『ジェミニマン』 自分の人生を見つめたとき、そこには何がある vol.782
流石のウィルスミスと言わざるを得ない映画でした。
アクションの中でも非常に引き込まれる面白い映画です。
それと同時に、生物学的な倫理、自分自身の過去と向き合う葛藤、今の自分の生き方などさまざまな観点から考えさせられます。
今日はこの映画『ジェミニマン』を見ての感想を書いていきます。
正しい誤り
ヘンリーは最初のうちは自分にとってこれは正しいことであり、何も間違っていないと思い込んでいました。
それが歳を重ね仕事もたくさんこなすようになり、自分の生き方や正しさというものに疑問を抱き始めたのです。
最後に出てきた研究者も同じでした。
道徳的にも倫理的にも感情を持たない、痛覚を持たないクローンを作り出して戦うということは誤っていることなのかもしれません。
しかし、それはロボットを使って戦争をする、戦車や銃器を使って戦うというのと何が違うのでしょうか?
クローンは私たちと見た目が同じになります。
しかし、感情や痛みを感じないのであれば、中身は機械と同じとも捉えられてしまうのではないでしょうか。
おそらく相手にとってはこれが正しいと感じていたことであり、これこそが正しさだったのでしょう。
自分にとっての正解と正義とは
それでは一体この映画の中での真の悪とは誰だったのでしょうか。
それぞれが自分の信念に従い正しいと思われることを実行したにすぎません。
それはその人にとってみればいちばんの正義であり、守るべきことになるわけです。
では、ヘンリーにとっての正義とはなんだったのでしょうか。
依頼されているとはいえ、やっていることは人殺しです。
そこになんの疑問も抱かなかったわけではありません。
ただ、自分にとってはこれが仕事であると言い聞かせ無理矢理にでも行い続けてきたわけです。
そうやって騙し騙し自分の正義を理解してきたはずだったのに、最後は利用されて終わってしまいます。
自分の人生とは、存在価値とは?
そこで初めて自分の存在価値について考えるわけです。
過去の自分とも照らし合わせながら。
これからの自分が過ごしていくであろう人生、これまでの自分が成し得なかった人生、その2つを重ねた結果、たとえ相手が悪者であろうとも救いたいという気持ちが生まれてきたのでしょう。
自己投影をし過去の自分に問いかけたかったのかもしれません。
私たちはどんなに頑張っても過去の自分を変えることはできません。
しかし、過去の自分を振り返り今の自分とこれからの自分を変えることはできます。
そんな自分を見つめ直すための映画だったのかもしれません。
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