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休職日記「アスカが好きだと遠回しに説明する午後」

 今日は家に弟夫婦といとこ夫婦がやってきて両親と食事会をしている。それぞれまだ小さい子供が二人いるから合計で10人の賑やかな集まりだ。

 自分以外は全員夫婦なので、コミュ障で休職中の独身のおじさんは非常に居づらい…皆が集まる前にそそくさと家を出て、午前中に最近頻尿気味で気になっていたので、下北沢の泌尿器科で診てもらい。近くのガストで休憩しつつこの文章を書いている。今頃子育ての話で盛り上がっていることだろう。

 若いころから親戚の集まりが苦手だ、あれこれと近況を訊かれるのも嫌だし、とくに話したいこともない。両親が社交的な性格だから親戚が家に集まることが多いが、自分だけになってしまったら親戚づきあいは消滅しそうだ。まったく、一応長男なのに、どうしようもない。

 人付き合いは本当に苦手で、高校時代の剣道部からの同窓会の案内がたまに届いたりすると、必ず無視してしまう。連絡がつかないことにしびれを切らしたのか、ラインに直接メッセージが届いたりすると、胃が締め付けられるような気持になる。メッセージを開く勇気もない。

 当然フェイスブックなんてできない、SNSで同級生を見つけると恐ろしくなってしまう。まるで逃亡犯だ、何も悪いことはしていないのに。こうして匿名でnoteに独り言のような文章を書いてなんとかガス抜きしている。

 もしかしたらHSPかもと思い心療内科で簡単な検査をしたのだけれど、小学生ぐらいまでは人付き合いは得意だったし、幼稚園を卒業する時に友達と別れるのが辛くて泣き喚いた記憶もあるから、生まれつきのHSPではないという結果だった。

 人付き合いに苦手意識を感じるようになったのは中学生の頃からだと思う。1995年にエヴァンゲリオンの放映が始まって、食い入るように観た。碇シンジと同じ15歳だった。

 とにかくエヴァンゲリオンは強烈に印象的で、どっぶりハマった。思春期や反抗期に性格がこじれることはよくあると思うけれど。自分の場合はアニメにハマったのに、高校生の頃にアニメにハマる奴=オタク=キモイという風潮があったせいで、アニメ好きとばれると馬鹿にされる、という抑圧が掛かり、そのせいで自分の本心を表に出すと見下されるとういう不安をずっと抱えてきた気がする。

 フロイト風に言えば自分の欲動(リビドー)を抑圧したせいで、他者に自己開示することに対して、恐怖を感じるようになってしまった。って感じだ。

 最近はホロライブのVチューバーにハマってちょくちょく切り抜き動画なんかも観るのだけれど、こういう趣味がバレたら終わりだ…とつい無意識に思ってしまう。堂々とアニメのイベントなどに参加できる人たちは自分の欲動に正直に生きれてうらやましいと思う。自分もそういう世界線に生きていたかった…

 でも、抑圧した欲動は消えることなく無意識化にずっと保存されている。とフロイトが言っていたように。今でもエヴァンゲリオン、特にアスカ・ラングレーが大好きで、もうこの想いはしかたないのでメルカリでクリアファイルやポスターを買って額に入れて部屋に飾るようにした。すると、喉の奥に刺さっていた小骨がやっと取れたような、そんな気持ちになった。

 自分らしく生きるとか、気持ちに正直になるとか、言葉ではわかっていてもいざそうしようと思うととても難しい。本当に欲動の通りに行動したら法に触れて捕まってしまうこともあるし。社会常識に合わせて誰しもが大なり小なり本心を押し殺して生活している。そうやって世の中と折り合いをつけつつやっていくしかないとしても、やっぱり好きなものは好きだと自分で認めるところから始めるしかないなと思う。だって好きなんだもん。

 「何が嫌いかではなく何が好きかで自分を語れよ」とルフィも言っていたけれど。堂々とこれが好きだと言えるようになったら、もう少し生きやすくなるかなと思う今日この頃なのです。 

 

 

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