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プロモデラーの師匠と情けない俺の話 第十一話~やらなかった宿題~

少し前のダブルゼータの話しのようにまたオフハウスで思い出の品を見かけた。プラモデルではなく完成品のフィギュアタイプの玩具でハイコンプロシリーズというものである。プラモデルほどメジャーなものではないから知らない人の方が多いだろう、俺自身興味を持てなかったものだ。サイズ感は1/200でプラモデルの1/100マスターグレード並みの精密さが売りで2004年から2009年頃までは新商品が出ていたものである。

実は師匠のところに通って最初から最後まで完成させたプラモデルは一体も無かった。自分としてはプロを目指す気は無かったので趣味でやっていることをプロからアドバイスを貰いに行くという感覚になっていたしノルマがあるわけでもないので何も縛られるものはなく本当に自由にやらせてくれていた。だからあれも作る、これも作るといった感じでいろんなものに手を付けては未完成なものを増やしていた。実のところは完成させたものを見せてダメ出しされるのが恥ずかしく恐ろしかったという気分の問題もあった。師匠のところに行っている時間は楽しく過ごしたいという思いが強かったからだ。

ある日師匠に何気なく何を作ればいいですかね?上手くなれますかね?と聞いたことがあった。そのときの回答が
師匠「ハイコンプロのガンダムをパーフェクトグレードみたいに仕上げたらいいんじゃないか?色々学べるし上手くなるぞ!出来たら大したもんだ!」
みたいなことを言っていた。なるほど!と思ったと同時に俺には無理だろ!と思い結局それをやらずに今に至る俺は大したことないやつなのだ。もちろん師匠からその後にハイコンプロの進捗を聞かれたりそれをやらなかったことを注意されたりしたことは一切無かった。次に会った時もいつも通り接してくれた。

今更ながら、あの時ハイコンプロを言われた通りチャレンジして下手でも見せてダメ出しされていれば何か変わっていたかもしれないなんて思ったりもする。今までの人生で仕事や遊びや人間関係など様々な事に対して自分の選択に特別後悔はしていないし現状は今までの自己判断で形成されてる事を自覚しながら生きている方の人間だと思っているが、師匠との事に関しては思い出せば出す程にあのときああすればと思うことばかりである。

後悔と反省の違いは取り返しが付くか付かないかの違いなのではないだろうか?
なんて思ったりした。

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