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天秤のような星

医学は死の予感を炙り出した。余命宣告ができるということは、その宣告が通達されない限り、未来を生きていけるということ。医学によって、人類は未来の証明書を手に入れた。生命の余裕を手に入れた。平均寿命に近い年齢になることで、死の予感がだんだんと芽生えてゆく。それでも、突然今死んでゆく生命がある。死の予感を無効化する絶望的な現実が存在している。予定調和を破壊していく異端児は、革命家として歴史に名を刻む。死の予感が渦巻いている革命家、誰かにとってテロリスト。それに扇動される大衆へ死の予感が伝染してゆく。未来の証明書は、人類を死へ駆り立ててゆく。死の予感が世界中を覆い尽くすとき、地球に余命が通達される。

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