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[日記] 動かない指と美術館の昨日

 帰国までの残り日数と学校の課題の〆切が複数2週間後に迫ってきたことを考慮し、大学でピアノの練習→自習スペースで課題→フィリップス・コレクション→気になってたクレープ屋、という計画を遂行したのが昨日。大変満足感があり、今日・明日もこんな感じで献立をつくって過ごそうと心を入れ替えた。  
 
 休日に計画を立てて過ごすなんていつぶりだろう、と思うくらい、行き当たりばったりの、あまり生産的といえない日々を送りすぎていた。やりたいこともやらないといけないことも大量にあるのでもっと効率的に過ごすべきなのだけれど、そもそも生産的"productive"という概念自体が、広告収入を主体としたプラットフォーマーの利益を増大させる仕組み=個人の時間・集中力を奪い合う仕組み、の一つである、なんて話を感情史のクラスでしていたせいで素直になれない。とか言って寝転んでいる場合ではなく、まさにこの仕組みによって集中力がガタ落ちしているので変わらないといけない。そして仕事に戻るためのリハビリをしないといけない。

 タイトルに戻って、およそ1か月ぶり?に大学のピアノ室で練習したわけですが、まあ指が動かないのなんの。かじかんでいるわけでもないし、音符は頭に入っている、のに、違う鍵盤を触っていたり強弱もリズムもがたがただったり。これはオルガンを再開するためのリハビリもしないといけない。たった半年くらいのことなのに、三弾鍵盤でレジストレーションをそれなりにいじりながらスウェルペダルと足鍵盤の移動もやってのけていた過去の自分が別人のようである。
 そして部屋の片付けをしていて幻想曲「さくらさくら」の全音ピース楽譜を持ってきていたことに今更気付き、桜の季節の前までに復活させようと少し練習をしてみた。発表会で弾いたのは10歳の時。当時は割と挑戦で、本番も一部やらかして一瞬止まりかけたのをまだ覚えている。ただ、やりたいと先生に持っていった曲でもあり、母親から常々海外で弾けるようにと言われていたこともあり、練習していた楽譜を紛失してからもちょくちょくあやふやながら弾いていたもの。楽譜を見て弾くのは10年以上ぶりで、今思えば全然難しくもなく、何より短い!それでも、まあ指が動かないしコントロールが効かなくて悔しい。桜が咲く頃までには整えておきたい。弾く機会があるかは知らんが人前で弾けるようにしておきたい。
 あとはセールで購入したオペラ座の怪人のオルガン用楽譜。足鍵盤パートが別になっていないし、音符も比較的大きいと高をくくっていたところ(これは多分オルガン始めてからページ数が多いのを面倒がって縮小コピーに慣れているせい)、初見で全然弾けない笑。曲はどれも大好きで手鍵盤パートだけだと物足りなくてエアーで足鍵盤せずにいられないくらいよ?弾きながらオケパートも頭に流れてるよ?なのに全然各和音確かめないと先に進めない。楽譜読むスピードも落ちてるとしたらショックである。ダンスの振りの入りも遅くなる年齢に入ってきた?いやその前にオルガンの譜読みが遅くなるの辛い。
 これを書き終えたら練習に行きます。

 フィリップス・コレクションについては、うーん、建物は素敵なのだけれどコレクションは趣味が合わないなと思ってしまった。ええ何様ですかなのだけれど、個人コレクションとナショナルギャラリーとかその他都市名を冠する美術館と比べるものでもないのも分かっていて、さらに半分近く次の特別展用に閉まっていたのも大きいかもで、ただそれらを差し引いても、なんか色彩が好きな人なんだなあーという印象だった。そもそも自分が不勉強な現代美術で有名なコレクションである。確かに目玉になっているルノワールのボートパーティーは大きな作品で生き生きしていて素敵なものだった。だけど、そのほかの印象派周辺はマネやセザンヌですらあまり好きなものではなかった。
 ただ、初めてジョルジュ・ブラックの作品が気になったかもしれない。これいい!と思って立ち止まったら全部ブラックだった。あと、マン・レイの静物画と、モンドリアンのコンポジションの黄色だけのやつ(言い方)はめっちゃ気に入ったがそういうのに限ってポストカード類が売っていない。
 ロスコは多分初めて見たけれども面白かった。あの分量をあの色とタッチで塗っていく作業のエネルギーに対して、作品自体は割と静謐な印象で計算された美しさを感じた。多分今後、食パンにスプレッドを塗る度に思い出すことになるだろうとか考えた。そういう点でもアートは心を豊かにするよね、と改めて思ったり。


外観

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