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逆噴射小説大賞大賞2021年投稿作まとめ+解説的な何か
いよいよ秋も深まり夜寒を覚えるこの頃ですが、逆噴射小説大賞に参加されたパルプスリンガー諸氏におかれましては祭りの熱気で暖を取られたことかと思います。
今年からレギュレーションに小変更が加えられ、投稿上限が一人5作→3作になり、全体の投稿数は減ったものの寧ろ濃さが増えたような気がします。
まあ前置きなんてどうでもいいので早速本題へ向かいましょう。
当たり前ですがネタバレとスポイラーがあります
少女たちは天国の扉を叩く
二人で決めた天国に、二人だけでいくために。
病院の待合室で。そして病室で。二人で決めた、二人だけのひみつの戒律。
病院から抜けだした後、移動する手段が欲しかった。服も着替えたい。
ようやく止まってくれたタクシーに私たちは乗り込んだ。
「お客さん、どちらまで?」
運転手は結構若くて、患者服の私たちにも興味がないようだった。
「決めた」
「そうだね、この人にしよう」
差別も区別もせずにタ
ユークローミアの堕天使
帝都、夜。霧。
底冷えし、街娼や酔漢の姿すら疎らな中、灰色の外套を纏った一団が粛々と大路を行進する。
拝灰教団。帝国内部に巣食うもう一つの帝国と囁かれる大宗教。
野放図に広がった道路網を奥へ、奥へ。一団はやがて廃区画へと到達した。先帝時代、流行り病の折に放棄されて久しく、今は野良犬すら寄り付かない。
そこに、天使がいた。
先頭の男が、頭巾をずらして痛ましい物を見る顔をした。年端もいかぬ