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「EoP《Egg of Private Eye》」愛夢ラノベP|【ライトノベル】【ミステリー】

「EoP《Egg of Private Eye》」
愛夢ラノベP


Egg of Private Eye


【本文】

第0部 プロローグ



「どうした、緊急事態か?」

「僕にトラブルはないのだよ」

 ワトソンはホームズの質問に答えながら、ブラックコーヒーを嗜む。ちなみに、彼女は僕と呼称しているが、実際はボーイッシュな女性である。
 そんなボクっ子のワトソンは、コーヒーの苦みと砂糖の甘味を舌で堪能しながら、伝説の名探偵ホームズを不思議そうに眺める。
 名探偵ホームズ――35歳のアメリカ人男性、190センチ、体重は不明。
 髪型はシルバーグリーン色のツーブロックで、彼の両目はアクアマリンのように澄んだ水色だ。また、いつもハナニラの香水を愛用している。
 真っ白なシャツと黒褐色のオーダーメイドスーツが似合っている。

「いや、いつもワトソンはレモンティーを楽しみ、緊急事態では苦手なコーヒーを合図として飲む、そう決めただろ」

「そう言えば、そうだったな」とワトソンはコーヒーを飲み干す。

「もしかして単にコーヒーを堪能しただけか?」

「悪いが、眠気覚ましに苦手なコーヒーを試した」

「はぁーー、俺を驚かせるな。いいか、コーヒーは緊急事態だけにしろ」

 ホームズから口酸っぱく説教を受けながら、ワトソンたちは大都会のマンハッタンを歩いていた。
 ――アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨーク市マンハッタン。

マンハッタン


 ――令和7年8月24日の午前10時。
 手加減を知らない炎天下とコンクリートの照り返しによって、ワトソンとホームズは玉のような汗が噴き出す。2人にとっての唯一の救いは、ハドソン川から吹く風だが、やはり暑さ対策にはならない。
 そんな川に、ワトソンの姿が映った。
 マキャヴィティ・ワトソン――25歳のアメリカ人女性、183センチ、53キロのAカップ。
 サーモンピンクのショートボブに、オキナグサを模した花飾りを付けている。アクロアイトのように無色透明な瞳が特徴的。
 いつも暗緑色のレディーススーツに、マリーゴールド色のスカーフを巻き、両手に真っ赤なパームカフを付ける。
 そんなワトソンは、つい最近の事件について疑問を抱いたようで、ホームズの心意を確かめようと試みた。

「ホームズは、バレット・プレーン事件での犯人の話を信じたのか?」

「2代目モリアーティが俺の暗殺を企てたって話だな。もちろん、俺が死んだら、黒幕を捕まえてやるさ」

「クククッ、犯罪の前に捕まえないのかい?」とワトソンは微笑む。

「おそらく2代目モリアーティは墓穴を掘らない。ゆえに、俺が死ぬまで犯罪を起こさない。ならば、俺が死ななければ、2代目モリアーティは捕まえられない」

「証拠がないからなのだね。しかし、ホームズが死んだら、誰も犯人を捕まえられないのだよ」

「それは違う」とホームズは首を横に振る。

「君を除いて、誰が犯罪コーディネーターを追い詰めると言うのだね」

「次世代の探偵さ」とホームズは余裕の笑みを浮かべた。

「それは過大評価なのだよ」

「そんな事はない。たとえ俺が死のうとも、きっと未来の探偵が2代目モリアーティを捕まえる。そのためならば、俺は死んでも構わない。もちろん、証拠は残すがな」

「ホームズ、死人は口なしって諺もあるのだよ」

「ほぅ、さっきから気になっていたが、なぜ呼び名を変える? 俺たちも組んで5年が経ち、ワトソンはラムダと呼ぶようになったよな」

「僕も女だし、やはり男女の仲なのに、ファーストネームで呼び合うのは恥ずかしいのだよ。それに親しき仲にも礼儀ありって言うじゃないか」

「ほぅ、それならば良いが」

 ホームズは寂しげにマンハッタンの街を眺めた。今や世界は、退屈なほどに平和である――名探偵ホームズがいる限り。
 名探偵ホームズは、その洞察力によって、計画を実行に移す前、すなわち犯行を準備した段階で犯人を逮捕していった。そんな彼の活躍によって、2代目モリアーティを除き、多くの犯罪者は牢獄に送られた。そのため、最近は衝動的で小さな犯罪しか起きない。犯罪者がいなければ、探偵の手番がなくて退屈だ。
 そう感じる探偵も少なくない。
 あまりの事件の少なさに、探偵は廃業すら考え始めていた。だからこそ一部の過激派探偵は、逃げおおせた2代目モリアーティを称賛する場合もある。しかし、このまま骨のある犯罪者がいない方が国民のためであり、最後の凶悪犯こと2代目モリアーティを探す方が社会のためなのだろう。
 まぁ、こんな難しい話に興味がないのか、ワトソンは、ニヤけるホームズに質問していた。

「ホームズは何だか嬉しそうだな。何か良い事でもあったのかい?」

「シャーロックにも分かるか?」とホームズは笑みを零す。

「顔に今日は娘の誕生日なんだって書いてあるのだよ」

「そこまでバレているなら、隠す必要はない。今日で、俺の娘は5歳になる」

「それは、おめでとう」とワトソンも笑った。

「いや、誕プレをくれよ」

「誕生日プレゼントを省略するな。それに、僕には贈り物を選ぶセンスもないのだよ」

「何でもいいさ、相手の喜ぶ顔を思い浮かべて渡す物ならな」

「だったら、後で特大のプレゼントを贈るのだよ」

 ワトソンが予告をした時、彼女のスマートフォンがけたたましく鳴った。液晶画面の『事件発生』の4文字を見て、ワトソンは「事件なのだよ」と叫び、ホームズは「現場に急行するぞ」と駆け出した。
 2人はグランドセントラル駅を目指す。
 その駅の周辺には、ひときわ目を引くバーがあった。カジノに併設された店で、ワトソンとホームズは言葉を交わす。

「ここが事件現場のバーなのだよ。入口を閉鎖したので、犯人は中にいるはずだ」

「で、犯人は誰だ?」

 ホームズが問うと、お前が推理しろよって言わんばかりに、ワトソンは彼を睨みつけた。その鋭い視線の先には、ホームズだけでなく、華やかなバーもある。

「思ったより被害は少なそうなのだよ」

「最近、犯人は銃火器も使わなければ、人も殺さないからな」とホームズは残念そうだ。

「それだけ平和になったのだよ、ホームズのおかげで」

「俺だけの功績じゃない。今の平和は、協力してくれた警察や同業者によるものだ」

 ホームズは謙遜しながらバーカウンターに向かう。そんな彼の2歩くらい後ろを、ワトソンも追いかける。
 煌めく部屋の影で、数名の警察官が男に銃を向けていた。そのサブマシンガンは、引き金さえ引かれれば冷徹に命を奪いそうである。それを悟ったように、泥酔した中年のアメリカ人男性は「ソーリー」と謝っている。
 周囲の警察無線から漏れる会話によれば、どうやら万引きがあったようだ。

「ホームズ、おそらく窃盗事件なのだよ」

「それは現場を見れば分かるさ。問題は何を盗んだかって事だ」

「ここはカジノなのだよ。お金に決まっている」

「ほぅ、犯人と思しき男の周辺には、盗品らしき物がないが」

 ホームズが口癖を使った。ほぅ……この言葉には特別な意味があり、多くの場合、相手の発言に違和感を覚えている。
 つまりホームズは、ワトソンが盗品を金と決めつけた事に疑念を抱いたようなのだ。
 たしかに、ホームズの疑問も分からないではない。というのも、容疑者の周辺には何一つとして物がないからだ。

「それは窃盗に失敗したからだろう。これだけの警備では泥棒もできないのだよ」

「根拠なき推理は、判断ミスの種さ。他にも理由がある時は、必ず関係者から話を聞かなければならない」

「だったら、あそこに店長のエアリスがいるのだよ」

 この時のワトソンは、他の可能性を示せって顔に不満を顕にしながらも、被害者の女性店長に会いに行った。
 エアリス――40代のアメリカ人女性、ホームズより背は10センチほど低い、Fカップの中肉中背、バーの店長。
 スプラウト色のショートヘアはクセ毛で、クリクリした瞳はクンツアイトのように光る。青と白のワンピースは4XLサイズで、黒いロングジレを羽織っている。

「はじめまして、俺はホームズで、こっちはワトソンさ」

「伝説の名探偵に会えて嬉しいです。これで私のバーも安全ですね」とエアリスは握手をした。

「そうとは限らない。何か盗まれた物はあるか?」

「実は、倉庫の酒が根こそぎ盗まれました。たぶん犯人が飲んだと思います」

「ちょっと待つのだよ、どらくらい盗まれたんだ?」とワトソンは口を挟む。

「聴いてください。10ダースものワインが無くなったんです」

「ほぅ、さすがに男といえども、1人では飲み干せない量ではないか?」

「ホームズさん、きっと残ったワインは持ち出されたんですよ。その在り処を犯人から聞き出してください」

「その前に、あの中年のアメリカ人男性はエアリスが捕まえたのか?」

「いいえ、逮捕したのは、従業員のアレックスです。それは凄くて、犯人は酔っ払っていたけど、そのまま背負投げをしたんですよ」

「だったら、まずはアレックスから話を聞こう」

 ホームズが身勝手に調査をするものだから、ワトソンはヤレヤレ顔でアレックスの方に向かった。
 アレックス――20代のアメリカ人男性、バーの店員、ホームズより背は5センチほど高い。汗っかきで、少し甘い香りがした。
 髪はホリーグリーン色のリーゼントで、瞳はダイヤモンド原石みたいに光を反射した。ブラウンのスーツは似合っているが、イエーガーシューターは仕事には不似合いだった。

「君がアレックスか?」

「そうだが……誰だ、アンタ?」

「俺を知らないのか? ホームズさ」

「どこのホームズだ?」

「名探偵のホームズさ」

「おいおい、あの名探偵がいるのかよ」とアレックスは動揺した。

「ほぅ、俺がいるとマズイのか?」

「別に問題はない。それより何か用か?」

「君が犯人を捕まえたと聞いた。その時の話を教えて欲しい」

「特に語る事もない。怪しい男がいたから、柔道の技で捕まえてやったのさ。それが仕事だからな」

「犯人を拘束するとは、さすがカジノの警備員だな。ところで、尋常じゃない汗だが、ひょっとして熱いのか?」

「単なる汗かきだ」

「ほぅ、だったら、スーツを脱げば良い」とホームズが右手を伸ばす。

 すると、アレックスは「触んじゃねーよ」とホームズの手を払い、エアリスの方に逃げてしまった。

「まさかホームズは男に気があるのか?」

「ワトソンは愚かだな。俺には妻子がいるんだぞ」

「だとしたら、むやみに人に触れるな。嫌われるぞ」

「ほぅ、アレックスの反応は嫌悪ではなく隠蔽さ。最後に、容疑者から話を聞こう」

 ホームズは意味深長な言葉を呟くと、警官の垣根を押しのけて、容疑者に会おうとした。そのため、ワトソンは追随する事になるのだが、女とは思えぬほど逞しく、屈強な警察官の隙間を通っていった。
 2人が制服の森を抜けると、警察官たちの中央に泥酔した容疑者がいた。
 酔った客ヴィル――50代のアメリカ人男性、泥酔した客、ホームズと同じくらいの身長。今もカーディナルを飲んでいる。
 つるつるのハゲ頭で、緑の瞳はペリドットみたいだ。なぜか黒いバスローブだけを着ている。

「おーい、大丈夫か?」とホームズが話しかける。

「俺様に構うな。いいか、盗みなんてしないのさぁぁぁぁあ!」

「風呂上がりの姿で言われてもな」とホームズは呆れた。

「ほれ、俺様は金持ちで、金なら山のようにある」とヴィルは札束を懐から出した。

「ほぅ、だとしたら、10ダースもワインを盗む必要はない」

「だろ、俺様は盗んじゃいないのさぁぁぁぁあ!」

「では、どこにワインは消えた?」

「俺様は見たのさ、あの店員が車に酒を隠すところをなぁぁぁぁあ!」

「ほぅ、それが本当なら大変だな」

「ホームズ、そんな酔っ払いの妄言を信じるつもりかい?」

 ワトソンが呆れた顔を見せると、ホームズは「世迷言かどうかは確かめなければわからない」と言いながら、再びエアリスに話しかけていた。
 もちろん、ワトソンはホームズの行動に驚いていたが、彼女は名探偵の影のようにピッタリと後ろをつけていた。

「エアリス、あの容疑者はアレックスが真犯人だと言っているぞ」

「フフフッ、伝説の名探偵と聞いていたんですが、どうやら単なる噂のようですね」

「どうかな? アレックスに怪しい点はないか?」

「特にないです。真面目に働いていますし、今日だって犯人を捕まえました」

「たとえば、借金など金銭トラブルがなかったか?」

「そう言えば、給料の前借りを求めていましたね。もちろん、日頃の活躍を見て、給料を渡しましたけど」

「ほぅ、やはり金に困っていたか? ワトソン、犯人が分かった。アレックスを呼べ」

 ホームズは珍しく真面目な顔を見せたので、ワトソンも急いでアレックスを連れて来た。すると、ホームズは彼を指差して、こう言い放ったのである。

「ワインを盗んだのは、アレックスさ」

「待ってくれ、犯人は酔っ払いのオッサンだろ」

「いいや、違う。ヴィルはルーズな性格だが、窃盗をするような人間ではない」

「なんで犯人じゃないと言い切れる?」

「金を持っていたからさ。あれだけ札束があれば、ワイン10ダースも買える」

「たとえ金銭的に余裕があっても、ケチる可能性だってある」とアレックスが反論した。

「そんな憶測で物を語るな。そもそも、アレックスにも動機はあるだろ?」

「動機なんてねーよ」

「ほぅ、それは嘘だ。ちょっとスーツの袖をめくってくれ」とホームズが服を触ろうとする。

「近づくな、触るんじゃねーよ」とアレックスは腕組みをした。

「それさ、アレックスは腕を見られたくないのさ。だから、暑くてもスーツを脱がない」

「おいおい、名探偵が聞いて呆れるぜ。夏に汗はかくし、クーラーが寒い場合はスーツを脱がないよな」

「アレックスの言う通りなのだよ。ホームズの推理には飛躍がある」

「ほぅ、ワトソンが容疑者を庇わうのは、珍しいな。だが、今の言い訳では逃げられない。アレックス、君は薬物を使っているな?」

「そっそんな薬、知らねーよ」

「いいや、アレックスから甘い香りがしている。これは薬物特有の香りさ。それに長袖のスーツを脱がないのも、注射痕を隠すためだろ?」

 ホームズが指摘した瞬間、ワトソンが素早くアレックスの右腕を取ると、袖をめくった。すると、彼の右腕には蜂に刺されたような赤い点がついていた。

「この傷はなんだ?」とワトソンが問い詰める。

「こっこれはアイスボールを作る時に、ピックを刺したのさ」

「ほぅ、少なくとも5箇所はあるが、真面目に働く店員が5回もミスをするのか?」

「そういう時もあるだろ」

「なるほど、そこまで言うなら、薬物検査をしよう。そうそう、ワインを盗んだ動機なのだが、薬物を買う資金がなかったのだろ?」

「くっクソ……」とアレックスは言葉に詰まる。

「あと、アレックスの車を探してくれ。もしかしたら共犯者が酒を持っていったかもしれないが、まだ見つかる可能性がある」

 ホームズが理詰めで攻めると、アレックスは両膝を突いて泣きながら自供を始めた。薬物にハマった理由、借金まみれ、おいしい仕事など色んな話をしていた。
 こうやってホームズが事件を解決したので、ワトソンは内ポケットからスマホを取り出す。とある場所に連絡するため、暗号を入力して通電できるようにしている。
 しかし、その時、アレックスが美味しい仕事の内容を語り始めた。

「その美味しい仕事とは、ホームズ、アンタを引き付ける役なのさ」

「ほぅ、俺をカジノに呼びたかった訳か?」

「その通り、このカジノで事件を起こし、ホームズに捕まる。そうしたら、金が手に入るのさ。最初はバレないと思ったが、さすが名探偵、あの人の評価どおりに事件を解いたな」

「あの人?」とホームズは首を傾げた。

「2代目モリアーティ様さ」とアレックスは不吉な笑みを見せた。

「おいおい、俺は初代モリアーティを捕まえたが、2代目もいたのか」

「その初代の子供だ。その方が、ホームズにプレゼントを持ってきた」

 アレックスは叫ぶと、ホームズに正面から抱きついた。まるで大相撲の大一番のように、大柄なアレックスはホームズの背中に手を回して、幹のように太い両腕で体に引き付けている。

「誕プレは嬉しいが、今夜の主役は俺の娘なんだよ」

「それは残念だぜ。今日、名探偵ホームズは死ぬ。だから、おめでとうって娘に言えないぜ」

「名探偵は殺させない」とワトソンが近づく。

「名探偵? アイツは本物の名探偵ではない」

「そんな事はない」

 とワトソンは割って入ろうとするが、アレックスはビクともしない。もはや木の幹を素手で割ろうとしているようなものだ。

「ふふっ、ギャハハハハ、本当の名探偵ならば、現場に来ない。そう、2代目モリアーティ様はおっしゃった」

「それは違う、名探偵だからこそ現場に来なければならないのさ」

「ギャハハハハ、時期に死ぬのに強いだな」とアレックスは嘲笑を浮かべる。

「その真意は何だ?」とワトソンは抗う。

「俺ごときが2代目モリアーティ様の作戦を分かるはずがない。しかし、事件の裏には事件あり。この事件も単なる万引きではなかったのだ」

「ワトソン、君だけでも逃げろ」とホームズはスマホを操作していた。

「できないのだよ。ホームズがいなければ、世界は闇に囚われる」

「そんな心配は不要だ。未来には優れた探偵がいるのだから」

 名探偵ホームズはスマホでメールを送信すると、ワトソンを左手で店外に投げ捨てた。それを合図にしたように、カジノで爆発が起きた。


 カジノの1階は爆炎と爆煙に包まれ、無数の瓦礫が降り注ぎ、客たちは押し潰された。その時、ワトソンはホームズが瓦礫の下敷きになる瞬間を目の当たりにしたのだろう。彼女は涙を流す暇もなく、瓦礫の山に近寄ると、ホームズだったはずの右手を握った。瓦礫の隙間から赤ワインみたいな血液が流れ、ホームズの体温が失われていく事を感じたのか、ワトソンは名探偵ホームズの魂が天に召される事を悟ったようだ。
 この日、名探偵は死に。
 徐々に、犯罪国家に。
 それから2代目モリアーティによって次々と探偵が殺された。それはまるで真っ白なキャンバスを真っ黒に塗り潰すみたいに、平和で退屈だった社会は、暴力で多忙な世界に染まった。
 誰もが安眠できなくなった頃、政府は優秀な子どもを集め、探偵養成学校EoP《エッグ・オブ・プライベートアイ》を創設した。
 それは国民からすれば希望の灯火だったが、2代目モリアーティからすれば疎ましい組織に他ならなかったわけだが、そんな事は言うまでもない事だろう。









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