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【助成先紹介】規格外野菜をもっと身近に!食の未来を変えるカレープロジェクト

インクラインファンド事務局の下尾です。引き続き23年度の助成先を紹介させていただきます。※24年度の助成については追ってお知らせいたします。

今回は、まちづくり/ほっとけないこと実践部門にご応募いただき、見事採択となった高校3年生の3人組チーム、ぶちゃいく野菜を救い隊の皆さんにお話をお聞きしました。

Q.どんな課題意識を持って、インクラインファンドへ応募してくださいましたか。

食品ロスにもともと関心があるメンバーでチームを結成しました。あるメンバーは、幼いころから親族が育てた野菜を食べてきたからこそ、規格外野菜の問題について身近でよく聞いていました。ふぞろいであること等、形が原因で食べてもらえない野菜があるということにとてもショックを受け、なんとかできないかと思ったのがプロジェクトを始めたきっかけです。

Q.食品ロスに関心を持ったきっかけはなんですか。

それぞれきっかけは様々ですが、身近に美味しい野菜を育てている親族がいたり、世界の食糧問題、食の不均衡について学んだ際、日本の食品ロスについて興味を持つようになりました。

Q.具体的な活動内容と思いについてお聞かせください。

規格外で廃棄されてしまう野菜をレトルトパウチの食品に変えて販売すれば、少しでもロスを減らすことが出来るのではないかと思い、レトルトカレー2種、ポトフ1種の全部で3種類を、社会福祉法人さんのお力を借りて製造しました。学校の文化祭や提携大学のイベント、農家さんの紹介で駅前での販売を行いました。

味が変わらないのに見た目が悪いというだけで捨てられてしまうのはとてももったいないと思い、規格外野菜を皆が食べられる形に変え、自分から手に取るような社会にしたいという思いで取り組んできました。

提携大学でのイベントブースの様子

Q.連携先はどのように見つけたのですか。

レトルトパウチの製造に関しては、もともと知り合いのレストランへ相談に行ったのですが、賞味期限が短くなってしまうため逆に食品ロスになってしまうのではないかと言われました。なんとか出来ないかと話したところ、レトルトパウチなどの加工食品を扱っている社会福祉法人さんを紹介いただき、そちらにお願いすることになりました。

もともとは食品ロスをテーマに掲げていたのですが、ご縁をいただき、社会福祉法人さんと繋がったことで「農副連携」も私たちにとって大切にしたいテーマになりました。

Q.農家さんとのやりとりで印象に残っていることはありますか。

「野菜は時期ごとに種類や出来る量もバラバラで、規格外分は捨てるか自分たちで食べる以外の選択肢はないので、レトルトカレーに生まれ変わるのは嬉しい、楽しみだ」というコメントをいただいて、嬉しかったです。

Q.価格設定などはどのような考えのもとおこないましたか。

1つ500円で販売しました。レトルトパウチの製造代はもちろんですが、農家さんへの還元についてももちろん考えていました。当初、農家さんから無料で規格外野菜をいただき、製造・販売して利益が出た場合に農家さんに返していこうという計画でした。しかし、規格外野菜は廃棄、もしくは自分で食べるしかないということを農家さんから聞き、あとからお支払いするのではなく、最初に野菜をすべて買い取ることを決めました。

Q.皆さんにとって在庫を抱えたり、売れなければ赤字の可能性もあったと思うのですが、不安はなかったですか。

もちろんゼロではなかったです。ただ、私たちの利益が出てからお支払いする形にしてしまうと、仮に全く売れなかった場合、農家さんへ還元することが出来なくなってしまうため、初めに一定の額をお渡しすることに決めました。もし売れなければ私たちにとって赤字になってしまうという思いもあったので、販売時も一生懸命アピールをすることができました。提携大学と駅前のイベントでは、文化祭後に追加製造した355食をすべて売り切ることが出来ました。

オリジナルデザインのレトルトパウチとPOP

Q.1回目の文化祭での販売を経て、提携大学でのイベントで工夫した点はありますか。

文化祭の際は、チラシに活動内容や思いは載せておらず、レトルトパウチの宣伝のみでした。大学でのイベントでは、規格外野菜や農副連携についての説明を載せ、インパクトのあるチラシに変更しました。

当日は作成したチラシをもとに、私たちの活動や規格外野菜のことを来場者にお話ししました。「農福連携って言葉知ってますか?」と積極的に声掛けもしていきました。私たちの問題意識をお伝えした結果、「買ってみようかな」と言ってくださる方もいて、嬉しかったです。

Q.来場者の反応で印象に残っていることはありますか。

「規格外野菜のことを知ってはいたけど、あまり気にしてなかった」というお声をいただきました。規格外の野菜がレトルトカレーという形になってこうやって食べられるのは面白いね」という感想をいただいたりして、よかったと感じました。

レトルトパウチの商品自体だけでなく、私たちの企画の内容を褒めて下さる方も多く、それもとても嬉しかったです。

Q.難しかったことや、やりきれなかったことはありますか。

カレー1食に500円という価格設定が課題だと思っています。レトルトで、他に比べてかなり高価なのですが、その分の価値を伝えるのがとても難しかったです。学内や大学での販売は、社会によいものを購入したいという大人の方が多くいらっしゃったので、購入にもつながったのですが、駅前のイベントではどちらかというとスーパーで商品を選ぶ時のような感覚でお越しいただいた方が多かったと思います。できるだけ安くというような価値観ですね。例えば地域の野菜を使っている点に賛同をしていただいても、「そうはいっても高いね」というような意見も多く、あまり購入には繋がりませんでした。価格を重要視している方に、企画内容の魅力をもっと伝える力があれば、より販売に繋がったし、私たちの大切にしたい価値観を広められたのではないかと思います。

Q.今後の展望を教えてください。

私たちは23年度で卒業してしまうことから生活も変わってしまうため、一旦休止を考えています。もし、今後企画や趣旨に賛同してくれる後輩が出てきた場合は、相談の上引き継いでいけるといいなと思います。

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身近な問題意識を胸に、人とのご縁を活かしながらレトルトパウチを製造し、見事に売り切ったぶちゃいく野菜を救い隊の皆さんについてご紹介しました。連携先のお話が特に印象的でしたが、壁にぶち当たっても動き続けること、また叶えたい思いを周りに伝え続けることで、道が開けてくるのかもしれません。

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