いじめ

僕のビジョンと僕の過去

今回は書くのに躊躇して書いていなかった,私がやりたいことを書いていきたいと思います.なのでこの記事が私のプロフィール代わりということになります.


生きにくい人を生きやすくする

私がやりたい,取り組みたいことは「世の中を生きにくいなと思っている人を生きやすくする.」ということをビジョンに置いています.

なんでこんなビジョンを置いているかというのは,私がどちらかというと「世の中生きにくいな」と思っているからです.

なので,私がやることの一番のユーザは私になります.私はなぜ世の中生きにくいと思っていて,世の中生きにくいと考えている人を助けたいのかというと,私の体験があったからです.


私の生きにくさと過去の体験

私は幼少期からいじめられっ子で,よく同学年の子どもたちにいじめられていました.

なんでいじめられていたのかと今考えると,私は他人の顔をよく見て他人に合わせる子供だったからかなと思います.こういった子供は自尊心が強い子供のいいおもちゃにされます.


小学校,中学校といじられ,いじめられっ子ポジションで,その期間は何とか耐えて生活していました.

幸い私は自殺や引きこもりなどにはならずに,小学生,中学生時代を過ごしました.

これも今思うと私のアイデンティティだった「我慢強さ」を必死に守ろうとしていたのかもしれません.また,その当時はいじられポジションでも,体裁が守れるからよいと思っていた節もあります.


高校に上がるときに,私は成り行きで同じ学校の子があまりいない高校に行くことになりました.なので,学校という長い間過ごす場での交友関係がリセットされました. 

ただ,10年以上培っていた性分というのは代えがたいもので,高校1年生の時は自らいじられるポジションにつきました.それ以外,人との付き合い方を知らなかったのです.

そうして,学校にも慣れ,だんだん月日が流れていきました.


私の人生の転機

私が高校1年生の頃は,ちょうどスマートフォンが出始めた時期です.私は通学時間が1時間半ぐらいだったので,暇を持て余していました.スマホゲームが流行っていて,私もやっていましたが,それだけだと1時間半の暇はつぶせず,私は携帯小説をよく読んでいました.

読んでいた携帯小説は王様ゲームなどが流行った「モバゲー小説」で,私はそこでいろいろな作品に出合いました.

陳腐でチープで一般的かもしれませんが,私はその中で人生を変える作品と出会いをしました.私を変えた作品は「DEVIL MATIC ORCHESTRA」[1]です.

この作品はとても面白いので,ぜひ読んでほしいですが,あらすじは結構普通で,悪ガキ高校生二人組が,異世界に飛ばされて,異世界と人間のダークな部分が入り混じる魔都で,生きていくといったあらすじです.

この作品の何に影響されたかというと,主人公の自分を曲げない姿勢と,青臭いながら夢を語るところと,作品の中で語られる「今よりほんの少しだけ優しい世界」という言葉に感銘を受けたからです.

今思うと高校生にしては単純なことに影響されていたなと笑ってしまいますが,この作品に出合ってなければ今の自分はないと心から思います

この作品に影響されて,私は「自分」というものを強く持とうと決意し,「今よりほんの少しだけ優しい世界」というビジョンが心に芽生えました.


こういったビジョンを心に決めて,進んだ大学は情報系でした.なぜ大学が情報系だったのかというと,高校を決めたのがゲームクリエイターになりたくて,情報系が学べる高校に進んだからです.

今思うととても良い選択をしたと思っています.大学では友達に恵まれ,特にいじめられることもなく,「自分」を出しながら生活できたと思います.そして,大学生活を進めていくうちに,自分が目指すビジョンを実現したいという欲求がより大きくなっていきました.

そうして,3年生になったときに研究室に配属されて,研究で自分がかなえたいビジョンの実現を目指して研究を進めて今に至るといった感じです.


目下の目標はいじめの解決

私が目下取り組みたいと考えているのはいじめの解消です.

なぜいじめの解決なのかという理由は2つあります.

1つ目は私が昔いじめられていた経験から,私と同じように苦悩を抱える子供が生まれないでほしいからです.

2つ目はいじめという現象は子供の世界だけでなく,大人の世界でも発生することで,人間にとっての普遍的な汚点であると私は思うからです.


いじめ解決のアプローチ

いじめの解決には大きく2つのアプローチがあります.1つはいじめ発生後のケアで,もう一つはいじめの予防です.

1つ目のいじめの発生後のケアは基本的に今やられている方法で,いじめが発生した際に,学校や自治体が対応をし,いじめられた子供の心のケアやいじめの再発防止をするアプローチです.

この方法ではいじめを早期発見する工夫と,発生後のケア効果の高い方法を追求することが,この方法の効果を高める道筋になります.

しかし,僕はいじめの発生後のケアには問題点が2つあると思います.1つはいじめられた子の負担が大きい事で,もう一つはいじめの早期発見が難しい点です.

この二つの問題点によって,いじめが深刻化してしまう例が多いと考えています.

また,いじめの隠蔽も問題で,いじめの存在を認識していたとしても解決方法の無さなどの理由からいじめの事実を隠蔽する事件がよく取りざたされていると思います[8].


2つ目のいじめの予防ではどうでしょうか.いじめの予防では,そもそもいじめを発生しないようにするアプローチなので,上記二つの問題をカバーできます.そして,いじめが起きない環境を作ることで,いじめの解決以外にもポジティブな効果が期待できます.

いじめとは自分たちとは違う人を排除する行動や,自分自身の自尊心を回復するために他者を攻撃する行動です.

このいじめがなくなることで,多様的な居場所が育まれ,学校自体が自尊心をはぐくむ場として機能すると思います.

そうなると,いじめ以外にも不登校や鬱の解消にも寄与する可能性があります.従って,いじめの予防を行うことは重要であるといえます.


ピアサポートによるいじめの解決

では具体的にいじめの解決方法として,私はピアサポートが良いと考えています.

ピアサポートはもともと病気のサバイバーや,禁酒互助会などから発生した考え方で,問題の体験者がお互いに助け合う,相談しあうことで問題の解決に効果があることが知られています[6].

このピアサポートを子ども同士で行うことで,いじめの発生が減ったことが報告されています[2].

また,ピアサポートを行うことで,困った人を助ける行動である,向社会的行動が増加することも報告されています[3][4].


ピアサポートの問題点と助けやすいロボットによるアプローチ

このピアサポートはこれだけ効果がある活動と知られていますが,導入のコストが高いことが指摘されています[7].

それはピアサポートを行う子供に,必要な予備知識を教える必要があるからです.その為,現在ではピアサポートの普及には至っていない状態です.

ピアサポートの導入コストを考えると,従来行われたいたの子どもたちに予備知識を教える方法以外の方法を考える必要があると考えました.

ピアサポートの必要要件を考えると,1.子ども同士が助け合う2.子ども同士が助け合える環境ができる.といった要件であると考えられます.

その為,ピアサポートを成立させるためには,子ども同士が助ける事を促進する必要があります.

従来のピアサポートでは人を助ける役として,ピアサポーターを立てることが行われました[6].こうすることで,人を助ける役割が出来,教室の中で人を助ける人がいることで,その人がロールモデルとなり,他の生徒も人を助けるようになると考えられます.

つまり,この構造を発生させることが出来れば,ピアサポートの導入にかかる予備知識を教えることや,ピアサポーターを立てる必要性が薄くなります(正確には人を助けるにはどうすればよいのか,どう助けるべきかという知識も教える為,そこを道徳等でカバーする必要はある).


上記要件を満たすために,“助けやすい存在”を発生させることが良いと考えました.

従来のピアサポートでは助けやすい存在はおらず,自然発生的に発生する問題をサポータが解決するという方法でした.この時期の子どもには種々の問題が発生しますが,一人で解決したい問題をサポータが助けてしまう例や,サポータを導入し始めた際に,助ける人がいないといった問題が発生する可能性があります.

従って,私は教室内で誰もが助けられるような存在が必要であると考えました.

その役割として最も適切なのは人よりも助けやすい振る舞いをするロボットだと考えました.

ロボットが教室の中で助けやすい存在として機能することで,ロボットを助ける行動が増え,何かを助ける行動が当たり前の環境が形成されると考えています.

そうなることで,ロボットだけでなく困っている人が現れたときに,従来よりも助けやすい環境になり,実質的にピアサポートを導入した環境に近い状態が形成できると考えています.

その為に,ロボットの振る舞いを様々なパターン試す必要があります.また,ロボットが発話をするのかなど色々な点を考慮する必要がある為,達成までの道のりはなかなか厳しいものとなっています.


私の今後

なぜこんな記事を書き,Twitterをやっているのかというと,私のビジョンに共感して一緒にやってくれる仲間を探しています

「ビジョンとかがあるなら自分でせっせと開発すればいいじゃん」と思われるかもしれませんが,私にはそのスキルと経験とそして勇気がまだまだ足りていません.

この記事は私のビジョンに向けた小さな一歩目なんです.

少しでも興味を持っていただけた方は,コメントやDMしていただけるととてもうれしいです.


参考文献

[1] DEVIL MATIC ORCHESTRA (https://estar.jp/novels/7162552)
[2] Cowie, H. (2000). Bystanding or standing by: Gender issues in coping with bullying in English schools. Aggressive Behavior: Official Journal of the International Society for Research on Aggression, 26(1), 85-97.
[3] 江角周子, & 庄司一子. (2016). 中学校でのピア・サポート実践におけるサポーターへの効果 (2) サポート概念の学習を通して. 共生教育学研究, 5, 15-26.
[4] 川畑惠子, & カワハタ,ケイコ. (2009). 生徒同士の人間関係形成能力を高めるピア・サポートプログラムの開発に向けての予備研究. 奈良教育大学大学院教育学研究科教職開発専攻 修士論文.
[5] 永井智, & 新井邦二郎. (2013). ピア・サポートトレーニングが中学生における友人への援助要請に与える影響の検討. 学校心理学研究, 13(1), 65-76.
[6] 春日井 敏之・西山 久子・森川 澄男・栗原 慎二・高野 利雄(2011)『やってみよう!ピア・サポート 一目でポイントがわかるピア・サポート実践集』,本の森出版
[7] 戸田有一. (2001). 学校におけるピア・サポート実践の展開と課題: 紙上相談とオンライン・ピア・サポート・ネット. 鳥取大学教育地域科学部紀要. 教育・人文科学, 2(2), 59-75.
[8] いじめ聞き取りメモ、市教委が隠蔽指示 神戸中3自殺(https://www.asahi.com/articles/ASL6364CXL63PIHB00W.html)
[9] 松岡敬興. (2015). 特別活動におけるいじめの未然防止を促す 「体験活動」 に関する研究─ ドイツ・ヘッセン州における 「Service Learning」 の取組に学ぶ─. 桃山学院大学総合研究所紀要, 40(3), 119-134.
[10] 久保順也. (2013). 児童生徒間のいじめに関する心理学的研究の展望. 宮城教育大学紀要, 48, 229-241.
[11] 本間友巳. (2006). いじめ被害中学生によるいじめへの対処と解決-いじめ被害者への支援に向けて.

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