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【本の紹介】『中国古典の知恵に学ぶ‐菜根譚』

『中国古典の知恵に学ぶ‐菜根譚』を読みました。

中国古典の知恵に学ぶ 菜根譚 (ディスカヴァークラシックシリーズ) | 洪自誠, 祐木 亜子 |本 | 通販 | Amazon

『菜根譚』は、明代末期に優秀な官僚として活躍後、政争に巻き込まれ隠遁したと推測される人物、洪自誠(こう・じせい)が著したものです。

明代末期は、政治家や官僚たちが腐敗し、派閥争いにあけくれ、優れた人材が追い落とされ、ずるがしこい人物だけがとりたてられるという混乱した時代だったようです。(今の日本のことを書いているようですが、中国明代末期の話です。あしからず)

儒教思想も形骸化し、人々の生きる指針がなくなりつつあったころ、「儒教道徳」に「仏教」や「道教」の思想を融合させて、人の生きる指針として書かれたのが『菜根譚』。

田中角栄、川上哲治、五島慶太、吉川英治といった人々も愛読していたそうです。

原典は300項目以上あるのですが、この本では、その中から翻訳者の祐木亜子さんが選んだ220項目が掲載されています。

今の社会に生きる私たちも、生きる指針を見出せなくなっているような気がします。

何をやってもうまくいかなくて心が折れそうになったり、どう生きれば良いのかわからなくなったり、自暴自棄になったり…

今の私の心に響いた言葉のうち、いくつか紹介させてください。

・天が肉体を苦しめるなら、精神を楽にして苦しみを減らそう。

・人間の一生は、後半の人生をどう生きるかで決まるのだ。

世に知れ渡るような素晴らしい功績を収めても、それを鼻にかけたりすれば、せっかくの功績も全く値打ちがなくなってしまう。
一方、天下にとどろくような大罪を犯しても、心底から悔い改め反省をしながら生きていけば、罪悪もやがては消えてしまう。

・家庭に嘘偽りがなく和気あいあいとした雰囲気があり、家族がいつも笑顔で和やかに語り合うことができれば、家族の間に壁もできず、お互い心が通じ合う関係を築くことができる。
こうした心安まる温かい家庭を築くことは、気功をしたり座禅を組んだりするよりはるかに素晴らしい効果を心身にもたらす。


・人はむやみやたらと厳しく叱りつければよいというものではない。
人を叱る時のポイントは、あらかじめ、相手が自分の𠮟責のことばを受け入れることができる程度をきちんと考慮することだ。
また、人を育てるときにも、目標を高く置けばよいというものではない。
相手が実行できる範囲のことか否かをしっかりと考慮して決めるべきだ。

『中国古典の知恵に学ぶ‐菜根譚』

400年以上前に、中国で書かれた書物に癒してもらえたり、指南してもらえたりするのですから、書物というのはありがたいものだと思います。


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