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うるさくて甘い帰路

 沖縄での短い休暇が終わり、今日は帰路につく日となった。昼過ぎには空港に着き、帰りの飛行機に乗る準備をした。息子との旅は、いつも予想以上の冒険をもたらしてくれる。

 帰りの飛行機は、予想通り混雑していた。そして、息子はその期待を裏切らない。大声で騒ぎ、泣き、暴れ、周囲の乗客に迷惑をかけてしまった。しかし、そんな中で救いの手が差し伸べられた。隣に座っていたおじさんは、息子の小さな大暴れにも動じることなく、優しく笑顔を向けてくれたのだ。「子供は泣くのが仕事だもんね」との言葉に、心の中で深く感謝した。

 子供がいない時代には、飛行機で近くに泣く子供がいたら、少しだけ不快感を覚えたかもしれない。しかし、実際に自分の子供を連れて旅をすると、その大変さが身にしみてわかる。子育てとは、外から見るよりもずっと複雑で、予測不可能な挑戦の連続だ。その大変さを知ることで、初めて他人への深い共感や優しさが生まれる。

 隣のおじさんの一言は、私に大切なことを思い出させてくれた。自分勝手な生き方をしている場合ではない。誰もがそれぞれの戦いを抱えて生きており、その戦いを少しでも楽にするためには、互いに寛容でいることが必要だ。

 息子の飛行機デビュー旅行は、様々な意味で私たち家族にとって学びの多い時間となった。他人への理解と優しさが、どれだけ大切かを再認識させられたのだ。そして、次に同じ状況に遭遇したとき、私も誰かの救いとなれるよう、その優しさを忘れずにいたい。

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