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光年の記憶

夜空に輝く閃光に何億光年の歳月が流れているように、あなたの姿が曖昧になってゆく。私の網膜は人間の寿命を超えることができなくて、目の前の死を見つめている。あそこには名残惜しい跡が残っていて、前世の記憶を辿ることしかできない。侵食された境界線に、濁流の暴力が刻み込まれている。消えてしまった土の思い出は、きっと海底に沈澱しているんだろう。灼熱の太陽すら届かない海底に、誰にも知られたくない記憶が埋まっている。あの星々より遠い歳月が、そこには沈んでいる。

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