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新聞や雑誌の書かない「福岡市」人口増のからくり

※からくりとは「仕組み・システム全般」の意味で俗称。由来は、江戸時代の見世物の略称から。古い時代の機械的仕組み。

【福岡移住あれこれ】その2・新聞や雑誌の書かない「福岡市」人口増のからくり

【福岡移住あれこれ】→部屋を借りて5年。「陽気でラテン気質の街」福岡に惚れてます。移住者の、移住者による、まだ誰の為かよくわからない、構造・人間観察バラエティーです。アウトサイダーの独断と偏見で、この街の傾向と特徴を紐解いていきます。

①数字で見る福岡市
②福岡市の人口増加の様子
③【駅・乗降客数】から人口増を俯瞰してみる。
④「新・福岡住民」の出現
⑤「新・福岡住民」の出現。ビジネス機会はどこにあるのか?
⑥男性より女性の人口増加数が多い地域は圧倒的に中央区。
⑦福岡市の人口増加を、金融の視点から確認してみる。
⑧「義務はスキに勝てない」


日本の人口減少の最中に、人口増加をしている都市。九州・山口地区から人口を吸収しています。人口増加をしている地域には「新しい商売のチャンス」があります。日本全体は人口減少により、国内ビジネスのパイを喰い合っている事から考えると、「人口増加」が素晴らしい事か、説明するまでもありません。

東京都23区から見れば福岡市は小さな街なので、まるで市内全域で人口が増加しているように思えるかもしれません。しかし、市内全域で人口増加しているわけではありません。

人口動態から、福岡市がどのようなビジネスの発展をしているのか?そして、どのような「傾向」があり、どこにビジネスチャンスがあるのか?その詳細分析について書かれた雑誌記事や新聞記事は、まだ読んだことがありません。
というわけで「住んで居ると気がつかない福岡市について」人口増加の視点から紐解いてみたいと思います。そこから見える「何か」ヒントがあるかもしれません。


①数字で見る福岡市
福岡市は、人口約150万人で、京都市や神戸市を抜いて政令指定都市で全国5位。

人口増加数が約2万8千人で、大阪市の約2万2千人を抜いて、第1位。
※全国20政令指定都市の推計人口(2017年10月1日)より。

実際に博多駅や天神駅の周辺のカフェでお茶をしていても賑やかですし、「若い人」が目につきます。地方都市にありがちな、シャッター街からは程遠い街並みです。最近では、福岡市が何故勢いがあるのかを地方再生の視点から、ヒアリング・分析した書籍も出版されています。


②福岡市の人口増加の様子
福岡市は、人口150万人を突破したのが平成25年・2013年です。それから5年の間、毎年・1万3千人~1万5千人の人口が増加し続けています。

※下記・福岡市データより参照・引用加工。


天神の在る中央区、東区、博多区を含めた3区で合計すると、ここ5年の間毎年・約8千人~1万1千人の人口増加をしています。その中で、人口増加が顕著なのは、博多駅へ通勤を考えて居住するヒトが多いと思われる東区と博多区です。転勤などに伴う引っ越し時期である昨年2017年4月(集計5月1日)の単月人口増は昨年最高値で、福岡市全体で4899人増(前月比)でした。

※下記データより参照・引用加工。



東区は、69.36k㎡と前述の3区の中では最も大きな面積です。


博多区は、博多駅周辺を含む地域です。福岡空港もここに入ります。


中央区は、天神地区を含む中心市街です。前述の3区の中で最も面積が小さい区です。


③【駅・乗降客数】から人口増を俯瞰してみる。
福岡市の中心街といえば西鉄天神駅周辺でしたが、博多駅ビル建設と九州新幹線の全線開通によって、博多駅周辺のビル群には東京・本社企業の九州支社が数多く存在しています。近年は、博多駅サイドに勢いを感じます。博多駅周辺に負けず、天神地区では、ビルの高さ制限を規制緩和することで建て替えプロジェクトが進行中です。

博多駅
JR九州本線「博多駅」乗降客数。12万1千人(平成28年度)
JR西日本(新幹線博多駅) 2万人(平成28年度)
地下鉄「博多駅」乗降客数。7万6千人(平成28年度)
西鉄・福岡天神駅
西鉄大牟田線「福岡・天神駅」乗降客数。13万1千人(平成28年度)
地下鉄「天神駅」乗降客数。7万9千人(平成28年度)



④「新・福岡住民」の出現
福岡市でも博多駅周辺に勤務する為に、ここ5年の間に引っ越してきた方を「新・福岡住民」と仮に呼びましょう。博多駅周辺とは、キャナルシティくらいから大博通り、筑紫口側までの半径1~2キロ程度の地域に就労している方です。この辺に在京本社の九州支社が多くあるからです。

「新・福岡住民」は、博多駅の周辺のマンション、つまり博多区への転居を考えるでしょうし、通勤アクセスと家賃のバランスを考えると、JR九州本線ならば香椎駅や新宮駅、JR福北ゆたか線沿線に転居するファミリー層が東区の人口増に現れているのではないでしょうか。

というわけで福岡市で注目すべきは東区と博多区ですが、それにしても気になるのは、天神地区から博多駅周辺へ経済力がシフトしているように感じることです。東京本社基準の給与を貰うと、東京に比べて物価の低い福岡では3割増くらいの価値を感じます。特に家賃の激安ぶりは東京の家賃からは信じられない安さです。(※福岡家賃に関しては別の機会に書こうと思います)この東京本社基準の給与や、経費が、博多駅周辺に経済力をシフトさせている要因なのではないか?というのが仮説です。そして「新・福岡住民」はこの経済圏に生きている方たちなのではないでしょうか。西鉄・天神駅に乗降する「福岡地元企業」に勤めていて、先代から福岡市に住んでいる方々を「元祖・福岡住民」と仮に呼ぶとすると両者は明らかに生活圏が違うのではないかと思うのです。

これは、自分がこの5年間に様々な地元の方と交わる事で、ビジネスの流れを感じた事から人口増をリサーチして、そこから考えた仮説です。公式の調査資料があるわけではありません。「新・福岡住民」でも天神地区でお買い物もするでしょうし、「元祖・福岡住民」でも博多駅ビルでお買い物をする事もあるでしょう。ですが、福岡の給与や家賃は東京から見れば驚くほど安い。東京基準の給与を貰っている、もしくは東京基準の経費を使っている経済力は相対的に大きなものになると考える方が自然ではないでしょうか。


⑤「新・福岡住民」の出現。ビジネス機会はどこにあるのか?
「元祖・福岡住民」は、地縁・血縁の情報経路が多数あるので、地域に関する情報も入手経路に事欠きません。SNSが人脈からの情報を強化してくれます。新店舗オープンやグルメ情報、そして希少価値の情報は友人関係から得られるでしょう。それに比べて「新・福岡住民」は友人・地縁・血縁は薄いので、職場の同僚などに限られてしまうでしょう。となると。情報接種するルートは、スマホによるネット検索が主になるなのではないでしょうか。これはあくまでも仮説です。

では、JR博多駅を利用する「新・福岡住民」に対して商売をするにはどうすればいいのでしょうか?消費財であれば、JR博多シティ・東急ハンズ・阪急百貨店への出店が手っ取り早いでしょう。しかし場所には限りがあるのと、家賃など条件面でのハードルがあります。法人顧客を捕まえるのであれば著名人講師のビジネスセミナーへ無料招待でしょうか。新規参入企業やベンチャー企業のセミナーが数多く開催されています。しかし必ずしもターゲットが集まるとも限りません。地道な活動を継続しなければなりません。

アナログでのアプローチ手法には限界があるので「新・福岡住民」へのアプローチ方法は、ネットを活用する事が最もコスト効率が良さそうという事になります。例えば検索対応を施すのであれば、それは東京都民へのアプローチとさして変わらない事になります。ネット空間に距離は関係ないからです。

つまりネットを使った「新・福岡住民」へのアプローチは、全国販売「商圏」を考えるのと一緒という事になります。目には見えないネット空間において「新・福岡住民」は「東京都民」と同じになるわけです。福岡でのビジネスなのに、全国ビジネスを考える事が同義になる。人口減少の地方都市が活路をネットに見出そうとするのはよくある話しですが、「人口増加の地方都市」福岡でのネット活用でも「商圏」の概念が変わっている。新規顧客へのアプローチは今後も様々な方法が模索されるでしょう。


⑥男性より女性の人口増加数が多い地域は圧倒的に中央区。
福岡は男性よりも女性の人口数が多い事はご存じの方も多いと思います。
では前述の人口増加が顕著な3区(東区・博多区・中央区)の中で、女性人口の増加数がずば抜けて多いのが中央区です。

福岡市全体で、女性が男性よりも約8万6千人多くいます。その中で中央区は約2万人以上。男女人口差は、東区が約8千人。博多区で約1万人。中央区はその倍の数字。狭い面積から考えると驚きです。理由としては、福岡市は、サービス産業が主力な為、女性の雇用が多いからでしょうか。歩いて帰れる範囲や、イメージの良い「薬院」エリアなどを考えるとすれば、中央区の女性の多さは、職住接近と言った所かもしれません。


⑦福岡市の人口増加を、金融の視点から確認してみる。

福岡には「福岡銀行」「西日本シティ銀行」など地銀・信金があります。日銀の県別に集計された「現金・貸出残高」を見ると、経済力の目安になります。

「人口が増える」→「ビジネスチャンスが増える」→「資金を借りる」→「現金・貸出残高」が増える→「富の在る所に人が集まる」→人口増加が「ヒト」「モノ」「カネ」の回転を大きくしていく。

人口増加の恩恵のひとつが「経済力」だとすると、それを数字で見る一つの方法として「どれくらい貸しているのか」で経済力がわかると思います。下記の図から、九州地区において福岡県が他県よりケタ違いに日銀・貸出金量が多いのがわかると思います。


⑧「義務はスキに勝てない」
住みやすい・働きやすい福岡市。まるで福岡市のPRコラムのようになってしまいました。どれも数値データは公開されているものですが、「新・福岡住民」経済圏なる仮説・切り口は、新聞記事・雑誌記事・ネット記事になっていません。アウトサイダーだからこのような仮説が生まれるのだと思います。

目に見える事象から「目に見えない切り口を見つける」これは小説家にとって大事なスキルです。しかしそのスキルも業務と思う「義務」からは産まれません。「スキこそ上手なれ」福岡がスキだからこそ興味が湧き、調査したり、仮説を立てたりするのではないかと思います。「義務はスキに勝てない」だから面白い。今後も福岡の「ヒト」に焦点を当てて深堀していきたいと思います。


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