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“何もしない”をしている

フィンランドに何をしに来たかと聞かれると、答えるのがとても難しいが、強いて言うのであれば“何もしない”をしに来た。

基本的に何かをしていないと落ち着かないたちで、“何もしない”が苦手だ。これまでは朝から晩まで働いて、休日も予定を詰め込みがちな日々を送ってきた。それはそれで満たされていたし、悪くはないけれど、仕事がなくなったら自分には何が残るのだろう、そんな不安に駆られることもあった。

ホームステイでフィンランドの家庭にお邪魔して数日。
早々に“何もしない”時間がわたしにも訪れた。

わたしが到着したのは、家族が揃う週末だった。
朝起きて、大きな窓から雪の積もった庭を眺める、
食後、そのまま食卓に座ってなんとなく時間を過ごす、
夜、みんなでソファに掛けてのんびりする。

“ああ、今、わたし何もしていない”

そう感じる瞬間が何度もあった。
怖いもので人間慣れるのは早い。ついこの間までは、まだ会社にいたような時間に眠くなって、朝は自然と早くに目が覚める。
時間はたっぷりあるのに、SNSを見る時間が減った。

今はまだ雪が降るほど寒いけれど、夏には休みの日に森へ出掛けることもよくあるという。

フィンランドではどんどん日が延びてきていて、最近の日没は8時半ごろ。
ちょうど今がその時間だ。外が明るいので、時間感覚がなくなるが、今日ももう一日が終わる。



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