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rakugaki_76「美術館へ行こう!【兵庫編】神戸市立博物館」


神戸市立博物館

私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。
その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年〜1987年。第二次ブームが2009年〜2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。

神戸市立博物館は神戸市立南蛮美術館と神戸市立考古館が統合し、1982年に神戸市中央区京町で開館しました。
私の現存する記録の中で、現在まで「神戸市立博物館」の企画展に出かけたのは5回です。
これは今まで鑑賞してきた「神戸市立博物館」の感想ブログとなります。


1)2015年1/31-5/10「チューリヒ美術館展 印象派からシュルレアリスムまで」

チューリヒ美術館展 印象派からシュルレアリスムまで

この美術展は昨年の12月半ばまで、国立新美術館で開催していたものです。先月に引き続き、月の最終日の美術鑑賞。
2月ももう終わりですね。
神戸市立博物館に足を運ぶのは、初めてとなります。

この美術展、なんでもスイスが誇る美の殿堂チューリヒ美術館のコレクションを、日本で初めてまとめて紹介するというもの。
出品されるのは幅6メートルにおよぶモネの大作やシャガールの代表作6点に加え、ホドラーやクレーといったスイスを代表する作家の珠玉の絵画、さらにはマティス、ピカソ、ミロといった20世紀美術の巨匠の作品など、これまでなかなか来日の実現しなかった印象派からシュルレアリスムまでの傑作70点以上。
スケッチや習作がほとんどない、まさに「すべてが代表作」といえるラインアップらしいのです。

世界的な金融都市でもあるチューリヒの富と、スイスの人々の美への慧眼を象徴するようなチューリヒ美術館展は、日本とスイスの国交樹立150年を記念する展覧会でもあります。
なるほど!
前回、兵庫県立美術館で観た「ホドラー展」がスイスを代表する画家の美術展なら、今回の「チューリヒ美術館展」はスイスを代表する美術館の美術展なんですね。

それにしても、こちらの美術展の謳い文句が凄い。
「巨匠いっき見!!」
「圧巻!すべてが代表作」
何だか2010年4月に森アーツセンターギャラリーで観た、「ボストン美術館展 西洋絵画の巨匠たち」を思い出します。
あの美術展も凄い謳い文句でした。
「名画のフルコース。つづきは六本木ヒルズで」
ね?
「名画のフルコース」って、凄いでしょ?
私の鑑賞後の感想は、「名画の幕の内弁当」でした。
1人の巨匠につき1~2点の作品数。
確かに凄い巨匠だらけなんですが、名画を無理矢理詰め込んだ感じで、どこに気持ちを思い入れていいのか分からない美術展でした。
さあ、今回はどうなのか、期待と不安が入り混じりながら、いやいや過度な期待は禁物と自重しながら向かいました。

結果、やはり1巨匠につき1~3作品ぐらい。
でも今回の美術展は楽しめました。
何て言うんですか。
「巨匠のつまみ食い」みたい(笑)
そう、今回は期待度を下げたお陰か、つまみ食い気分でいろんな巨匠が楽しめました。
割り切って変な編集をせずに、一人一人の巨匠ごとに紹介していったのが分かりやすかったのかと思います。
最初に展示されているジョバンニ・セガンティーニは知りませんでしたが、マテリアルに目がいく面白い絵画だと思いました。
フィンセント・ファン・ゴッホの「サント=マリーの白い小屋」は流石に発色が美しく、青と白が冴え渡り目をひきました。
フェルディナント・ホドラーは先月に観たばかりなので、また会えましたねと再会したような気持ちになりつつ、ホドラー展にはなかった作品を興味深く拝見できました。
フェリックス・ヴァロットンもエドゥアルド・ムンクも観られて幸せ!
ちょっと残念だったのは、音声ガイドの特別ゲストである黒柳徹子さんのお声が、ご年齢のせいか少々聞き取りづらかったことです。
最後の方では2010年7月に東京オペラシティアートギャラリーで鑑賞した「アントワープ王立美術館コレクション展 アンソールからマグリットへ ベルギー近代美術の殿堂 」以来、ルネ・マグリットの「9月16日」をまた観ることが出来てとても懐かしく嬉しい気分になりました。


2)2015年9/20-2016年1/11「100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展」

100のモノが語る世界の歴史 大英博物館展

この美術展は今年の4月18日から東京、7月14日から福岡、9月20日から神戸に巡回されているものです。
神戸市立博物館です。

本展は「先史・ヨーロッパ」「古代エジプト・スーダン」「中東」「ギリシャ・ローマ」「アジア」「アフリカ・オセアニア・アメリカ」「コイン・メダル」「版画・素描」の8つの所蔵部門から厳選した100作品(グループ展示などを合わせた総点数約190点) を一堂に紹介するものです。
最古の石器が作られた人類発祥の地から現代のグローバル社会まで、「モノ」を手がかりに人類の歴史をたどります。
舞台はアジア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、オセアニア、南北アメリカと世界中にまたがります。
ハリウッド映画「ハリー・ポッター」第1作に登場する「ルイス島のチェス駒」、日本の教科書にも紹介されている「ウルのスタンダード」など、コレクションの中でも抜群の知名度を誇る名品が来日。
同館の代名詞とも言える「ロゼッタ・ストーン」は、本展のために原寸レプリカを特別制作し、展示しているそうです。

しっかり理解しながら観たいと思い、俳優の要潤さんの音声ガイドを借りて周ります。
人類最古の石器から現代文明までですからね。
200万年を駆け足で巡る歴史の旅です。
あっという間に時代や文明が過ぎ去って行くのと、エジプトだと思ったら次は中国だったりで国がまちまちなので、イマイチ気持ちが入り込めませんでした。
やはり一つの文明なりを追った方が、入り込みやすいですね。
ま、これはこれで面白かったのですが。

美術鑑賞後はランチして、その後腹ごなしを兼ねて異人館へ散歩。

北野観光ガイドマップ

結構な観光客で賑わっていました。
有名な風見鶏の館は本日、入館無料。
今日、10月3日は「KOBE観光の日」なんですって。
勿論入館して見学してきました。
また周りの異人館も見て回りました。
この辺は坂道のアップダウンも激しく、結構な運動量となり疲れました。
ウィーン・オーストリア館で、今度は白ワインを飲みつつ休憩。
いや、今日はいい天気でした。
晴天の中、博物館に観光に、いつもより欲張った感じです。


3)2016年9/17-11/27「神戸開港150年プレイベント 松方コレクション展 ー松方幸次郎 夢の軌跡ー」

神戸開港150年プレイベント 松方コレクション展 ー松方幸次郎 夢の軌跡ー

何でしょうね。
10月に入ったのに30度を超える日が続いたり、衣替えのタイミングや、何より体調の管理が難しい日々が続いてますよね。
私なんかいったん長袖に衣替えしたのに、半袖をまた引っ張り出して先週は乗り切りました。
そして今日も、美術鑑賞に出かけるのに服装を長袖か半袖か迷いましたが、半袖を着て一応折り畳み傘を持って行きました。
天気予報では雨が降るとのことで、寒くなるかなとも思ったのですが、結局雨は降らず蒸し暑い一日となりました。

第一次世界大戦時、美術とは無縁とも思える一人の実業家が、ヨーロッパで突然美術作品を買い集め始めたそうです。
その名は松方幸次郎。
現在の川崎重工業の前身である川崎造船所の初代社長でした。
巨万の私財を投じて集めたのは、モネやゴーギャンの絵画、ロダンの彫刻など約2000点、浮世絵8200枚。
その規模から世界3大コレクションのひとつとも言われているそうです。
20世紀初頭に世界恐慌の波にもまれ、西洋美術コレクションは散逸し、コレクションの全容については現在も研究が進められているそうです。

今回、第二次世界大戦後にフランスに留め置かれた名品のほか、国立西洋美術館の所蔵品、また国内に散在していた名作が、松方ゆかりの地・神戸に27年ぶりに集まりました。
松方はなぜコレクションを始め、なにを目指していたのか。
数々の作品を通して、松方の壮大な夢の軌跡に迫るとともに、美術の持つ力にふれるものです。

画家の人生に迫る美術展は何度も観てきましたが、コレクターの視線で観る美術展はそうはないかも。
ちょっと珍しい美術展に出かけました。
神戸市立博物館です。

いや、凄いですね、松方さん。
流石、川崎重工業の前身である川崎造船所の初代社長!
とてつもない大富豪だったんですね。
松方家の方々の、西洋の貴族ばりの肖像画を観るだけでも、大富豪ぶりが知れます。
そして、巨匠と呼ばれる画家の名画だらけ。
よくこれだけ集めたなぁと。
何よりも2010年3月に、国立西洋美術館で観た「国立西洋美術館50周年記念事業 フランク・ブラングィン展 」とも強くリンクしていることにビックリしました。
それは、今や世界遺産にもなった国立西洋美術館の設立は、松方幸次郎という一人の実業家が主に大正期に蒐集した美術品が元と なっていたのですから。
そして交流が深かったフランク・ブラングィンの作品も多数。

私が知らない画家さんでも、素敵だと思える作品もたくさんありました。
マリー・カザンの「月光」という絵は、とても朧で絵本や童話に出てきそうな幻想的な風景です。
また、レオン・レールミットの「羊飼いの女と羊のいる風景」は、まるで色鉛筆で塗ったかのような優しいパステルカラーで包まれた風景の中、静かにお祈りをしている羊飼いの女性と牧歌的な風景が美しいです。
アルフレッド・ジェイムズ・マニングズの「ロマの野営」も、晴れ渡った草原の中、休息する人々や馬車に当たる光の印影も穏やかで美しい。
ジョヴァンニ・セガンティーニの「花野に眠る少女(5月)」はまるでアニメの1シーンみたいに、草花の中で仰向けに寝ている少女が可愛らしいです。
エドヴァルド・ムンクの「病める子」は私が昔から好きな絵だったので、数ある「病める子」の版画のひとつでしかありませんが、ここで出会えたのは嬉しかったです。

いやー、何といったら良いのか、他にもたくさん見所はありましたし、久し振りに大満足した美術展となりました。


4)2017年4/22-7/17「遥かなるルネサンス 天正遺欧 少年使節が辿ったイタリア」

遥かなるルネサンス 天正遺欧 少年使節が辿ったイタリア

梅雨入り宣言した途端、今日は快晴で暑いぐらいの美術鑑賞日和でした。
神戸市立博物館を訪ねました。
昨年の10月に観た「神戸開港150年プレイベント 松方コレクション展 ー松方幸次郎 夢の軌跡ー」以来ですね。

16世紀後半のイタリアを訪れた天正遣欧少年使節の足跡をたどりつつ、“日本人が初めて見たヨーロッパ文化” “日本人が初めて見たイタリア・ルネサンスの芸術”に焦点を当てて、ルネサンスの豊穣なる美の世界を探求するものです。
本展では、天正遣欧少年使節が訪れたイタリア各地の都市の芸術を紹介し、彼らの足跡をたどります。
ブロンズィーノやティントレットの絵画作品を始め、タピスリー、陶器、ガラスなどの工芸品や書簡資料など、約70件の資料が当時のヨーロッパを追体験させてくれるというものです。

まあ、作品数が多い!
よくもこんなに詰め込んだなぁという感じ。
そして神戸の美術館でこんなに混んでいるのも意外でした。
東京と京都は混み混みの思い出がいっぱいありますが、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、兵庫、奈良、滋賀、広島の美術館は、余り混んでいた思い出がなかったので。
今日は特に、お年寄りの方々が目立ちました。
何かのサービスデーだったりして。
皆さん見えづらいのか、めちゃくちゃ作品に近づいて鑑賞されていました(笑)
さらにメダルとか小さな作品も多かったので、余りゆったりと鑑賞はしづらかったです。

んー、結局一番印象に残ったのは、やっぱりポスターにも採用されている初来日作品、メディチ家のプリンセスを描いたブロンズィーノの「ビア・デ・メディチの肖像」でしょうか。
深いブルーの背景に、幼い面立ちなのに凛としている姿は、名家を背負ったまさにプリンセスの姿が描かれていました。

この美術展は7月17日まで開催した後、青森県立美術館、東京富士美術館に巡回予定です。


5)2017年10/28-2018年2/4「ボストン美術館の至宝展 東西の名品、珠玉のコレクション」

ボストン美術館の至宝展 東西の名品、珠玉のコレクション

あけましておめでとうございます。
2018年、お初の美術鑑賞に昨日の土曜日に行ってきました。
この美術展が美術鑑賞始めですね。
今回の美術展は、東京都美術館で開催していたものが巡回してきたものです。
神戸市立博物館です。

世界屈指の美の殿堂、ボストン美術館の主要なコレクションからえりすぐった、珠玉の80点を紹介するものだそうです。
同館のコレクションによる展覧会はこれまでも繰り返し開催されてきましたが、幅広い内容を総合的にご覧いただく展覧会は、日本では約40年ぶりだそう。
1876年に開館したボストン美術館は、国や州の財政的援助を受けずにコレクションの拡充を続け、現在は世界有数となる約50万点の作品を所蔵しています。
本展は古代エジプト美術、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術と、東西の名品の数々を堪能できるそうです。

いやこれ、エジプト時代から現代まで、時代の流れを幅広く浅く鑑賞出来て結構楽しめました。
私はやはり特にフランス絵画の名だたる巨匠たちの絵、ミレー、コロー、シスレー、ピサロ、モネ、セザンヌ、ドガ、クールベ、ルノワール、ゴッホのコーナーが一番楽しめました。
やっぱり洋画が好きなんだなぁって再認識。
また、ルノワールの作品が肖像画ではなく静物画とか、ちょっと違う側面も垣間見れたりして、そこも楽しめました。
あっ、でも一番目を惹かれたのはアメリカ絵画のワシントン・オールストンの「月光」でした。

それにしても古代エジプト美術から村上隆の現代アートまで、何とも時代も国も通り越した美術展でした。
この美術展は2月4日まで開催した後、2月18日から名古屋ボストン美術館に巡回する予定です。


以上、神戸市立博物館での美術鑑賞でした。
近くに異人館がありますし、神戸観光も一緒にしても楽しいかも知れません。

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