもまだまだねぇ、とコットンで化粧を落とした八重さんの顔は日本人らしく平らかだ。美容師免許を持っているらしい彼女が作った美人顔は、ひと拭きごとに跡形もなく消えていく。

 わたしも黄ばんだドレッサーの鏡に身を乗り出して、顔の薄膜を丁寧に剥いだ。

 "その顔でまりあ、なんて、私だったら死にたくなってる"。

 そう言った娘がちょうど半年前に店を辞めた。
 客と恋仲になってクビにされ、今は酷いところで働いていると聞いた。

 半分は異国の血が入っていても、わたしに母の面影はなかった。柔らかな赤毛も、彫りの深い目鼻もなく、日本人だと信じて疑われない容姿。

 貶されなくとも知っていたから、傷つきはしなかった。だがそれが余計に彼女の自尊心を掻きむしったのかもしれない。彼女は二年分の稼ぎで整えた美しい二重瞼や鼻をトイレに行くたびに気にしていた。

 自らの遺伝子を何も譲り受けなかった娘を、胸が膨らみ始めるまで女手ひとつで育てたのだ。
 母には感謝している。

 けれど、

「愛してないって、そう言ったの?」
「そこまでは言ってないですよ。ただお客さんとしてしか見たことないって言いました」
「同じじゃない」
「違いますって」

 真面目だなぁ、と八重さんはなにも乗せていない肌で言った。

「私なら一年はうまいこと引っ張るね」
「出た、魔性の女」
「そういう商売でしょ」

 そりゃそうだ。八重さんの言っていることは正しい。

 無機質な打ちっぱなしの部屋にむせ返るような香水と化粧品の匂い。外側を纏うことが仕事で、中身など石でも泥でも大差はない。
 同じ店で働いていても、わたしは八重さんの中身を知らない。

「向いてないんで、そういうの」

 表の部屋から「かんぱーい!」と高らかな声が聞こえた。最近入った若い女の子はお酒が強かった。どれだけ呑んでも酔えない体質らしく、客の前では演技が欠かせない。

 はしゃいだ振り、足をもつれさせる振り、触られても気にしてない振り。

「そうかなぁ。あたしから一番を奪えるの、うちではまりあちゃんだけだと思うんだけど」
「なんでですか」
「若いのに守銭奴だから」

 八重さんの細い二の腕を殴る。

「冗談冗談。でも一番をって話は本当。

まりあちゃんはさ、誠実でしょ。相手が金持ちとか安月給とか、関係なくフラットに接客する。それが視線に出てる。そういう子は求められるよ、脂ぎったおっさんからも、爽やかイケメンからもね」

 アイテープを取った瞼の下の眼光は、細い身体には不似合いに硬く鋭い。

 この八重さんからなにかを奪うなんて、鼠が猫を噛むようなものだ。
 わたしは水を飲む振りで視線を逸す。

「イケメンからも、ですか」
「現にひとりゲットしてるじゃない」
「内海さんはイケメンですかねぇ」
「贅沢者め」

 化粧を落とし終わった八重さんが煙草を一本取り出した。わたしはドレッサーの隅に追いやられていた安っぽいライターを取って火を付ける。ぼう、と薄暗い部屋に明かりが灯ると、指先に熱が燻る。

 炎は小さくとも人間を恐れさせる力を持っている。
 それを口許に運ぶこの仕事を、ひとはなぜ容易に貶められるのだろう。

 吐き出された煙がわずかに空気を炙る。黒く渦を巻いたものが焼かれ、その下から真綿のように柔らかな感触が現れる。
 コンクリートに囲まれた半地下の、穏やかな深夜一時。

 じゃあね、と客にもやらないような投げキッスを飛ばして八重さんは出て行った。それと入れ違うようにして支配人が入ってくる。「八重さんは」と訊かれ、誤魔化しついでに「お水がないみたいです」と言って店をあとにした。

 これじゃあ模倣犯じゃなくて、共犯だ。


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 古びたアーケードを抜けると、繁華街に入る手前に中華料理屋がある。外観は高級旅館の居住まいだが、滑らかな革張りのメニュー表には北京ダックやフカヒレスープが並ぶ。

 自分の財布では決してくぐらないような石造の門構えを過ぎると、庭には手入れされた松の木とししおどし。女将は楚々としてうしろを付いてくる。この手の店の女性は、なぜかみな一様に足音がない。料理の味よりもそのことばかりが気になっていた。

 賑わいの遠ざかった仲店通りを歩くと、あの中華料理屋のことを思い出す。
 夜の仕事を始めてから最初の冬のこと。
 目の前の男の体に『お客様』の顔を空想していた聖夜のこと。


 内海さんがわたしの半歩先を歩く。ヒールの足に合わせてくれているのか歩調の傾斜は緩い。

 店通いをする男にしては欲のないひとだった。
 酔いに任せて嘘のような自慢を延々と続ける客が多い中、彼はいつも友人と世間話でもするみたいな調子で酒を呑んだ。

 アーケードを抜け、中華料理屋を過ぎ、繁華街の一角にある小さな焼き鳥屋に入る。味は良いが決して綺麗とは言い辛く、背中が大きく開いたロングドレスに羽織をかけた格好では明らかに場違いだったが、店を選んだのはわたしだった。

「適当に注文しちゃっていい?」
「大丈夫です。あ、でもハツは食べたいかも」
「お、いいね」

 内海さんが板わさと枝豆に串の盛り合わせと、別でハツを二本注文した。先に運ばれてきたビールに喉が鳴る。

「酒呑みは好きなひと多いですよね」
「内臓系とアルコールは切っても切れないからなぁ」

 お通しに運ばれてきた大根の煮物は少し味が濃かったが、口に放り込んでビールで流し込む。中ジョッキが薄っすらと汗をかいていた。

「でもハツって、食べると泣きたくならない?」

 箸を置いたところに串の盛り合わせが運ばれてきた。右からもも、ねぎま、かわ、せせり、ぼんじり。店員は愛想笑いもせずに厨房へ戻った。

 なきたくなるってCryの方の? そうそう、Cryの方の。

 迷って、右側の串から手を付ける。肉質は柔らかいが食べごたえのあるもも。内海さんはすでにぼんじりを口に運んでいた。

「変わってるって思ったでしょ」
「はい」
「はは、正直だな」

 空の串入れにコトン、と串を落とす。やっぱり変な客だ。

 平日の夕暮れすぎだからか店にはわたしたち以外誰もいない。流れる有線だけが街の喧騒のように賑やかだ。

 ふ、とろうそくの火を吹き消すみたいだった。

 視線が合って気づく。
 あっ、と思ったがあとが続かない。動揺を隠す場所もない。

 薄く皺の寄った目尻が静かにわたしを眼差していた。細くなった瞳の縁はわずかに潤みを含んで、逃げても逸らしても、否しきれない。
 嫌でも視線の意味を自覚させる圧迫感に絡め取られる。
 優しいのに、力づくで。

「…次、なに飲みますか」

 強張った指先でメニュー表をとる。空のグラスの底で泡が鳴いていた。

 内海さんは何食わぬ顔でもう一杯ビールを頼み、わたしもあとから二杯目のビールを追加した。同じものを、とはなぜか言えなかった。

 日頃自分が客に与えようとしているものだが、与えられればやはり、ひどく甘い。

「内海さんの方が向いてますよ、人たらし」
「誰にでもはしないよ」
「どうですかねぇ」

 わざと乱暴にねぎまを口に放り込んだ。層になったネギの内側が蕩けていて美味しい。寂しかった店内は徐々に埋まり始めていた。

「本当だよ。俺はひとより少し、細さに敏感なだけだから」

 せせり、かわ、と順に平らげ、親指で唇の端を拭う。

「小さい頃は海沿いに住んでたんだ。風はいつも磯の甘い香りがして、漁船や大きなタンカーが行ったり来たりして、いいところだったよ。

街には年寄りばかりだけど小さい学校くらいはあって、俺はそこで一番足が速かったんだ。20人いるかいないかのクラスのちっぽけな一番だけど、一度も負けなかった。

それを親父が馬鹿みたいに喜んでさ、何かにつけて"こいつは運動ができるから"とか"足が速い男は女にモテる"とか、そんなの通用するのは小学生までなのにな」

 語尾が笑って、低い声がくすぐられたように揺れた。首筋が薄っすらと赤い。

「でも残念ながら俺はここが細かった」

 内海さんはテーブルの隅のティッシュを摘まみ、汚れた指を軽く拭き取る。そしてとん、と胸ポケットに人差し指を当てた。

「ここって、心臓?」
「そう。血管が少しね。日常生活に支障はないし運動も平気だけど、極端に無理をすると命に関わります」

 丁寧な言葉の端に人の影が透けていた。それは受け入れているからなのか、それとも他人の口を借りなければ崩れるほど危ういからなのか、わたしにはわからなかった。

「田舎は噂が早いから、一週間もしたらみんな俺のことを”身体が弱い子”って目で見始めた。

特に先生からは腫れ物みたいに扱われたよ。友達と廊下を走ってても俺だけ怒られなくて、代わりに背中を擦って言うんだ、”みんな心配してるのよ”って。

仲良く元気に、がモットーの教室に急に爆弾が仕込まれてるなんて言われたんだから、仕方ないけど。あれは痛かったな」

 内海さんの目が窓の外を移ろう。そこには潮に巻かれた街が見えた。
 青い海と空の境目を、ひとりぼっちの子供が歩いていく。唇は引き結ばれ、ランドセルのショルダーを強く握り締めて。

 わたしはその痛みを、どこかで目にしたことがなかっただろうか。
 母と眠ったあの日よりももっと幼い頃、どこかで。

「でも親父だけは違った。

”お前は足が速いなぁ”って繰り返し褒めるんだ、馬鹿の一つ覚えみたいに。

最初はそんなわけないだろって腐ってたんだけど、不思議だよな、言われてるうちにその気になってくるんだ。”俺は足が速いんだ”って、中学高校と陸上部に入って、病院で見てもらいながら結局大学でも走り続けた。

今じゃ100Mもろくに走れるかわからないし、親父も一昨年の夏に死んだ。
それでも俺はこの心臓を取り替える気にはなれない」

 賑わい始めた店内は熱気と煙とで薄くけぶっている。
 内海さんがぐい、と右腕の袖をまくった。
 彼の外側が透け、わずかに内側が覗く。そこに霞んだのは石でも泥でもなくて。

「親父が俺の心臓だったんだ」

 窓の外の景色はもう海も空も写してはいなかった。
 代わりにぶどうの木が並ぶ一本道が遠く、遠くへと続いている。

 日本人らしい容姿を褒めるひともいた。だが異物として見られることの方が圧倒的に多くて、それは学校へ通い出すとより顕著になった。

 特に、目だ。
 和紙を貼ったような皺のない瞼は、わかりやすく阻害の対象になった。泣くとそれはより膨らみを持ち、うつむく以外の隠し方を失う。辞めていったあの娘も、わたしの一重瞼を何度となく客の前で笑った。

 そんなわたしに、母は言い訊かせた。
 決して忘れないよう、幾度となく繰り返し、息がかかるほどそばで。

 ”まりあの目は綺麗ね。
 黒目が大きくて、濃い緑色が混ざったような色をしてる”

 自分の腕がわずかに赤みを帯びている。少しだけ血管の浮いたその内側。流れる血の色がやけに濃く感じる。

 不完全なわたしたちを作っているものは一体なんだろう。
 この腕の中に、時にはなかったはずのものに体温を与えてしまうような愛が流れているというのだろうか。

 瞼の裏で、輝きが束になって押し寄せてくる。すべての点と点が繋がるように、急速に動き出したそれに追いつけなくて焦る。焦るけど、恐れることはないとわかっていた。
 ぎゅう、と両手を握り合わせ、長いこと忘れていた匂いを噛み締めた。



 内海さんは喉を鳴らしてビールを飲み干した。そこに丁度良く店員がやってきて長細い皿と引き換えにグラスを下げる。

「あれ、」

 ふたりで顔を見合わせる。運ばれてきた皿には串が一本だけ横たわっていた。

「どうぞ」
「でも、」
「遠慮しないで。俺はもうひとつあるから」

 内海さんは自分の胸を二度、叩く。

 贅沢な身体ですね。特別性だから。

 ふたりで顔を見合わせ、今度は吹き出して笑う。

「最後のひとつをくれる男の人って、悪い女の子に振り回されそう」
「それは自分のこと?」
「どうでしょう。
あ、次はわたし、中華がいいです。北京ダックとかフカヒレじゃなくて、餃子とかラーメンの方の」



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