見出し画像

大人のたしなみ~戦国から江戸~

今回は大和文華館に行った話です。

大和文華館に行く

2020年1月10日、奈良の大和文華館に行ってきました。
ここはこじんまりとした瀟洒な美術館で高級住宅街のど真ん中にあります。

今回の展示は「大人の嗜み 立花・鉄砲・古画鑑賞」
江戸時代を中心に桃山時代から大正時代にかけての趣味や芸道の一端を紹介しています。

私の家からは電車でもバスでも行けますが今日は初めてバスで行きました。が、ものの見事に降り損ねて電車の駅から徒歩で向かうことに。駅から15分ほど歩きます。

講演「『探幽縮図』からわかることー画家の技・古画への眼差し・失われた作品ー」門脇むつみ氏

今日はたまたま講演があり展示品の一つ『探幽縮図』について解説していました。
私が到着した時にはすでに講堂前は行列ができており、コロナ対策のため体温を測って席につきます。
席はおおよそ半分以上埋まっていて盛況です。

講演は狩野探幽が描いた『探幽縮図』の内容とその意義について。
内容は。
狩野探幽は狩野派の絵師であり、古画の鑑定も行っていた。
鑑定した画を記録としておおまかに模写したものが『探幽縮図』である。
現在でもかなりの数が残っているが、元々は巻物で数百巻あったらしく探幽の努力が窺える。
探幽が描き写した絵は大名や大商人が持つ一級品ばかりで現在では失われたものもある。
そのため探幽が写しておいてくれたおかげでどのような絵だったかを現代でも窺い知ることができる。
当時から絵のモチーフは先人が描いたものから構図をまねることがあった。
名画を持つことは当時の人々にとって極めて重要だった。
といったものでした。

「大人の嗜み 立花・鉄砲・古画鑑賞」

さて、実際の展示の話に移りますが、こちらは「花を飾る」「古画を味わう」「鉄砲をきわめる」の三部構成でした。

「花を飾る」では花がどのように飾られ楽しまれたかを焼物や屏風、伝書から見ていきます。目を引くのは特別出品の屏風が二種類。
特に「立花図屏風」は花の絵の後ろにさらに壁画や掛け軸が描かれている豪華な作品です。
この作品の面白い所は花の後ろの絵に描かれている内容が絵の外に影響しているように見える点です。
描かれている龍が雪を降らせているように見えたり、滝が絵の外まで流れ出しているように見えてきます。

「古画を味わう」は講演で取り上げられた「探幽縮図」を中心に絵画がどのように扱われ需要されたかを展示しています。
他にも尾形光琳や岩佐又兵衛など有名どころが並んでいます。

「鉄砲をきわめる」は鉄砲の伝書が展示されています。ただし重要なのは内容ではなく秘伝が描かれている紙の部分です。
すべてが金銀泥で描かれており、しかも保存状態がかなり良いのでまばゆいほどの輝きを放っています。到底武術の伝書とは思えない豪華さです。
さらに、巻物の中には所々源氏物語の絵が描かれていて非常に雅た作品です。

最後に

今回は美術館の展示レビューでした。日本には美術館が沢山あり、夥しい美術品があります。私たちはそれをガラスケース越しに見ることができますが、覚えておかないといけないのはこれらがかつては大名や豪商が私有していたものであり、日ごろから飾られたり使われたりしていたということです。
また、美術品への理解や扱いを心得ていることは必須の教養でした。ただ単に権力や武力、財力を持っているだけでは周囲から認められなかったからです。
これは現代でもあまり変わりません。文化的な知識や教養は人生を豊かにします。経済的な努力だけでは得られない力になることもあります。
是非、今回の展示のような趣味的教養の価値が見直されて欲しいと思います。


読んでいただきありがとうございます。フォローやサポートなどよろしくお願いいたします。