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「自信満々だった瞬間なんて一度もない」出産・育休・MBAを経て国際女性デーに女性マネージャーの私が考えること

こんにちは、イノベーション事業本部の河野です。出産・育休を経て2023年4月より復職しました。

社会人生活から振り返ると、キャリアを重ねて成長していこうとするたびに、壁にぶち当たってばかりの日々でした。

そんな私自身の焦りや失敗をさらけ出すことで、同じように悩みを抱える女性やそんな女性を身近で支えたいと思うすべての方に「一人で悩まないで。悩んでいるのは、あなただけじゃないよ」とエールを送りたく、筆をとりました。

3月8日(金)の国際女性デーに寄せて、本記事が性別や国籍、年齢などどんな個性を持っていたとしても、お互いの「ゆたかな人生」をサポートし合い、温かい気持ちが循環する未来を作るきっかけになることを願って。


ハードワークすることで自分を納得させる毎日

前職で、新規事業開発を中心としたコンサルティングのマネージャーを経験し、次なるチャレンジの場を求めていた私は、自社での事業プロデュースもできるイグニション・ポイントに魅力を感じ入社しました。

新卒で大手コンサルティングファームに入社してから、体力に自信があった私は「未熟な自分は何も貢献できていない」という不安を打ち消すように、徹夜もいとわずひたすら仕事に打ち込んでいました。

当時お付き合いをしていた方からは「仕事と俺、どっちが大事なの?」と言われる始末。完璧主義で不器用な私はうまく勘所をとらえてサクッと仕事をこなすことができず、1から10までやりきらないと気が済まない。必然的に仕事は遅く、それを長時間労働で補っていました。

いくら仕事をしても満足できず、限界まで自分を追い込むので達成感はあっても、その結果自体に満足したことが一度もない。評価されたりしてはじめて「これで良かったんだ」と少し安心できるのです。

大手ファームを2社経てイグニション・ポイントに参画してからも、その働き方は変わりませんでした。当時いまよりもずっと規模感は小さく、私含めて部署にマネージャーは二人のみでした。

まだまだ仕組みが整っていないベンチャー組織だったため、採用から研修、評価の仕組みづくりなどやるべきことは多く、入社直後はひたすらにクタクタになるまで仕事をした記憶しかありません。

PMとして一人で抱えるプロジェクト数も変わり、提案活動では大手という会社名でいかに助けられていたのかを身をもって知り、四苦八苦していました。

出産後のブランクを乗り越え、どう働く?見出した活路とは

以前はあまりジェンダーによる不平等を実感していませんでしたが、マネージャーとしてスタッフを評価する側の立場になり、日本は女性が十分に評価されていない会社が多いと気が付きました。

当社においても例外ではありません。
今では積極的な女性管理職の登用やキャリア支援、多様なキャリアパスの提供などが進み、女性社員もかなり増えて、女性活躍推進企業として認定を取得するまでになりましたが、当時は私より前に入社したにも関わらず、なかなか昇進できずにいる女性メンバーが複数いました。

気遣いができて、仕事も丁寧、クライアントからの評判も良い女性メンバーが評価されていない現場に何度か遭遇するうち、これは「女性だから差別されている」というよりは、「女性ならではの強みが活きる仕事や評価基準が不足している」と気づきます。

そんな時にシェリル・サンドバーグの著書『Lean In』を読んで、ものすごく納得したのです。自信が持てない自分について、そして弊社だけでなく、企業で女性がなかなか評価されにくい理由について、そもそも男性が会社をつくり、男性が仕組みを作り、男性が採用することが多い中、どうしても視点は偏ります。普段のコミュニケーションも、同性同士の方が多いでしょう。また、(あくまで一般論としてですが)女性は男性に比べて自分自身への評価が低い傾向にあり、積極的に自己主張することも苦手なことが多い。自分からイニシアティブをとってガンガン前に出るよりも、人の意見を聞き、軋轢を生むよりもお互いに気持ちよく仕事をすることを好む傾向にある、というようなことが書いてありました。

だからこそ、お互いの違いを知り、組織として両視点を取り入れることができれば、より皆が働きやすい環境にすることができるはずだと思ったのです。

最初は、何人かでDiversity Working Groupを立ち上げてみました。しかし、メンバーの退職や、目の前の自分自身の忙しさもあり、継続して活動することが難しく、次第に活動は収束していきました。

ほどなくして、がむしゃらに働いてきた私ですが、妊娠することとなります。結婚も遅く、子どもを持つことへの強いこだわりもなかったので、「出産したら短期間の育休を取ってすぐに仕事に復帰しても良いかも」と思っていたくらいの仕事人間です。それなのに、仕事から離れている期間がとても「幸せ」だったことは自分でも意外でした。

妊娠中は軽い妊娠高血圧になってしまったため、医師からは日頃からストレスをためないように言われつつ、薬でコントロールしながら働いていました。そして、いざ産休に入った途端、スッと血圧が下がったのです。長時間労働が習慣化し、評価されたい気持ちも強く、自分がどれほど他人軸で自身を縛り無理していたのかに初めて気づき、仕事への姿勢を改めるきっかけになりました。

無事に出産を経て育休に入ると、次に考えるのは復帰後のキャリア。正直、復帰後のキャリアは全く描けませんでした。

当時のイグニション・ポイントでは、私が初の女性マネージャーであり、初めて育休取得後に復帰する女性メンバーとなるため、社内でロールモデルはないに等しい状況でした。子どもを持ちながら今までのように時間を費やして成果を上げることは無理だし、確固たる専門性がないと感じていた自分にとって、復帰後のキャリアに大きな行き詰まりを感じていました。

そして今まで無意識だった、仕事をする上での自身の「女性性」を強く意識するようになったのです。

キャリアの壁に直面し、この先の人生を楽しく、自分や家族の人生をより“ゆたか”なものにするためにどうすべきか、答えが見つからない中、以前より頭の片隅にあった「MBAにチャレンジしたい」という気持ちが強くなっていきました。

いざ受験し、受かった後も学費が高いと悩みもしましたが、いつでも私のキャリアを応援してくれる夫が今回も「いいじゃん、チャレンジしなよ。海外での授業中は自分が子どもの面倒見るから問題ないよ」と背中を押してくれました。

育休中にEMBA入学!世界のDEIは女性活躍のその先へ

入学したのはアメリカとスペインの2つの大学が連携したエグゼクティブMBA。若い人向けのMBAと違い、管理職以上が対象のため私より年上の人も多く、大企業の幹部や次期社長候補、起業家も多数います。

そして何より新鮮なのが、半数近くが女性であり、女性教授も多いこと。日本の大学のMBA単科コースでは受講生の大半が男性、女性はいても若くて独身の人が大半でした。

また、EMBAのクラスメートは各所で活躍している女性管理職。そんな彼女たちの物怖じしない発言、積極的にリーダーシップを取っていく姿勢はかっこよく、これが先に触れた「Lean In」 することなのだと感じました。

そこには、特に男女の差はありません。けれど、この場に女性がほんの数人、例えば2割だけだったらどうでしょう?大っぴらには言わなくても、「生意気な女性、強気な女性」と思う男性も少なからずいるはずです。

残念ながら日本では、クライアント会議に出ても女性が私1人であることは多々あり、職場において絶対的な人数差によるマイノリティに対するアンコンシャス・バイアスが存在することは否めません。

また、EMBAではびっくりすることに繰り返し「DEI(Diversity, Equity and Inclusion)」の授業が行われます。

「DEI」に特化した授業もあれば、経済学などでも「DEI」がテーマとして扱われますが、そこはもう男女平等を通り越して(注力分野がシフトしているだけで完全な平等が達成できているわけでは決してないですが)、民族的多様性、性自認の多様性、神経多様性(Neurodiversity)など、まだまだ「女性活躍」で推進すべきことが山積みの日本からはびっくりするような様々な多様性の推進が議論されています。

そして、アフリカンアメリカンのクラスメートや南アフリカのクラスメートが「Black」であることによって社会で感じる差別を議論したり、レズビアンカップルで子育てしているクラスメートが(見た目が女性であるために)転職の際に「自分が一家の大黒柱で稼がなければならない」ということを理解してもらえなかったエピソードを打ち明けるなど、マイノリティが自分たちの経験や立場を発信することで周りの意識が高まっていく過程も体感しました。

BROWN大学の門をくぐる入学セレモニー

正直手いっぱい。それでもいま挑みたい社内DEIや新規事業の立ち上げ

入学後ほどなくして、職場にフルタイムで復帰しました。仕事の感覚はすぐに取り戻せましたが、自分の体力と時間のなさに、「子育てをしながらフルタイムで仕事をすることがこんなに大変なのか」と身をもって実感しました。

今まで気にも留めていなかった夕方から夜の時間帯に実施される会議が、子育て中の親にとってこんなに不都合なのかとびっくりしました。会議時間の変更をお願いする勇気も出しましたが、昼間はクライアントとの会議があるため参加が難しくなるとの意見もあり、すぐに理解を得るのは難しいことです。

仕事と育児の両立に悩んでいたそんな時に、育休中や子育て中の社員を集めた座談会がきっかけで、社内DEI推進ワーキンググループが立ち上がっていることを知りました。仕事と育児とMBAの授業と課題で正直手いっぱいでしたが、後に続く人たちのためにも少しでも子育て中社員が働きやすい環境にできたらという想いで手を挙げました。

いまは同じようにDEIの必要性を感じている仲間たちと他社の制度のリサーチをしたり、社内アンケートを実施して必要な制度を考えたりと、話し合い、一緒に意見を出せるということがどれだけ励みになるかということを実感しています。

さらにもう一つ、復帰してからチャレンジしていることがあります。就職してからずっとコンサルタントとしてのキャリアを歩んできましたが、「新規事業コンサルタント」であるのにも拘わらず「自分で事業をやったことがない」という弱みを払拭することでした。

そこで、クライアントの新規事業の立ち上げなどを支援するコンサルティング事業のストラテジーユニットから、自ら事業立ち上げや事業推進に挑戦ができるイノベーション事業本部に異動しました。

せっかく出産育児という人生の一大プロジェクトが始まり、海外でのMBAという新たな学びもしているのだから、このまま今までと同じような仕事を続けるより新しい仕事にチャレンジしたいと思ったのです。

EMBAにてケープタウンのプロジェクトで支援した現地の女性起業家と

自信満々だった瞬間なんて一度もない。それでも自分を受け入れ、挑み、成長し続けたい

出産育児、海外でのMBA取得に向けた勉強そして異動など、新しいことにチャレンジするたびに、新たな壁にぶつかり、ますます自信を喪失する日々の繰り返しです。

正直、MBAを目指した本当の理由の一つは、「もっと自信をつけたい。海外のMBAを卒業できたらもう少し自信を持てるようになるかもしれない」からです。

ですが、いざ飛び込んでみると、優秀な仲間に囲まれて発言できない自分、フルタイムの仕事に加え課題を何とかこなして授業をパスするのがやっとの自分に直面し、自信を持つどころかますます自信を失う日々を過ごしていました。

社内で異動してからも、ずっとコンサルタントとして他社を支援する立場で活動してきた自分はなかなか「自分がこれをやりたい!こうしたい!」という事業責任者としての主体的な想いを持てずに失敗ばかりしていました。

「自信をつけて成功体験を積みたくてチャレンジしているのに、そのたびに自信喪失するなんて、一体私は何をやっているのだろう」と感じる日もあります。でも、振り返ってみれば、私はいつもそうでした。自信満々だった瞬間なんて一度もなく、「少しでも前に進もう。成長しよう!」といつも新しいことにチャレンジしてきました。

そうやって一歩一歩、辞めないでつづけてきた自分がいる。今の自分に満足することは決してないかもしれないけれど、誰かからの評価を待つのではなく、今までの行動や努力し続けてこられた自分を受け入れ、自身で認められるようになりたいと思います。

国際女性デーをきっかけに、自身を肯定できるしなやかさや強さを持つとともに、周りで陰ながら努力しているみんなにも「大変だよね。私たちみんな頑張っているよね!」と互いに称え合える、そんなゆたかな社会になればと思います。


〈Profile〉 
イノベーション事業本部 
マネージャー 河野

東京大学大学院修了。国内外大手コンサルティングファーム2社を経て現職。幅広い業種のクライアントに対して、国内外の新規事業開発を中心としたコンサルティング、オープンイノベーションプロジェクトに従事。育休を経て2023年8月よりイノベーションユニットにてスタートアップ支援プロジェクトの事業責任者。IE-BROWN EMBA在学中。

※ 記載内容は2024年3月時点のものです


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