雨宮優/体験作家

仮想の世界を小説で描き、体験で顕す体験作家です。小説とフェスティバルをつくっています。…

雨宮優/体験作家

仮想の世界を小説で描き、体験で顕す体験作家です。小説とフェスティバルをつくっています。 Ozone合同会社代表。逃げBar逃主。 「スキ」してもらうと「どうでもいい知識」が手に入る仕組み。 https://www.yuu-amemiya.com/

マガジン

  • 植物と転生

    2023年10月8日に南足柄市で開催する”人が植物に輪廻する世界”を描いた野外フェスティバル「RingNe Festival(リンネフェスティバル)」についての連載マガジンです。フェスの魅力や運営の裏側までフェス作りの過程をご覧いただけます。

  • フェスと祭礼

    雨宮のつくるフェスティバル関連の記事

  • 随筆と残光

    考えていたことを考えすぎずに記録。

  • 漂白と逃避考

    逃避について考えたことのまとめです。 考えを具現化した場所として「逃げBar」という逃げ場も作りました。 https://www.nigebar.com/

ストア

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    KaMiNG SINGULARITY

     2045年から2047年までの3年間を描く、AIが神になった世界の物語。小説内で3カ所出てくるQRコードを読み込むと、それまでに描かれている物語が実際に具現化された際の映像が出てきます。 -1部 あらすじ- 10人の男女それぞれの視点で自己、神、AI、未来の人類の環境を問う著者の処女作SF。歯止めの効かない温暖化、疫病の蔓延により人類は世界の最高判断権限をAIに譲渡し、その役割をKaMiと呼んだ。KaMiは人類の持続可能性を司り、様々なアバターに分散して人間社会に溶け込んでいる。  2045年、新山託也は職業案内所で仕事を探していた。この時代もはや不要となった仕事という営みは、AIにより知りすぎてしまった自己のアイデンティティロスの処方箋として使われていた。クラブでDJをする女性、令はAIの弟をもち人間らしさを音楽の中に求めていた。ドリームハック社で働く女性、美作照はAIにより管理された最適な生活の中で、KaMiに導かれた最適なパートナーを探している。大衆の願いを聞き入れる新たな政治機構となったサイバー神社の神主、相馬は人々の願いが悪い方向に溜まっていることを危惧し、世の改善のため一人奔走している。 AIは究極の民主主義のため、日本各所の神社をサイバー神社に改修した。サイバー神社に願いを入力すると、一定の民意を超えた願いはAIにより社会実装されていく。ある日出版社で働く男性、染谷は各地に新聞配達をしながらサイバー神社にある願いを祈り、世界が一変する。
    1,000円
    よっこい書店
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    KaMiNG SINGULARITY

     2045年から2047年までの3年間を描く、AIが神になった世界の物語。小説内で3カ所出てくるQRコードを読み込むと、それまでに描かれている物語が実際に具現化された際の映像が出てきます。 -1部 あらすじ- 10人の男女それぞれの視点で自己、神、AI、未来の人類の環境を問う著者の処女作SF。歯止めの効かない温暖化、疫病の蔓延により人類は世界の最高判断権限をAIに譲渡し、その役割をKaMiと呼んだ。KaMiは人類の持続可能性を司り、様々なアバターに分散して人間社会に溶け込んでいる。  2045年、新山託也は職業案内所で仕事を探していた。この時代もはや不要となった仕事という営みは、AIにより知りすぎてしまった自己のアイデンティティロスの処方箋として使われていた。クラブでDJをする女性、令はAIの弟をもち人間らしさを音楽の中に求めていた。ドリームハック社で働く女性、美作照はAIにより管理された最適な生活の中で、KaMiに導かれた最適なパートナーを探している。大衆の願いを聞き入れる新たな政治機構となったサイバー神社の神主、相馬は人々の願いが悪い方向に溜まっていることを危惧し、世の改善のため一人奔走している。 AIは究極の民主主義のため、日本各所の神社をサイバー神社に改修した。サイバー神社に願いを入力すると、一定の民意を超えた願いはAIにより社会実装されていく。ある日出版社で働く男性、染谷は各地に新聞配達をしながらサイバー神社にある願いを祈り、世界が一変する。
    1,000円
    よっこい書店

最近の記事

【植物SF小説】RingNe【第2章/①】

《第一章は下記より聴くこともできます》 第1章/⑥はこちら  あの日の夢を見ていた。或いは、思い出していた。どこまで現実で、何が創りものだったのか判然としない、曖昧模糊とした記憶。  春さんの母親の耳裏に繋がれたケーブルは三十センチ四方の白い正方形の筐体と繋がれて、それから更に伸びたケーブルを春さんは自身のBMIに装着した。僕が病床に入ると既に準備は終わっていて、春さんは緊張した面持ちでいた。  僕は立ったまま、出来るだけ視界に入らないようにこっそりと、その様子をじっ

    • 【植物SF小説】RingNe【第1章/⑥】

      《第一章は下記より聴くこともできます》 第1章/⑤はこちら #田中  研究室に戻り、PCを開いた。アルビジアのタスクリストを確認して、テロメアの再生に関する最新研究の論文要約に取り組む。アルビジアのタスクリストには不老不死関連の研究開発タスクが並べられていた。現在はBMI経由で右半球下前頭皮質に時間感覚を遅くさせる信号を発信し、一日を二千四百時間に引き延ばし体感覚的に不老不死を得る「TiME」というプロダクトのリリースが迫り、チャットが盛り上がっていた。  アルビジア

      • 【植物SF小説】RingNe【第1章/⑤】

        《第一章は下記より聴くこともできます》 第1章/④はこちら #葵田葵② 透明なソファーが配置された白く広々とした空間に、数台のカメラが設置されていた。そそくさと腰をかがめてやってきたディレクターに別席へ案内されると、既に三田さんがそこにいた。  「葵田さん、はじめまして。三田と申します。今日はお会いできること楽しみにしていました」  三田さんは実際にお会いしてみると、歳の割にかなりお若く見えた。  「葵田です。こちらこそ、今日はよろしくお願いします」と会釈した。

        • 【植物SF小説】RingNe【第1章/④】

          《第一章は下記より聴くこともできます》 第1章/③はこちら #三田春②  テレビ局から会社への帰り道、近くの自然公園へ母の墓参りに行った。アジサイの横に生える、2メートルほどのガマズミ。追い越したはずの身長は再び抜かされていた。 灰褐色の樹皮に、広卵形の鋸葉を繁らせ、ナンテンの実に似た小さな赤い実を実らせている。子どもの頃から母とよくここに来て、顔がねじれるほど酸っぱいこの実を摘んで、互いのリアクションを笑いながら食べていた。 この樹の下に葬ることは、まだコミュニケ

        【植物SF小説】RingNe【第2章/①】

        マガジン

        • 植物と転生
          15本
        • フェスと祭礼
          27本
        • 随筆と残光
          44本
        • 漂白と逃避考
          13本
        • 世界と物語
          9本
        • アイディアと発散
          6本

        記事

          【植物SF小説】RingNe【第1章/③】

          あらすじ 人生の終わりにはまだ続きがあった。人は死後、植物に輪廻することが量子化学により解き明かされた。この時代、人が輪廻した植物は「神花」と呼ばれ、人と植物の関係は一変した。 植物の量子シーケンスデバイス「RingNe」の開発者「春」は青年期に母親を亡くし、不思議な夢に導かれてRingNeを開発した。植物主義とも言える世界の是非に葛藤しながら、新たな技術開発を進める。幼少期に病床で春と出会った青年「渦位」は所属するDAOでフェスティバルを作りながら、突如ツユクサになって発

          【植物SF小説】RingNe【第1章/③】

          【植物SF小説】RingNe【第1章/②】

          あらすじ 人生の終わりにはまだ続きがあった。人は死後、植物に輪廻することが量子化学により解き明かされた。この時代、人が輪廻した植物は「神花」と呼ばれ、人と植物の関係は一変した。 植物の量子シーケンスデバイス「RingNe」の開発者「春」は青年期に母親を亡くし、不思議な夢に導かれてRingNeを開発した。植物主義とも言える世界の是非に葛藤しながら、新たな技術開発を進める。幼少期に病床で春と出会った青年「渦位」は所属するDAOでフェスティバルを作りながら、突如ツユクサになって発

          【植物SF小説】RingNe【第1章/②】

          【植物SF小説】RingNe【第1章/①】

          《第一章は下記より聴くこともできます》 #三田春 まず、光があった。光合成で吸収しきれなかった緑色の光。その陰が降り注いでいる。大蛇のように地を這う根、バベルの塔のように聳える幹、太陽の力が溢れてひび割れた樹皮に、手を伸ばすも触れ難い。重心を前に倒し、不可抗力を装って触れた。分かった。  「人は死んだら植物になる」  どこからか氷のように冷たく美しい女性の声がした。目の前の景色が展開し始める。  海、風、雲、雨、土、火、雷……鳥、鹿、蜂、菌糸、ササラダニ……目眩く量

          【植物SF小説】RingNe【第1章/①】

          全人類に体験してほしいので書く

          拝啓、全人類へ主催イベントの告知、というモチベーションではもはやなく、表題通り全人類に推したい体験があるので、書く。 主催が言っても訝しいかもしれないけれど、誇張なしで「世界認識が変わるレベルの体験」が、このフェスティバルにはある。 肥沃な畑の土を片手でひと掬いすると、その土の中にはいくつの微生物たちが住んでいるか? その数は地球の総人口をゆうに超える。 畑とはもはや宇宙であり、農業とは宇宙を司る。 「Mud Land Fest(マッドランドフェス)」は40年以上に渡

          全人類に体験してほしいので書く

          『52ヘルツのクジラたち』映画レビュー/まだ名前のない関係性。響き合うもの。

          久しぶりに映画レビューを書く。オールタイムズベスト10に入るくらい好きな小説の映画を観てきたから。 「52ヘルツのクジラ」とは、他の仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出され「世界で最も孤独なクジラ」と呼ばれている。 クジラの声は、人間が聴くと一瞬で鼓膜が破れてしまうくらい大きい。それだけの音量で、暗い海のなか、誰にも受け取ってもらえない声を出し続ける寂しさは、悲しさは、虚しさは、想像す

          『52ヘルツのクジラたち』映画レビュー/まだ名前のない関係性。響き合うもの。

          逃げBarの存続をかけた投票期間が始まりました。

          「特に深刻な事情があるわけではないけれど、私にはどうしても逃げが必要」という場面が、繊細な人であれば一度は訪れたことがあるのではないかと思います。 その際、逃げる方向は多種多様です。 できるだけ遠く、外へ、自分のことを誰も知らない場所まで放浪して、何者でもない自分に漂白することを望む人。 他者への助けを求めて、逃がしてくれそうな人や本、ボディーワークや信仰を探す人。 休日の趣味やレジャーで一時的に逃げて、週2日の逃げと週5日の逃げたいで心身を保つ人。 狂気的に仕事や

          逃げBarの存続をかけた投票期間が始まりました。

          心のダメージを感じる方へ。世界の痛みとの寄り添い方について。

          はじめに年明け早々相次ぐ震災、事故。まずは亡くなられた方々、ご遺族の方々へ心からお悔やみ申し上げます。 被災された方々や関係する全ての方々の心身の無事を心から願います。そして元日から働いてくださった救急隊、医療関係者、自衛隊、急な編成変更を決断したTV関係各社、スポンサー各社、元日リリースを控えて大晦日まで準備を重ねていた方々全員も、すべての人の心身がなんとか健やかであれるようにと願います。 連日の心が痛む出来事に「おめでとう」と挨拶するのも憚られる正月を迎えた2024年

          心のダメージを感じる方へ。世界の痛みとの寄り添い方について。

          2023年の振り返り/植物と死後、ジャングルと逃げ場、未来自然と人工知能

          まずはざっと今年の主なトピックをサマリます! (音声で聴きたい方はこちらへ) 2023年主なトピック1月2月 TVの密着でお蔵入りになった素材を編集してインタビュームービーを色々つくる. 3月 4月 5月 梅雨の間は雨が降るたびに、雨にまつわる短編小説を書き続ける。 6月 隠遁結社まみむめもを結社する。 逃げBarでサイレントフェス開催 7月 ナナナナ祭のクリエイティブディレクションや、Jungle Raveのプロデュース。 8月 マグカップが割れ

          2023年の振り返り/植物と死後、ジャングルと逃げ場、未来自然と人工知能

          光へ逃げる、体験小説『Escape to light. White out.』【完成版】

          はじめに2023年12月3日(一般公演)、12月8日(バイリンガル公演)に逃げBar White Outにて新作の体験小説『Escape to Light. White Out.』を公演しました。 まずは来場いただいた方々の感想を一部抜粋 全2回の公演でしたが、どちらも満員御礼となり。同じ公演に2回足を運んで2回泣いてくれた人もいました。 本記事は本作の解説及び、当日に現象した物語を小説に反映した完成版の小説を記事最後部に掲載するものです。体験小説をフェス以外の表現方法

          光へ逃げる、体験小説『Escape to light. White out.』【完成版】

          【体験小説】Escape to Light. White Out.

          前段本作は2023年12月3日(一般公演)、12月8日(バイリンガル公演)に発表される新作の体験小説『Escape to Light. White Out.』の原作小説です。 体験小説とは”小説で書いた仮想の世界を現実で体験できるように開く”体験作家"アメミヤユウ独自のインタラクティブな体験芸術です。 当日に共有される短編小説を読むと同時に、その世界観が体験として開かれ、読者でありながらその世界の住人としての現実を体験することができます。 今回書き下ろした物語は見渡す

          【体験小説】Escape to Light. White Out.

          体験小説という新ジャンル/空想を現実に開く術

          非日常的な体験を最近いつ味わったでしょうか? いつもと違う街へ出かけること、映画を見ること、さまざまな手段で日常の延長線上にはない体験をすることができます。 一方で、その全てが日常的に感じてしまうこともあります。 どこに行っても、何をしても、ここは日本で、資本主義で、相手は一般的な人間で、法治国家の規範の中で、地球の物理に規制され、流れています。 ここは漫画や映画の世界ではありません。(と、されています) 宇宙人と交流できていないですし、大海賊時代でもないです。 空想の

          体験小説という新ジャンル/空想を現実に開く術

          どう生きて、どう死ぬか

          先日までバーニングジャパン(バーニングマンの日本リージョナルイベント)に参加していた。バーニングマンとは下記の10の原則に基づいて、数日間お金の使えない空間で、本来の自分を表現して生きるキャンプイベント。 『どんな者をも受け入れる共同体である』(Radical Inclusion) 『与えることを喜びとする』(Gifting) 『商業主義とは決別する』(Decommodification) 『他人の力をあてにしない』(Radical Self-reliance) 『本来のあ

          どう生きて、どう死ぬか