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最近読んだ夏小説【読書記録】#16

来るべき試験に向けて学業に勤しむ日々。

精神的な余裕が無くなってくると、まとまった趣味の時間が確保しにくい。

けれど、さすがに煮詰まって勉強したくない時もある。

そんなタイミングで小説を一気読みした。

やはり小説は読みやすくて良い。


✳︎


●これはただの夏

6月あたりに燃え殻さんの存在を知り、今夏はこれを読もうと決めていた。

圧倒的な熱量を伴って訪れ、いつの間にか過ぎ去ってしまう夏。その言いようのない心の喧騒と静けさに焦点が当てられた作品。だからストーリーは必然的に初夏に始まり晩夏に終わるのだが、ラストはあまりにも切ない。

切ないという言葉は適切ではないのだけれど、他にこの読了後の感情を正確に表現する語彙を持ち合わせていない。正に「夏の終わりのあの感じ」と同じ感情で、しばらく抜け殻みたいになってしまう。

自分自身に言い聞かせるかのようなタイトルもまた、余韻となって僕の心に漂い続けていた。

季節が変わるように、月が満ち欠けを繰り返すみたいに、すべてが移ろい変わってゆく中で、ボクだけが変われなかった。
十一歳の誕生日、あなたは誰と何を食べましたか?

あまりにも非現実的だとする声もあるようだが、小説なのだからそこは大目に見てよいのではないだろうか。正とも負ともつかない方向に振り切った非現実感、その気怠い浮遊感こそが燃え殻作品の魅力なのだから。






なかなか読書に没頭する時間を確保できず、今回は1冊だけの紹介となりました。

燃え殻さんの世界観は独特ですが、好きな人は本当に好きかもしれません。

以前に読んだ"夏小説"の中だと、吉本ばななさんの『TUGUMI』が特にお気に入りです。

夏を感じられる作品にはどこか特別感があって良いものですね🌻


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